表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爆走腐男子くん  作者: らんたお
7/23

八雲くん家のパワフル姉妹!

 今日の僕は、とある使命を全うすべく張り切っている!!


「って、お前はいっつも張り切ってんだろうが、周りが引くほど」


 という栄くんの呆れた言葉は無視だ無視。って、また僕口に出していたのか!

 ショックをあらわにした僕の頭に、栄くんの大きな手が乗せられる。


「あんま、人様に迷惑かけんなよ。子リス」

「ちょっ、僕、リスじゃないから!!」


 じゃあな、と部活に行ってしまう栄くんに尚も訂正の言葉をかけるが、教室を出て行かれてしまう。

 ちょっとぉー!! 僕のこの右手がかわいそうだとか思わないわけ!? じゃ、なくて!!


 最近、栄くんが僕を育児放棄するんだ…酷い!


「未来くん、いつの間に栄の家の子になったの?」


 と、またもや僕の心の声を拾われ、八雲くんにツッコミを入れられる。

 違うよ、今のは冗談だよ、そういうボケだよ、と弁解すればするほど、にっこり笑顔の八雲くんに頭を撫でられてしまうという状況。なんか、これもパターン化してきている気がするんだ。

 ホントにねぇ、最近の八雲くんは僕の頭撫ですぎだから! 偉いねぇ、凄いねぇ、上手だねぇって……僕、どんだけ子供に見られてんの!?


「じゃあ、行こうか。あんまり遅いと、帰りが遅くなっちゃうからね」

「うん、そうだね!」


 えへへ~!! 実は今日、八雲くんのお家にお邪魔させて頂くのだ!! 僕、お友達のお家に行くっていうのも憧れてたんだよね~!!

 小学校までは、人様の家で粗相があっちゃ駄目だからって、家に友達を呼ぶことは許されてたんだけど、中学に上がる頃にはお姉ちゃんが就職しちゃって家にいないから、お家で遊ぶことも出来なくなっちゃって寂しかったんだよねぇ。

 まぁ、僕はお姉ちゃんの影響で腐に目覚め始めてた時だったから、仕方がないのかもしれないけど…


 そ・れ・が!! 高校生になったから、解禁されたのだ!!

 ただし、腐男子全開は相変わらずご法度ってことだけど…いやでも、中学まではちゃんと隠し通したよ!?

 ちょっとオタク入ってる変わり者、ぐらいにしか見えない程度に抑えてたから!!

 でも、高校生になった途端、腐男子ってこともお友達と遊ぶこともオッケーってなって、抑えが利かない暴走列車にみたいになっちゃったのは仕方ないと思うんだっ、と弁解してみる。


 やっとお姉ちゃんの許可を得てスクールライフを満喫できるのだから、ちょっとぐらい、羽目を外しても大丈夫かな~?

 いやでも、さすがに人様の家で粗相なんて起こしたら…王子様みたいな八雲くんのお友達の座を失うのも嫌だし、大人しくしていよう。

 せっかく、八雲くんのお姉さんと妹さんが僕に会ってみたいと言ってくれてるんだし、ヘタに印象悪くして友達付き合いまでギクシャクしちゃうのは困るから…うん、大人しくしていよう!

 八雲くんに手を引かれるまま、決意を新たにしたのだった。


 って、また手を引かれてる!? 僕、別に迷子になったりしないからぁ!!

 このままだと、栄くんと八雲くんのカップリングどころか、僕と八雲くんの方が妖しい関係だと思われちゃう!

 僕、ちゃんと逸れないように付いて行くから大丈夫だよと言って、手を放してもらった。





 駅を降りて、いくつかの交差点を通り過ぎ、角を曲がりに曲がってやっと八雲くんのお家に到着した。

 王子様のお家に相応しい、ノイシュヴァンシュタイン城…とまでは行かないまでも、ドイツの木組みの家のような可愛らしい外観。これはこれで、八雲くんに合いそう。

 しばらくぼーっと外観を見ていたけど、八雲くんにどうぞ入ってと言われて我に返り、促されるまま、お邪魔する。


「いらっしゃい。あなたが未来くんね?」


 やだ、ホントに可愛い!! と玄関入った途端、美人さんにキャッキャされた。

 ちょ、超絶美人過ぎる!! だって、どう見たってすっぴんだよ!?

