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第七話 試練をぶち抜き、この手で運命掴み取る! これぞ熱血乙女道!(四)


「まさか、ここまでひどいなんて……」


 衝撃と嘆きのあまり、ジュリアスは喉を震わせ、言葉を詰まらせていた。


 ざっと見ただけでも、胸を貫く傷が十以上もある。


 赤黒い傷の穴からは、じくじくと血がにじみ続け、陰惨かつ淫靡な彩りをタイタニアの肉体に添えていた。


 無数の深傷を負い、おびただしい出血で身体を深紅に染め上げた長身の肉体。


 今、目の当たりにしているのは偽の死体ではなく、タイタニア本人だ。


 その事実が、ジュリアスを打ちのめす。


 後悔と悲嘆が重く分厚い壁と化して、全方位から迫って来るみたいだった。



「ティナお姉様――」



 今にも停止しそうになる思考。


 何とか踏みとどまり、ぽつりと呟いた。


 これほどの重傷を負ったまま、あの恐ろしいほどの戦闘能力を持つアレスの巨大人型機動兵器と激戦を繰り広げていたというのか。


 なんという無謀な戦いを、なんという無茶をさせてしまったのか。


 どうしてこんなことになってしまったのか。


 新世代のエリュシオーネとして覚醒が近づいていたタイタニアを説得し、ハンザから連れだし、エリュシオーネたちが住まう隠れ里に案内する――それが今回の遠出の目的であり、ジュリアスの役割だった。


 幼い頃に見た、頼もしく、勇ましく、優しいタイタニアの姿。


 自分のことを今でも覚えていてくれているだろうかなど、心の片隅で期待を膨らませていた。


 数年ぶりの再開にもかかわらず、こちらの話に理解を示してくれたタイタニア。


 想定外のトラブル――アレス側の巨大兵器との偶発的戦闘こそあったものの、おおむね順調に物事は進んでいた。


 偽の死体を準備し、検死解剖の現場まで見せ、バルカンヌを欺くことに成功。


 後は、待ち合わせ場所に向かうだけ――そのはずだった。



「でも、どうして……」



 だが、裏をかかれたのは、自分たちの方だった。


 バルカンヌは、騙されたフリをしていたのだ。


 自分とレヴィンが時間稼ぎをしている間に、変装をしたタイタニアとユーリカが無事に逃げおおせるという手はずを見抜いていたのだ。


 そして、とっておきの切り札であるアレス側の手練れを、タイタニアにぶつけてきたのだ。


 新たなエリュシオーネの誕生と覚醒を阻止するためとはいえ、これほど用意周到な策をもって臨み――しかも、自らの娘を殺すことさえいとわないなど、予想できなかった。


 きっと、知らぬうちに相手を甘く見ていて、気持ちがゆるんでいたのだろう。


 その結果が、目の前で生死の境をさまよっているタイタニアなのだ。


 自責の念が積乱雲のごとく立ち上り、罪悪感と後悔を豪雨のごとく降らせてくる。



「僕のせいで、僕のせいで……僕なんか……」



 己の甘さを呪い、責め立て、タイタニアを抱きかかえたまま立ちすくむジュリアス。


 死んで詫びを入れたいという気持ちとは、まさにこのことか。


 だが――だが、いつまでも打ちのめされていて、良いのか。


 ジュリアスは、頭を振って、考えた。


 自分を責めていれば、それで良いのか?


