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コイバナ  作者: 刹那
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第一話:エスパーじゃねえか

遅咲きの青春に花が咲く

―人を好きになるのに理由はいらないと誰かが言っていた

学者だったか、どこかの小説家だったか、それとも女子高生の恋バナに登場するようなことなのか

そうだとしても本当にその通りで、もうどうにもならないし、する気も起きない程に、その通りで。

どうにかなってしまっていて、お手上げ状態。

完全に参っているのだ。


いつ?どこで?きっかけは?

何が?何を?どうしたい?

誰かが聞いてくる。


そうだな―…叶うことなら――…



*第一話:エスパーじゃねえか


―俺の毎日は充実していた。

バイトをこなしながら、大学にも周りの友達に比べたら割とちゃんと通っていたし

そして国家資格を収め、今は地元から少し離れた病院で新米の小児科医として勤めている。

我ながら子供、ひいては親御さんにもまあまあな人気を博している…と思う。

そして家に帰れば俺より2歳年下で、茶髪のストレートヘアがよく似合う

かわいらしい彼女が待っているー…


「はあ?浮気されたかも?!」

「…るせ…声がでけえよ…!」

はずだった…。この通り俺は彼女の浮気を疑っている。

そしてそんな情けないことを高校からの友人の

柊優也(ひいらぎゆうや)に相談、というか酒の席で

いい感じに酔っぱらった俺に、彼女とはどうよなんて発破かけてきた流れでこうなっている。

「てかお前。それ、なんとなく察して今日誘ってきたんだろーが、白々しいんだよ」

ばれた?なんてずる賢い笑みを浮かべながら、残り僅かなビールジョッキを傾ける。

こいつは昔からこういうやつだ。

俺の考えてることを見透かしてるくせに、自分から核心をついてこない。

俺に言わせようと遠回しに、外堀から攻めて、逃げ場がないと気づいた時には

もうあいつの所しか逃げ道がないように仕向けて、俺はそこに逃げざるをおえない。

食えないやつ…なんてとんでもじゃない。

そんな生易しいもんじゃない。

「毎度、毎度、お前はエスパーかよ。あー、あれか、メンタリストってやつかなんかか」

「あ?馬鹿言うなよ、俺はお前ほどの学もなけりゃ、お前が思ってる程いい奴でもねえよ」

そう言って残りのビールを飲み干すと、手元にあったメニュー表に目をむけて

次は何飲むかななんて話をしてくる。

「お前はどうせビールでいいだろ、お姉さー…!」

「まった、今日は日本酒」

「ふーん…あっそ」

あいつはそういってまた、何かを察したように見透かしたように

俺を一瞬だけ見て、店員さんを呼び止める。

注文を終えた後の少しの沈黙を破ったのは俺だ。

「なんでだろうな…」

思わず口をついてでできてしまった一言。

そんな一言を優也は逃さない、逃がさない。

俺を見た後、男にしては長めな睫毛を伏せてフッと笑って答える。

「…なにが?お前が彼女ちゃんの携帯を勝手に見た理由か?」

「-…ばっ…!」

「浮気された理由なら分かるわけねえだろ」

「馬」の続きは言わせてくれなかった。

そしてため息交じりに頬杖をついて続ける。

「どっちにしたって、俺が理由なんか理解る(わかる)わけねえだろ、俺はエスパーでも

メンタリストでもない、ただの会社員だぞ?それに、確定したわけでもねえしな。

どうせ彼女ちゃんとまともに話してもないくせに、一人で抱えるのが堪えきれなくなって

抱えきれなくなって…本当は悪酔いするから苦手だつってた日本酒頼んでんだろ」

ケラケラ笑う優也と俺の間に、まるで見計らった上での気遣いのようにさっき頼んだ日本酒と

つまみが運ばれてくる。

「だから、傷心でかわいそうな橘伊織(たちばないおり)ちゃん、なぐさめの会に俺がつきあってやるよ」

そういって二つきていたお猪口に酒を注ぎ、俺に傾けてくる。

「…くそだせえ」

なんだそのネーミングセンスと続ける。


―そうじゃない。俺が聞きたかったのは知りたかったのは、そういうことじゃない。

どうしてお前が今日俺を誘ったのかだ。

どうして俺だけで抱えるはずだった不安を

疑念を、動揺を、沈痛を。

何故、なんで、どうして…

お前が一緒に抱えようとしてくる。

いつもそうだ、何気ない面して当たり前のように俺が何かをこぼそうとすると

必ずお前がいて、俺に何一つこぼさせない。


俺はそこから酒の勢いってやつに完全に身をゆだねて、事の経緯と俺の気持ちをさらけ出し

上っ面のアドバイスみたいなことじゃなく、ちょいちょい軽口を混ぜながら聞いて、聴いて…

ただただ、聞いてくれた優也に少しだけ感謝しつつも、端的に言ってむかついた。

聞き上手といったらそうなるし、誘導尋問といったらそうなる。

どこからかも分からないし、どうやってそうしているのかも分からないけれど。

結局今回も優也の作った外堀にまんまと足をすくわれ

優也が作った逃げ道に逃げざるをえない状況で全て、洗いざらい話をさせられ

「そんなこったろーと思った」

なんてにやりと笑われた時には思わず舌打ちをしたものである。


やっぱり、エスパーじゃねえか。くっそ。


はじめまして。

刹那-セツナ-と申します。

初めて書き進める小説なので至らない事もあるかと

思いますが、ぜひよろしくお願いします!

もう夏なのに、春っぽい雰囲気で私の時間軸も

遅咲きでございます笑

ていうか前書きとかの使い方あってんのか?これ…

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