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お金のお化け & 悪の枢軸同好会 と ドーナッツの穴研究会 と マホロに存在する全団体


 モリドールさんと香乃の3人で一家団欒の食事を囲んでいた。

 モリドール家に新たな住人兼最終防衛ラインが加入したのだ。

 香乃の奴だ。

 香乃は俺の親戚である。

 という設定を信じたモリドールさんは快く向かい入れてくれたのだ。 

 

「もういいの?」


「少し食べてきたので」

 

 俺は小食になっていた。

 本日緊急裁判が行われて、ちょっとした修羅場が起きた。

 何度目の修羅場だよって話。

 気を遣いすぎて胃を痛めたのだ。

 正直胃に穴が空きすぎて食欲がないのだ。

 

 ひと悶着あった。

 なんだかんだパーティーは解散しない。

 

 という話で話をまとめた訳よ。


「ごちそうさまでした」

 

 香乃の奴は怪訝な顔をすると。

「大丈夫か?」


「ああ。問題ない」


 ちょうど席を立つと一通のメールが届いていた。


「ちょっと、用があるから出て来るわ。すぐ戻って来る」

 

 忙しいアイツがようやく掴まったのだ。

 気を取り直さねばならん。

 ゴールドラッシュは目前なのだから。


 香乃は先程の陰鬱な顔からニヤついた俺の顔を見て、不思議な表情をしながら一言。

「そ、そうか」



 ・

 ・

 ・

 


 部活ないしサークルが対抗戦をした場合どの部活が最強か?

 これは俺も長らく謎であった。


 投擲が得意な野球部?

 そもそも武に秀でた剣道部?

 はたまた、文化系の部活か?

 様々な人間が入り乱れるサークルや同好会まで手を広げればさらに混沌としたものになるだろう。


 超常なる世界観を引き継いだこの異世界。

 突発的に謎イベントが開催されるようなのだ。

 俺の知識にない部費争奪戦なるもの。


 この学園。

 今秋世界各国の魔法学園を集めた武闘祭はあるが体育祭はない。

 魔法ありきであると体育祭のようなものが成立しない。

 結局魔術戦になってしまう。

 なので、この学園の体育祭は考査戦という形と言ってもいいかもしれない。

 

 しかし。

 この支援金争奪戦は体育祭の様相が近い。

 バトルはするが、個々人の殴り合いが主でない。

 文武に差異ないゲーム性が試される。


 これに参加し、金銭を横領……

 

 ではなく!


 健やかなる精神の向上。

 さらなる学業の発展。

 自発性の促進。

 次世代のリーダーの育成。

 想像性の拡張。

 地域貢献と産業発展。

 

 などなど、そういった事に有意義に使っていきたいと思う!

 部費争奪戦。

 第一席に与えられる褒賞金と後期に与えられる部費を合わせると1億を超える。

 お金のお化けが黙って見過ごす訳もなく。


「もろたでぇ~」 


 俺はルンルン気分で布石を張りに来たのだ。


 …………と、いう訳で。


 俺は学食で晩飯を取るギャル集団の下に歩を進めた。


「おー! あまっち。どした?」 


「まつり先輩にお願いがあります」


 俺は生徒会唯一の知り合いであるまつりの奴に頼みごとをしに来たのだ。


「突然びっくりしたよ。あーしに頼み事ってなんよ?」


「はい。では早速。

 俺は部活を作りたい。

 作らねばならない。

 学生としての本業は学業以外にもある!」


 キョトンとするまつりは。

「お、おぉー」


「得てして、課外活動というのは学校教育の中で重要なファクターの一つである。と思う訳です」


「まぁーね」


「学校教育は勉学を励む事を主題に置くが、同時に課外活動も同じくらい重要である。と、俺はそう感じています」


「そうねぇー」


「部活にサークル、ボランティア活動。その他課外活動は進学、就活において重要視される要因です。斜に構えて怠惰な生活を送る者よりも集団生活において成果を上げた者は評価されやすい」


「なんだか熱血漢じゃん」


「まことしやかに囁かれる体育会系は就活に強い。いや、部活に所属していた者は就活に強い! 全くもって……同意です!」


「あまっちはもう評価されてるけどねー」


 俺はそれを無視し。

「さて、本題です。まつり先輩しか頼れる人が居ないんですが……園芸部の部長として就任して頂きたい! 俺は部員第一号になります!」


 と、言いたい事だけ矢継ぎ早に告げたのである。


 ・

 ・

 ・


 主種雑多な団体が学園の競技場に集められていた。

 

 その中には、TDRが支援金争奪戦に参加すべく設立した3つの隠れ蓑の姿もあった。

 

 投資サークル『笑顔の和』。

 お墓研究会『ザ・棺桶(コフィン)』。

 自己啓発セミナー運営団体『逆光(ストレイライト)』。

 

 危険因子として注視される3つの団体。

 下界でもマルチとして危険視される団体名らしい。


 ……知らんけど。


 学園生の間でもすぐさま周知の事実となり、三つを総称しこう呼ばれていた。


 『悪の枢軸同好会』。


 今回の支援金争奪戦におけるヘイト役。

 生徒会にも眼を付けられているし。

 上流階級層からの恨みもしこたま買っている。

 ヘイトが集中しているとの事。


 アレのどれかが勝てばいいが。


「大丈夫なんだろうな」


 アイツらに目を合わせないように集団の後ろの方に身を潜めた。

 俺は園芸部として、約一名の参加であった。

 生徒会活動で忙しく名前だけ借りたまつりは不在。

 つまり、俺一人で全ての部費を自在に使用……

 ではなく!

 有意義に使う事が出来るのだ!


「まつり封じは成功している。大丈夫なはず」

 

 アレが万が一。

 本当に万が一出てきたら勝機が減る。

 敗因の芽を確実に摘む作業は成功している。

 

 ヤバい奴は味方に引き込む。

 

 処世術48手の一つ。

 

 これはお宝争奪戦。

 地形を変形させるアイツが何らかの手段で出てきたらたまったもんじゃないのだ。


 そんな事を呑気に考えていると。 


「な……」


 俺は身を隠した。

 目下優勝候補のドーナッツの穴研究会にじゃない。

 

「アイツらも参加するだと!?」


 学友に(なだ)められながら渋々と言った表情で参加する、俺のパーティーメンバーの姿があったのだ。


「なぜだ。アイツらはどこにも所属していないはず……」

 

 計算が大きく狂い始めていた。

 

 

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