 いいや違う、決して違う。


 自分にできる最善を尽くし、抗ってみせる――タイタニアならきっとそうするだろう。


 『乙女道』という独自の哲学を振りかざし、いかなる試練にも敢然と立ち向かっていったタイタニア。


 あの姿を見て、自分は何も感じなかったというのか。


 自分は何のために駆けつけたのか、思い出せ。


 自分には何ができるのか、思い起こせ。


 何のための装甲思念体か。


 何のため新世代エリュシオーネとして生を受けたのだ。


 あらん限りの知と技を駆使し、タイタニアを死の淵から引き上げてこそ、詫びを入れることができるというものではないのか――



「僕の……僕の装甲思念体は、何のためにあるのか思い出すんだ。

 ティナお姉様の身体には、まだぬくもりが残っている……

 まだ間に合う、そして僕にはできるはずなんだ、きっと――」



 ジュリアスの脳裏には、タイタニアの姿が再生されていた。


 いかなる試練にも真っ向から挑む、あの頼もしく、勇ましい背中が。


 そして艶っぽくて、それでいて無邪気で柔らかな微笑みが。


 この人を絶対に死なせるわけにはいかない――確固たる決意が、ジュリアスの中にあった。


 タイタニアを抱きかかえたまま、背中の翼を操作、水蒸気の放出を再開し、推進力を発生させる。


 地面からわずかに浮いた状態を維持しながら、すうっと宙を滑るようにして前方へ移動。


 翼の推進力を停止させ、静かに着地した。


 ゆっくりと膝を曲げていき、地面の上に折り重ねる。


 全身にまとう装甲思念体の硬度を大きく減らし、柔軟でしなやかなゼリーのような質感になるよう操作した。


 女性的に膝を崩して座るジュリアスは、タイタニアの頭をそっと膝に乗せる。


 柔らかなジュリアスの膝に、タイタニアの後頭部が浅く、ふわっと沈み込んだ。



「まずは、手当をするための場所を――」



 ジュリアスは、両腕を点に向けて差しのばす。


 タイタニアを治療するための場所を、周辺にある水分子をかき集めて構築するのである。


 ジュリアスの両腕及び背中の翼六枚が、淡い青光を放ち始めた。


 装甲思念体を構成する思念科学素子が活性化し、限定的物理干渉を開始。


 周辺の大気、植物に含まれる水分を、少しずつ分けてもらい、かき集めるのである。


 ジュリアスが掲げる両手の間に、水分子が集結し始めた。


 表面にさざ波を立てながら、水の球体はどんどん大きさを増してゆく。



「これくらいあれば……」



 ジュリアスは直径一メートルほどの水の球体を、ゆっくりと前方の地面へと誘導した。


 ゆらゆらと漂うようにして着地する水の球体。


 その表面が、激しく振動を始めた。


 そして待つこと約十秒――水の球体の表面がはがれ、水でできた無数の花弁が開いてゆく。


 ジュリアスが水分子を操作して作り出した、医療措置用の寝台。


 それはまるで、一斉に満開になった蓮の花だった。


 直径二メートルもある、水でできた大きな蓮の花が、ぼんやりと青い光を放っている。


 その中央は、やや膨らみを帯びた円面状で、実に柔軟性に富んだクッションのようになっていた。


 不用意な刺激を与えぬように注意しながら、ジュリアスは膝枕に乗せているタイタニアを抱きかかえる。


 蓮の花の中へ進み、その中央部のクッションにタイタニアの身体を横たえた。



「傷の状態は……体内はどうなっているんだろう……」



 ジュリアスは、タイタニアの傷の状態を詳細に把握することから始める。


 治療方針を決定するにあたって、真っ先にやらねばならない。


 右腕に意識を集中、体内の水分子を使い、極細の医療用ワイヤーを生成。


 右前腕部より、ぼんやりと光を放つ無数の水分子ワイヤーが伸びる。


 ジュリアスが作り出した医療用ワイヤーは、物性操作を施された水分子を材料として形成された精密機械そのものであった。


 内視鏡でもあり、メスでもあり、縫合糸でもあり、薬液などを運ぶ輸送管でもある。


 光り輝く無数のワイヤーが動き、タイタニアの両乳房に穿たれた傷穴から体内へと入っていった。


 体内組織をなるべく傷つけないよう細心の注意を払って操作するジュリアス。


 極細のワイヤー群が、細胞間をぬうようにしてタイタニアの肉体の中を進んでゆく。


 そして、膨大な量の情報が、ジュリアスの思考の中に洪水のごとく流れ込んできた。


 各傷の立体構造、損傷の空間的分布、血液の喪失量、各臓器の損傷度、神経の寸断状況、動脈及び静脈の切断箇所、胸郭内膜の損傷箇所――思念科学素子と接続されたジュリアスの論理思考が、猛烈な勢いで情報統合処理を開始する。



「なんて失血量だ! あっ……肺も気管支も、肋間神経もズタズタっていうのか?