 綺麗なおねぇさんにぽわぁ~っとしていると、おねぇさんが衝撃的なことを言い放つ。


「うん、いいわ。お兄ちゃんと結婚することを認めます!」

「は…え?」


 あなた可愛いし、全然オッケーよ、と…

 え…ていうか、お兄ちゃん? 結婚? は!?

 モデルのようなポーズを決めながら、なんだかとんでもないことを言っちゃってるんですがこのお方!?

 どことなく、気位の高い我がままプリンセスって感じの態度で、さっきまできゃっきゃしてた姿が嘘のようで…っていうか、え?

 男の僕と八雲くんの結婚を認めるだとかなんだとかって、どういうこと!?

 もしかして、お・な・か・ま!? とても腐女子には見えないけど…そうなの!?

 こんな美人さんが…と、とんでもない衝撃波を食らって絶句してたら、空かさず八雲くんが割って入ってくれる。


「こら、上総。開口一番失礼だろう? それから、未来くんは男の子だよ」


 ここは渋谷じゃないし、男同士は結婚できないから、と八雲くんは言ってくれるが、それ以前に恋人じゃないってことも言っとくべきだと思うんだけど!!

 妹さん、多分誤解してる!! 僕等の関係誤解してるよ!? 八雲くん、なんとかしてっ、と心の中で八雲くんにお願いしてみるも、八雲くんが更なる言葉を発する前に、気位の高いお嬢様は拗ねたように仰った。


「だって、下手な女にお兄ちゃんを取られるぐらいなら、この子の方がいいんだもん」


 可愛いし、いい子そうだし、もう1人ぐらいお兄ちゃんが出来ても別に構わないわよ、と…

 いや、なんか…そういう問題じゃない! お友達として認めてもらえればそれで満足なので、どうか恋人にまで格上げしないでぇ~!!

 ていうか、八雲くんはちゃんと僕の事お友達だって言ってくれてたんだよね!?

 もしもそこをスルーしてたんなら、八雲くんの可愛いもの好きな言動からして誤解されちゃってる可能性は無きにしも非ずだよ!?


「ぼ、僕はお友達で」

「『僕』!? あら、ますます可愛いじゃない。決定だわ。この子との交際を認めます!」


 何を気に入れられたのか分からないけど、別に必要ないですからぁ!!

 お友達付き合いを認めてさえくれればそれで十分です!!


「上総、いい加減にしようね。未来くんは友達なんだよ。別にお付き合いはしてないから」

「だったら、今から付き合えばいいじゃない」


 何、この、パンがないならお菓子を食べればいいじゃない的なやつは…王様ゲームでも、こんなに理不尽な命令されないよ!?

 正に、目玉どこーな気持ちでぽかーんとする。八雲くんも、しょうがない子だなぁって感じで苦笑してるし。いや、そこは諦めずに説き伏せようよ!!

 このままじゃ僕等、一生妹さんに逆らえなくなっちゃうから!!


「私、可愛いくて無垢で清楚なお姉ちゃんが欲しかったのよねぇ。でも、そんな可愛くて純真な子、そうそう居ないって知ってるから。この際、男の子でもいいわ。未来くん、お兄ちゃんをよろしくね!!」


 いやいやいやいや、そこは諦めずに探そうよ。いるって!! 極僅かだろうけど、絶対いるって!!

 そういえば、八雲くんには既に栄くんという恋人がいるではないか!? 何、そんな大事なことを忘れてるんだ僕は!!


「あ、あの!」

「ん? なぁに?」


 綺麗な笑顔で、小首を傾げる妹さん。その仕草だけなら可愛いけども…さっきの発言を知っている身としては、小悪魔にしか見えない。

 ていうか、栄くんのことを言ってもいいのかどうか…

 だって、身内にも秘密の恋人同士だろうし…いやでも、僕と八雲くんの仲を誤解したままでは、栄くんが可哀相だよね!

 妹さんの言動からして、別に腐女子ってわけでもなさそうだから、受け入れてくれるか謎だけど…でも!!


「え、えっと…」


 言ってしまえ! 言ってしまうんだ僕!!


