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Player VS Dealer



/3人称視点/


 この異世界は天内の知らない情報があった。

 知らない事だらけであった。 

 彼の住んでいた世界に似ているが、その全てが違うのだから。

 

 この世界はゲームではない。

 ゲームメガシュヴァに似て非なるもの。

 

 天内を上回る者など掃いて捨てるほど居た。


 天内の知識を凌駕する者も当然存在するのであった。


 ・

 ・

 ・

 

「始めよう。狂乱者。君とワタシとのゲームを始めようじゃないか。

 盤面は揃えてある。こちらには終局のシステム魔人マニアクスという手駒が3騎ある。

 根絶者に反乱した君だ。さぞ面白い演目を見せてくれるんだろう?」


 天蓋の開けた、海原が見渡せる玉座。

 その玉座に腰を掛けながらクツクツと笑みを浮かべる男が居た。


「狂乱者。狂気の伝染者……いや、()()()。居るのだろう? そこに。なぁ? ネイガー(ペテン師)


 1人の男が遥か彼方に潜む何者かに問いかける。

 

 男は稀代の魔術師。

 天才を超える超人。

 超越者である。


 故にある答えを得ていた。

 千年の悠久の中で突き詰めた答えがあった。

 

 その一つが狂乱者マニックストライフの正体。


 マニックストライフとは形を持たぬ、()()()()()であるという事実に。

 

「この()()()()()()()()()()()。天の申し子。死の天使。魂に宿る狂気の騎士。今度は君の邪魔はさせないよ」


 5つの魔法を体得した稀代の魔術師は悲願を果たすべく千年の悠久を生き続けた。

 

 このグリーンウッド王国に潜み。

 ガリア帝国に潜み、アトランティスに潜んだ。

 多くの国王、皇帝、総統にすり替わり続け機を伺い続けた。

 特別な眼を持つ魔術師は、千年前の決戦においてマニアクスが持っていた憑依(スキル)を盗み、何度も記憶と意識を他人に転写し続け生き長らえた。

 その代償として彼の魂は摩耗しきっていた。


 残された時間が少なかった。


 そんな折であった。

 遂に今代、時空間魔法を扱える者が現れた。

 勇者が現れたのだ。


 魔術師は歓喜した。

 

 この世界には特別な魔導が存在していた。


 1。勇者にしか扱えない時空間魔法。


 稀代の魔術師でもこれだけは扱えなかった。

 だが特別な眼がある事を知っていた。

 故に眼を奪う事にした。 


 2。魔女のマニアクスが得意とする死霊術。


 既に魔術師はこれを体得していた。

 しかし、一つだけ技巧(アーツ)が足りなかった。

 故に殺した。


 3。魔物の王たるマニアクスが得意とする召喚術。

 

 稀代の魔術師が最も得意とする魔術であった。

 故に研鑽した。

  


 1人の狂人は多くの無辜の民を殺し尽くした。

 人の魂ほど純粋なエネルギーになるものはないのだと知っていたから。

 多くの人間の魂という巨大なリソースを触媒に、3つの魔術を相乗させ、起動させる禁忌の魔術。


 死者の完全なる蘇生。

 

 死者蘇生。


「もう……間もなくなのだ。間もなく盃に満ちるのだ」

 

 グリーンウッド王国:失地王ピクセル。

 ある時はガリア帝国:暴君アドニエル。

 また、ある時はアトランティス:総統フリード。

 

 彼は多くの顔と名を持っていた。

 既に本当の名も顔も忘れた男は左右異なる色彩を放つ瞳を輝かせながら天を見上げ自嘲する。


「それまで道化を演じようではないか。

 一塊の魔人に欺かれたフリをしようではないか。

 ワタシは、ワタシの悲願を果たすまで。

 一縷の望みに賭けて勇者が現れるまでこの時代まで生きてきたのだから。

 ワタシは、ただ逢いたいだけなのだ。

 ()()()よ」 

 

 


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