 心臓は……な、なんだこれは? 原型を留めてない!

 これじゃバラバラの肉片じゃないか……」



 タイタニアが追った損傷のあまりの深刻さに、言葉を失うジュリアス。


 気が遠くなりそうになるのを、歯をグッと噛んで堪えた。


 普通の人間なら、すでに死んでいるような状態だ。


 いや、人間にとどまらず、循環系を持つ生物なら、構造的に生命維持が不可能な損傷であった。


 心臓をみじん切りにされ、循環機能を失い、身体の各所で血流が寸断されているのである。


 身体のあちこちで、血流阻害による壊死が起きていてもおかしくない。


 タイタニアの命をつないでいたのは、わずかに活性を残している思念科学素子のおかげであった。


 極めて強いホメオスタシス――いかなる損傷を負おうとも限界まで宿主の生命維持をする力が、働いているのだ。


 大量の失血により、断絶した血流では生命維持が不可能。


 そこで、思念科学素子が物理干渉能力を用いて細胞の壊死を防ぎ、生命活動を支えていたのである。


 とすれば、時間は限られている。


 思念科学素子の活性は時間と共に損耗しており、このままではいずれ思念科学素子も活動を停止する。


 すなわち、タイタニアに確定的な死が訪れるということなのだ。


 これは、なかなか難儀な措置になりそうだ。


 心肺の損傷部位の修復――バラバラになった心臓に至っては、一から再構成するくらいの話だ。


 失われた血流の復活――輸血をしなければならないが、心臓が動いていなければ、身体の隅々まで血液を届けることができない。


 思念科学素子の活性の回復――治療作業を全て中断しなければならないし、ジュリアス自身も一時的に行動不能になりかねない。


 どの順序で進めるべきか、あるいは複数プロセスを同時並行に進めるべきか。



「この場合は……心肺の復活、血流の復活を優先し、並行で進めて……

 思念科学素子の活性復活は最後に――これで、これで良いのだろうか?」



 ジュリアスは身を硬くし、眉間に険しい表情を浮かべ、思案した。


 タイタニアの命が、かかっている。


 これは訓練でも練習でもなく、生死を賭けた修羅場。


 しかも人間では無く、エリュシオーネに生まれ変わる過程にある肉体の蘇生措置である。


 己の知識と技を総動員し、なおかつ思念科学素子に蓄積された過去の情報と照合し、最適な医療手順を決定せねばならない。


 相談できる者はおらず、自分一人で決めねばならない。


 本当にこれでいいのかと、絶え間なく問いかける。


 重圧との戦いだった。


 いくら時間を掛けても完璧な答えなど、たどり着けるとは限らない。


 今は、時間の勝負だ。


 とてつもなく時間が貴重だ。


 タイタニアの思念科学素子が疲弊し、活動を停止してしまう前に十分な措置を施さなければならない。


 ジュリアスは、ぐったりと横たわるタイタニアの顔を見つめた。


 答えを求め、すがりたくなる誘惑にかられる。


 その時だった。


 ――大丈夫よ。ジュリちゃんは、とってもお利口さんだから。


 タイタニアの声が脳裏に直接入り込んで、響いたみたいだった。


 そして、微笑みかけられ、頭を撫でられ、抱きしめられたような錯覚を、鮮鋭に覚える。


 タイタニアの意識はまだ、戻ってはいないはずだ。



「今のは、一体? 思考と感覚の同調……いや、そんな――」



