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僕は死神だ

人界に降りたライはいつも通りダンジョンへと向かった

「もう一年も死神やっていて、こんなに人と出逢って数えれないのにどうして…命を奪えないかな」

ライは薄暗く道の所々にある松明の明かりをボーッと見ていた

外の光が弱くなり、さっきまで太陽の光が眩しく、死神としてあまりずっと外にいるとピリピリと皮膚が熱い

死神は基本もっとレベルが高いダンジョンや、初心者狩りをしているものもいる

だけど、ライは誰も来ないような静まり返っている森深くの洞窟に松明を置き、日々を暮らしている

暗くなった外に少し歩き出した

「ホーホケキョ」

春を告げる鶯の声が森に響き、ピンクに染まった木は花びらをヒラヒラと舞っていた

「夜桜もいいな…」

一つ誰にも聞こえないような声で呟いた


「ねぇ、誰かいるの?」

怯えたような声で聞く人が近くにある桜の木からヒョコっと顔を出し右手にはダガーを持っている

「怯えなくて大丈夫、何もしないから」

ライはさっきまでの雰囲気から、できる限りの笑顔を作り、優しい声で聞く

「どうした?もう遅い時間だし帰らなくて大丈夫?」

優しい声で聞いた事で相手も少し安心したのか

「もう立派な17歳だよ、大人です!あなたの名前は?」

とても笑顔がキレイな人だった、その人はいつも一人の僕に喋るとこがあまり怖くないかのように、僕の心に響く顔は見て入れなかった

〈こんな笑顔を作れたら、死神なんてしなかったのに〉

心の中で深く刺さる痛みは膝から崩れ落ちた

「大丈夫ですか?水を飲みます?」

膝を土につける僕に寄り添ってくれる彼女はとても不安そうで悲しそうだった

「大丈夫だよ、ちょっと疲れただけだよ」

ライは立ち上がり、空を見上げた、とても煌めく星は三角形を描き少し寝転んだ

「星が綺麗ですね」

転がる僕の横で一緒に星を眺めていた

「そうだ、名前を聞いてなかったね、僕の名前は……」

ライはどれだけ命を奪えなくてもあくまで死神である、ライという名前も人々から嫌われる死神だから、覚えている人が殆んどである

「名前言えない?」

彼女からの声に無言が走り、それを打開するため小さく頷いた

「しょうがないな、言いたくないんでしょ、多分私の事を気遣ってくれたと信じるよ」

「私の名前はクライネ、17歳でレベルは18だよ、魔法は風を操るんだ」

クライネと言った彼女は立ち上がり服についた土を払い、僕に手を差し伸べた

「ほら、立って、疲れているなら私のところで休んでいって」

その声に思わず手を握り、ありがと、と言おうとしたが言えなかった



「僕の名前はライ、死神さ」

言いたくもない言葉は、必然に強制的に言い放たれる


死神とは人間に感謝を述べれないのである、そして人間に好意的なとこをされるたび、〈嫌われる事を強制に行われるのだ〉


死神と人間の手は結ぶことは不可能だ

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