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間奏(終) ~飛行機の中でのひととき~ そして懸念と疑念

 

 ---マリアイベント一週間前(機内にて)---


 トランスヴァルキア公国。

 これがマリーの出身国である。

 前世の世界で言うとユーラシア大陸の北極圏付近にある大きな国だ。

 ゲームの世界にある架空国家。

 今は現実であるが。

 前世の世界で言う日本もこの世界にはなく日本に位置するこの国はヒノモト国となっている。

 

 つまり、俺というか天内は【ヒノモト人】という訳だ。

 

 俺は謎の難しい外国語の本を読むのを止め、エコノミー席で『よくわかる世界の歩き方』なる観光雑誌を読んでいた。

「微妙に大陸の形変わってる気がするんだよなぁ。それに確実に違う点もある」

 

 確実に違う点。

 

 まず【アトランティス大陸】がある。

 大陸が一個増えてる。

 これもゲーム上では非常に重要なポイントだ。

 メガシュヴァの設定では海洋国家アトランティスは大西洋中心に浮かぶ超軍事大国だ。

 ユーラシア大陸やアフリカ大陸など、前世でも健在の大陸も微妙に形が違う気がする。

 そもそも呼び名が違う。

 大陸の形なんて前世でも世界地図をまじまじと見る機会などなかったから正直自信はないが……何か違和感がある。



 日本……ヒノモトは多分形は変わってない。

 ただ47都道府県ではなく【48都道府県】になっている。

 本編がスタートするマホロ学園があるのは太平洋近海に展開する浮遊都市【オノゴロ府の首都オノゴロ市】であり、ヒノモトは世界唯一の浮遊都市を有する国だ。

 ちなみに、天内の出身はシン・東京な。

 オノゴロは東京から新ハネダで航空便45分で行ける。

 入るには厳しい検問ありのようである。



 確認事項は多い。

 まずマリアの鬱イベが発生するタイミングは熟知している。

 しかしあれはゲーム本編の前日譚であり、"主人公風音は本来介入しない"。


 一番怖いのは、歴史ゲームの強制力。

 これによりどれほど俺が動いても徒労に終わるという点だ。



 二番目に、歴史の介入によりどれほどこの世界に影響が出るのかという点だろう。

 これは未知数である。

 本来有り得ざる神の手(オレ)が介入する事で、俺の知っている【メガシュヴァの物語】が全く未知の結末を辿る可能性がある。

 故に俺は姿を隠す必要がある。

 仮装する必要があるだろう。

 最小限の干渉で留めておかないと後々厄介な事になる。

 決して天内であるとバレてはいけない。

 最悪の場合、歴史の介入で最悪の結末を呼び寄せてしまうかもしれない。

 …………とは言っても全て倒すつもりだが。



 三番目に懸念しているのは、マリアの鬱イベを起こしたNPC達の戦闘力だ。

 ここに関しては不明だ。

 だってゲーム本編に登場しないんだもん。

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 例外を除き、マホロ学園生とそれ以外の一般人とでは天と地ほどの戦闘力差があるはずだ。

 生活してみてわかったのは、"そもそもこの世界の人間の殆どは魔法もアーツも満足に扱えない"。

 天内はゲーム上では凡人だと思っていたが、この世界のスケールで測るとそれなりに才人なのかもしれない。

 それなりに使える戦闘力にはなっていると思うが、このNPC共に強者が居るかもしれないという点は懸念事項だ。



 もし、【マホロ生徒会役員】レベルの猛者が1人でも居ると、現時点の俺では負ける可能性がある。



 ここは油断せずに行こう。

 インチキ技"エクストラバレット"は使用者のレベル判定関係なく強者にも通ずる武器捨て身だ。

 俺は市販の武器しか現在所持していない。

 それでもある程度火力は出るほどに。

 現在レベル30以上の天内こと俺でもこのインチキをすれば星4キャラのレベル45~50相当以上の火力が瞬間的に出せる。


 ただ、それ以上の強者が居れば俺は負ける可能性がある。


 だが、プレイヤーとしての経験から言えば有用汎用スキルと有用汎用アーツの組み合わせで何とかなるんじゃないかとも思う。

 今現状できる最大のパフォーマンスだと自信を持って言えるだろう。


 何より最後の"奥の手"も用意してある。

 生存するだけなら問題ないだろう。


「さて、ひと眠りするか。しばらく空の旅を楽しもう」

 そんな不安をかき消すように俺は眠りについた。


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