 否定しようとして、ジュリアスは気づいた。


 いつしか、自分の中にあった迷いが、かき消えそうなほどに薄らいでいることに。


 そろりそろりと、タイタニアの体内から無数のワイヤー群を引き抜き、前腕の中に引っ込めた。


 己の右手を、じっと見下ろしながら考える。


 自分の思念科学素子と、タイタニアの身体に宿る思念科学素子が触れ合い、何かが起きたのかもしれない。


 もしかしたら、タイタニアの心と一時的につながっていたのではないか。



「ティナお姉様なら、きっとそんなこと言いそうだよね……」



 ジュリアスは、口元に控えめな微笑みを浮かべた。


 医療措置用の寝台を構成する、花弁状の水のシートに、すうっと両手を差し込む。


 手でかき回し、ちゃぷちゃぷと音を立てながら、ゲル状になった水を手の平にまとわせた。


 透明で大きなグローブを身につけたような感じになる。


 静かに大きく呼吸をひとつして、タイタニアの方に向き直った。



「しばらくの間、裸見ちゃうけど……ごめんね」



 きゅっと目を瞬かせてから、ジュリアスは水の医療用ゲルをまとった手を、タイタニアの身体にそっと押し当ててゆく。


 血液でべったりと覆われたタイタニアの身体をぬぐい、清潔に保つのである。


 ふわっ、ふわっ、と弾力的にゲルを押し当てていくと、流れ出た血がみるみるうちに吸い取られていった。


 真っ赤な絵の具をこぼした白磁の器を、水で濡らした布巾でぬぐうように、白い肌が徐々にその姿を現わしてゆく。


 よくくびれた腰から脇腹、脇腹から胸、そして首元から顔にかけて血を拭き取っていった。


 貫通創がいくつも穿たれている胸については、じっと手の平で包むようにしながら、傷口をいたわるように丁寧に血を吸着し、ぬぐい取ってゆく。


 透明感のある白い肌と、両胸の傷口の深紅が、鮮やかなコントラストを成していた。


 手当をするにあたって、上半身の血のりをぬぐっておけば十分。


 下半身の血のりについては、時間の制約もあるので後回しにした。



「これでよし……まずは、肺の貫通創から縫合していこう」



 ジュリアスは、医療用の極細水分子ワイヤーを形成し、両方の前腕から伸ばしてゆく。


 医療用ワイヤー群は、いくつかの束に分かれると、タイタニアの両乳房に穿たれた傷口に、するりと忍び込んでいった。


 ジュリアスは目を閉じ、両手から伸びるワイヤーに感覚を集中させる。


 複数箇所を同時並行で縫合してゆくのだ。


 まず、背中側の傷口までワイヤーを差し込み、通してゆく。


 胸郭内部を覆う膜をワイヤーで撫でるようにして、貫通部位を特定。


 毛髪よりも細い水分子ワイヤーが、断ち切られた膜組織を細胞レベルで縫い合わせてゆく。


 続いて、肺組織の縫合である。


 縫合が不十分だと外傷性気胸となるので、注意が必要だ。


 まず、背中側・肺表面にある裂傷をワイヤーで縫合する。


 次は、肺の内部の損傷の修復だ。


 ブドウの房のような肺胞と、それを取り巻く動脈・静脈、そして気管支。


 肺胞の損傷は自然治癒しやすいので、肺胞の縫合は簡易に実施。


 その分、切断された気管支の縫合は慎重に行う。



「ふう……縫合は、この調子で大丈夫かな?

 それにしても、組織がすごくしっかりしてる。

 伸展性、柔軟性、耐久性……思念科学素子の活性が、思っていたよりも残っていたのかな?