「や…八雲くんには既に、恋人います!!」

「え…?」


 僕はただの友人Aですと言えば、妹さんはキョトンとする。

 そういう仕草をすると、年相応って感じで可愛いなぁって思う。口を開けば高圧的だけどね。


 とにかく、僕は言い切ったと満足していた。そうしたら…


「あら、それは初耳ね。一体全体どこの誰なのかしら…?」


 と、妖艶な美女が壁に凭れるようにしてこちらを見ていた。

 ぎょわわぁ~、すっごい美人!! こういう人のことを艶めかしいって言うんだろうか。


「未来くん、姉を見て呆然としているところ悪いんだけどね。俺、いつ恋人がいるって言ったかな?」


 妖艶美人さんの登場でまたもや固まっていたら、小さい子に言い聞かせるような優しい声色で八雲くんが聞いて来る。

 はっとして八雲くんに向き直ったら、友人Aって…君は通りすがりの名前のない友人じゃなかったと思うんだけど、と苦笑された。


「友人Aって言うのは、脇役も脇役な、モブのことだよ?」

「…うん。脇役のモブって何かな? よく分からないけど、それはもういいよ。それより、俺に恋人はいないって知ってるよね?」

「え…だって、栄くんが…」

「栄は友達だって、何度も言っていると思うんだけど」


 妄想はそれぐらいにしようか、と優しく窘められる…いや、でもでもっ、2人はお付き合いしているんじゃないの? だって、いつだったか授業に2人して遅れてきたことあったでしょ?

 あの時のことを僕ははっきりと覚えてる!! あの時2人は…超普通に教室に戻って来た!! 普通すぎるのが、逆に妖しい!!


「…うん。多分それ、授業で使った資料を2人で運べって先生に言われた時のことだよね」


 入学したての時の授業で、長身の男2人が近い席に座ってたから指名されたやつだね、と八雲くん。

 しかも、普通に戻って来たなら何も妖しいことはないと思うんだけど、と尤もらしい理由を述べ、あまつ、未来くんの頭の中は凄いねぇ~、と言いながら頭を撫でられる。

 ていうか…え、お付き合いしてないの!? いやいやいや、まっさかぁ~!!

 僕はすべて見抜いているよ~と言えば、未来くんのお目目はちゃんと開いているのかな、と八雲くん。

 そんなやり取りをしばらく繰り返していたら、お姉さんが言った。


「とにかく、上がってもらったら?」


 はっ!! そ、そう言えばそうですね!!

 いつまで玄関先でこんなことやってんだよって話だった。





 リビングに通されても尚、妹さんの八雲×僕構想は止まらない。とはいえ、別に腐女子ではないみたいだけど。

 僕が腐男子なことも、普通に受け入れてくれている。そう言えば、妹さんのお友達が腐女子だって、前に八雲くん言ってたような…

 だから、腐の付く人に耐性があるのかも。

 いや、だからって…


「私達、家族揃って可愛いもの好きなのよ。でもほら、私もお姉ちゃんも可愛い服とか、似合わないから着られないじゃない? だからね、お兄ちゃんが可愛い彼女を連れて来てくれるのを、今か今かと可愛い服をたくさん用意して待ってたのよ。なのに……お兄ちゃんの外見目当ての野蛮な女ばっかり寄って来て、ぜんっぜん駄目だったのよ。だから、ね? 未来くんのお話をお兄ちゃんから聞いた時は、もう絶対この子!! と、思ったの!!」

「そうね。未来くんなら申し分ないわ。八雲、この際だから同性だとか友達だとか二の次にして、未来くんを落としなさい」


 未来くんに似合いそうな可愛い服が、未来くんに着て貰いたがっているんだから、とお姉さんまで参戦し始める始末。

 なんだか、お友達付き合いを通り越して、お見合いさせられてる気分になって来た…

 ていうか、何故僕!? 八雲くんなら、それこそ引く手あまただよ!?

 そりゃあ、お姉さんや妹さんの理想とした女の子を見つけるのは難しいんだろうけど…って!!

 男の子でもいいって言うんなら、僕じゃない男の子でもいいんではないかい!?

 この際同性愛でもいいから、と家族の許可があるのならば、八雲くんを可愛い男の子とお付き合いさせられるチャンスなのでは!?

 いやでも、そうなると栄くんが…


「未来くん? その悲しそうな瞳は何だろう。まさか、また栄と俺の事考えてる?」

「!? なんで分かったの!?」

「うん…未来くんって、本当に分かりやすいよね」


 目は口程に物を言うってホントなんだねぇ~、と八雲くんは苦笑する。

 やっぱり栄くんに関することだし、分かっちゃうんだろうなぁ、愛の力でと、ドキドキわくわくしながら八雲くんを見てたら、いつになったら真実に目を向けてくれるの、と困った顔をされた。


「まぁ、八雲が変な相手と付き合わなければ別にいいのよ、私達は。それよりも、未来くんは今日からうちの子だから」


 これは決定よ、とお姉さん。女王様の命令はぜったぁ~いっ、みたいな!? いやいやいや、無理無理無理!!

