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プロローグ⑤ 情報化社会における陰と陽


 情報とは力だ。

 情報を制した者が勝者になる。特にこの時代はな。

 まず一つ俺の悲しい思い出を語らねばならないだろう。

 俺は情報化社会が生んだ悲しい怪物だという事を。

 そして情報に負けた歴史を。

 

 そう。あれは俺がまだ学生だった時だ。

 夏休み明けの教室で何やらみんなが仲良く談笑していた。

 俺はその話から聞こえる単語のピースを一つ一つ繋ぎ合わせていった。

 俺は頭は悪いが、超名探偵だと思っている。

 聞こえてきた単語はこうだ。

 "祭り"

 "クラス全員"

 "集合写真"

 "サイゼで打ち上げ"

 "オール"

 "花火"

 "夏休み"

 "マブダチ" 

 全てのピースを組み合わせた。

 俺のシナプスに闇の人格が生まれそうになった。

 いや、生まれた。

 俺の中にもう一人の俺が生まれた。

 

 そう。俺を除く全員で夏休み遊んでいたようだ。

 俺と仲良く学校で接していた友人だと思ってた有象無象共も行っていたようだ。

 なんで誘わないの?

 あのさ。なんでそういう事すんの? 

 悲しくなるんだよ。

 お前たちの狭量さに辟易せざるを得ないんだよ。

 その日俺は机に突っ伏し寝てるフリをした。

 何度も心配してくれた友人だと思っていた有象無象共は声を掛けてきた。

 ただ俺は腹が痛いと嘘をついて寝てるフリをした。

 ホントは寝てないよ。

 涙もでなかった。

 ただ一つ言えるのは、この世には知らなくてもいい情報があるという事だ。

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 ・    

 話を戻そう。

 俺には天内傑が手に取るようにわかる。

 天内傑という情報もこの世界のチートも全て熟知している。

 それは俺がプレイヤーだからだ。

 もう一度言わねばならんだろう。

 インフォメーション イズ パワー。

 

 天内の長所は広範囲な魔術適正や武器適正だ。

 これを活用しない点はない。

 まずは入手可能な武器を入手する必要があるが、さすがアクションRPGの要素も踏まえていることもあり武器屋は至る所にあった。金さえあれば何とでもなる作業だ。

 短剣、長剣、槍、斧、盾……めぼしいのはこんなとこか。どうやら銃は通常の手段では入手できないようだ。まぁ天内には扱えないけど。

 次に基本5属性魔術を全て初級クラスまで最低限覚える必要がある。その中でも派生魔法の一部魔術は能力底上げに特に重要だ。

 初級魔術は金さえ積めば書店で手に入る参考書で何とかなるだろう。

 中級以上は国立図書館に行く必要があるがこれも問題ない。

 上級は市販の方法では魔術書の取得が困難だ。というか不可能に近い。

 そして超級となると天内ではそもそも習得できない。

 ちなみに特別な魔術である時空魔術や聖属性魔術、死霊術や呪術、召喚術などは市中では習得はできない。そもそも特殊な立ち位置の魔術は天内では適正があっても使用できない事が多々ある。

 これらは後でいいだろう。



 ゲームがリアルとなったこの世界では魔術理論なるものがあり、それを完全に理解し、さらには必要相当の魔力がなければ魔術は発生しない。

 現代人というかゲーム外の俺達の世界に当てはめてわかりやすく言うなら数式を完全に覚え、式を証明、応用、作成し利用するとか外国語がペラペラに喋れるようになる、に近い知識が必要になってくる。

 ほぼ勉強と変わらない。つまり暗記し実践し理屈を学ぶとなると魔術は効率が悪い。普通に地頭が必要になってくる。そして俺は頭が悪い。

 武器術や武術はある程度のプレイヤースキルでカバーできるだろうが、それも実践レベルとなると真面目に素振りから始めるなども効率が悪い。

 つーか時間がない。

 さらに付け加えるなら達人レベルまで引き上げるとなると単純に一生鍛錬の世界観であるのかもしれないという疑念もある。



 つまり最優先で必要なのはスキル取得。

 次点でレベル上げによる基礎能力の向上とアーツの取得だ。

 最後に魔術の複合技とプレイヤー経験を踏まえた特殊な戦い方だろう。

 まず、“高速思考”、“並列思考”、“身体強化”これらのスキルを習得し時間を短縮。

 これはゲーム、メガシュヴァでも魔術取得やアーツ・武器術レベル上げの際に訓練時間削減の為に取得推奨された有用スキル達。

 おそらくこの世界でも有効だと思われる。

 魔術、武器術、身体能力の向上習得に充てる。

 どうやらこの世界の常識としてスキルはある日授けられるものであり、個人で選んで取得できるものではないという事らしい。

 つまり習得条件が実は明確にわかっていないらしいのだ。しかし取捨選択しスキルを習得する術はある。

 それは俺がプレイヤーだったから知っている事だ。 

 スキルはレベル上げ・ダンジョンのクリア・サブイベの消化などで取得できる。

 それ以外にも取得方法はあり、例えば特定の場所を訪れれば入手できるのもあれば、本を一冊読めば入手できるスキルすらある。

 高速思考や並列思考など能力向上系のスキルは有用汎用スキルでありながら、あっさりと手に入る。

 もちろんゲームでいう二週目以降だけど。

 つまり何が言いたいかというと裏道があるという事だ。

 アダチストリートの外れにある寂れたオンボロ古書店という古書店があるのだが、山のように積まれた古書の中にこの三つの秘伝スキル皆伝の本がある。

 これは1週目のルート攻略後にボーナス報酬として運営によって解放されるのだが、情報さえ知っていれば1週目の序盤でも入手可能なのだ。

 情報は力だ。

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 結論から言うと“高速思考”も“並列思考”も“身体強化”も全て入手できたと思う。

 適当なデモンストレーションと人体実験を行ってそれは確認済みだ。

 古書店で初級魔術書に書かれている魔法を立ち読みするだけで基本5属性の有用魔術を幾つか習得できたのだからこれは間違いないだろう。

 買う必要もないが古書店の店主に色を付けて全ての初級魔術本は買わせて頂きました。

 にしても、大体ここだろう。という目安で探したが滅茶苦茶骨は折れた。

 普段は客の一人も来ない店で3時間近く目当ての本を必死に探す俺は奇人であっただろう。

 店主の目が不審者を見るそれであった。だからこそ古書店の店主に色をつけた金額を支払ったわけだが。


 武器術や武術のアーツ取得はモンスター狩りによる経験値と魔素獲得による実践と試行錯誤が主流になってくる。

 俺は全ての技術をキャラクター的に極められないのなら特殊な戦闘方法を実践するつもりだ。

「次はレベル上げだな。行こうか誰も知らないだろうダンジョンに」

 

 

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