 これなら、行けるかもしれない」



 迷宮のように入り組んだ肺組織の内部を縫合しながら、ジュリアスは蘇生措置がうまく行くのではないかという手応えを感じ始めていた。


 胸郭内部の膜や肺組織の縫合を一通り終えると、切断された神経の修復・縫合に取りかかる。


 肋間筋を始めとする呼吸筋や横隔膜の機能回復にあたって、欠かせない措置だ。


 肺や心臓が回復しても、神経不随で呼吸ができないと一大事である。


 それだけではない。


 神経系の修復が不完全だと、違和感が残ったり、感覚喪失や麻痺感など後遺症が残る危険がある。


 生活の質が著しく阻害され、暗澹たる人生になりかねないので、大変重要なプロセスなのだ。


 ジュリアスは、むむっと口を真一文字に結んで、気合いを入れた。


 医療用ワイヤーを操作し、肋骨に沿って移動させ、肋間神経の状態を確認する。


 肋間神経は、脊髄から発し、肋骨の間を縫うようにして胸部から上腹部に広がっている神経網である。


 調べてゆくと案の定、各所でズタズタに切断されていた。


 このまま放置していれば、かなり深刻な後遺症が残りかねない。


 思念科学素子のホメオスタシスによって、通常の人間と比較すればかなり回復する可能性が高い。


 だが、それまでの間、感覚喪失や麻痺感や激痛などに散々苦しめられることは明らかである。


 神経障害の後遺症に苦しむタイタニアの姿など、決して見たくはない。


 神経軸索の対応関係を確認しながらの縫合は、大変骨が折れる作業だが、ここが大事である。


 要領を確かめるべく、とある神経切断箇所で縫合を開始した。



「こっちの切断面は……ということは、これとこれかな?」



 医療用ワイヤーから伝達される知覚情報を元に、縫合する神経軸索の対応関係を決めてゆく。


 切断された神経軸索の表面をワイヤーでなぞって、形状を比較。


 神経束の断面構成を調べ、神経軸索の位置関係を把握する。


 確認が取れた神経軸索から、次々と縫合していった。


 縫合後、微弱な生体電気を刺激として加え、自律的な神経再生を促す。


 思念科学素子による物理干渉能力も手伝って、切断された神経網の縫合と再生は、順調に進んでいった。



「よし! いいぞ、いいぞ。神経がピタっとくっついて……ん?」



 コツを掴み、神経縫合再生のペースが上がっているジュリアス。


 その時、ふいに、何かが頬に触れてくる感触を覚えた。


 目を閉じ、意識を医療用ワイヤーに集中させていたため、突然の感触に驚いてしまう。



「あ、ああっ――」



 何かと思って目を開けたジュリアスは、思わず声を上げてしまった。


 ジュリアスの頬に触れていたのは、なんと、タイタニアの右手だったのである。


 うっすらと片目を開け、力なく微笑んでいた。



「な……んか、くすぐったいと思ったら……ふふふ、なに、してるのかしら?」



 ここまで早い段階でタイタニアが意識を取り戻すとは、良い意味で予想外だった。


 胸のつかえが下り、今まで重圧に耐えていた反動か、急に嬉しい気持ちが膨れあがる。


 できることなら、両手でタイタニアの手を包んであげたい。


 あいにくながら、現在は神経の縫合という精密医療処置の真っ最中だ。


 かといって、このまま反応しないのも、どうかと思う。


 ならば、ちょっと恥ずかしいけど――少しはにかみながら、ジュリアスはタイタニアの手に頬をすり寄せた。


 首を小さく上下に揺らし、頬を押しつけ、嬉しい気持ちをタイタニアに伝えようとする。



「ごめんね……だいぶ、心配させちゃったみたいね」



 タイタニアは、かすれた声で囁くように語りかけた。


 親指の腹で、ジュリアスの頬をスリスリと可愛がるようになぞり続ける。



「……ううん」



 ジュリアスは目をしばたたかせながら、頬をすり寄せ、タイタニアに応えた。




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