 それなのに、妹さんはそれは名案だわと言わんばかりに乗っかって来た。


「それはいいわ!! ねぇ、未来くん。どうせだから今日は泊まっていったら? 未来くんに似合いそうなかっわいいパジャマがいっぱいあるのよ!!」


 い、いっぱいってどんだけ!? ていうか僕、いつの間に着せ替え人形要因になっちゃったの!?

 女装なんて嫌だよっという思いを込めて隣に座っていた八雲くんに助けてアピールすると、勿論だよと言わんばかりに仲裁に入ってくれた。


「2人共、いい加減諦めようよ。未来くんが可哀相でしょう?」


 女の子の格好なんて、普通はやりたくないものだよ、と窘めてくれる。

 本当に、女の子の格好だなんて絶対に嫌だ。

 何故なら…


「あら、でも未来くんは永遠の弟なんでしょう? だったら…」

「!? なぜ、姉の名前を!?」


 知っているの!? え、えぇえ~!? 僕、お姉ちゃんの名前なんて出してないよね!? ていうか、もしかして知り合い!?

 『とわ』だなんて親しげに名前を呼べるのは、本当に親しい人だけだもん!!

 驚いていたら、彼女はそのご尊顔に相応しい妖艶な微笑みを浮かべながら仰いました。


「だって、彼女とは女学院の頃からの友人だもの」


 えぇ~、僕聞いてないよぉ~

 ていうか、いつから僕が弟だって知ってたんだろう?


 ふふふ、と微笑みを浮かべるお姉さんは、僕が断らないだろう核心を持って更に言った。


「未来くんなら着てくれるでしょう? お姉さんのためだと思って…ねぇ?」


 この場合のお姉さんって、今目の前にいる八雲くんのお姉さんの事だろうか、それとも僕のお姉ちゃんの事だろうか。

 絶対に役に立つと思うのよ、なんて言われちゃったら、後者な気がしないでもない。

 いやでも、お姉さんも見たがってるっぽいから、どっちの意味でもなんだろうけど、でもでもでも!!


「未来くんだって、見たいでしょう? 永遠の新作B」

「わぁ~!!!!」


 い、今、新作BL小説って言いかけなかった!? そ、それはまずい!! 非常にまずいから!!

 お姉ちゃんがBL小説書いてることは秘密だから、ばらしたらどうなることやら!!

 ここは頷かないといけないのかもしれない。いやでも、そうなると僕のなけなしの沽券に関わるではないか!?


「うぅううぅ~!! でもやっぱ無理ぃ~!! 家でも女装させられてるのに、他所でも女装させられるのは無理ぃ~!!」


 ごめんなさいっ、僕には無理です~とテーブルに突っ伏しながら懇願していたら、妹さんが唖然と…


「女装、普段からしてるの?」

「え…? っ!?」


 僕、今自分でばらさなかった!? 今更ながら遅いけども、口を両手で塞いでみる。いや、遅いけども!!

 なんか八雲くんも、驚いて目を見開いてるし。これは、弁解しなくては!!


「ちっ、違うよ!? 僕は嫌なんだよ!? でもお姉ちゃんが!! お姉ちゃんがね!!」


 妹さんと八雲くんを交互に見ながら、違うんだよとわたわたしながら言い続ける。

 その内妹さんは、だったら話は早い、着ることに抵抗なんてないじゃない、と嬉々と結論付ける。

 八雲くんは八雲くんで、分かってるからね、落ち着いてね、と保父さんばりの包容力を見せて…って、思えばいつも、八雲くんは保父さんだったね!!



 その後も色々あったけど、取りあえずは何事もなく解放された僕だった。

 って、実際はチャンチャンッと丸く納まったわけじゃないけどね! 結構妹さんやお姉さんにごねられたけども、何とか僕の沽券は死守したのさ!!

 いやホント、なんだかとっても疲れた初お友達ん家訪問だったよ…

 死守した代わりに、出来るだけ頻繁に漣家への遊びに来るよう約束させられちゃったけどね……チャンチャン!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