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爆走腐男子くん  作者: らんたお
15/23

最大イベントカウントダウン!

 退屈だぁ~退屈だぁ~僕は退屈であぁ~る!! 机に頭を乗せてぶーぶー文句を言っていたら、鼻で笑われた。


「お前の退屈は、俺達の平和だな」


 せいぜいそのまま退屈でいろよ、と栄くん。

 ムキィ~~!! BLは僕の燃料電池なんだ!! BLがないと、僕の高校生活に何の楽しみもなくなってしまうではないか!


「いや、勉強しろよ高校生」

「もう少しで中間テストだよ」


 栄くんも八雲くんも勉強勉強と、まるで僕が全く勉強をしていないかのような……あれ? そういえば、まともに授業を聞いていなかったような気が!

 今更気付いたのかよと栄くんが呟き、勉強会でもすると八雲くんが聞いて来る。

 僕、授業中BLのことしか考えてなかったぁ~~!! やばい中間テストやばいと頭を抱えたところで、クラスメイト達の会話に耳を奪われた。


「そういやさぁ~今年の体育祭、交流会になるらしいぜ」

「交流会? どういうことだ?」

「なんか、うちと北高と西高と東高で合同でやるんだってよ」

「マジで!? 西高っつったら、女子校じゃねぇ―か!!」

「北高は共学だよな。つまり、女子と一緒に出来るチャンスか!」

「男子校なんて夢もくそもねぇと思ってたが、まさかこんな日が来るとは!!」


 と、皆さん大変楽しそうにしている。

 僕? 僕はと言うと…


「それどういうことぉ~~!?」


 食いついている!!

 教えて教えて~っと突進していったら、クラスメイト達が引いた! でも負けない!!


「東高!? 東高って言った!? あの、昔は全寮制だったっていう、山の上にある男子校だよね!?」


 今も一応、ふもとの町の小規模な寮に生徒達を割り振って住まわせてるから全寮制ではあるそうだ。 

 つ・ま・り!! 完全なる男子校!!


「いやぁったぁ~~!! まさかまさかに、あの男子校と体育祭!? これは!! 何か、何かが起こるぞぉ~~!!」


 いやっほ~いと興奮のあまり天に向かってガッツポーズを決めていたら、栄くんが鼻で笑った。お前の頭ん中はそれしかないのか、と。それだけですが何か!?

 もうちょっと詳しく内容を聞き出したかったけども、彼等もよくは知らないらしくてしょんぼりする。生徒会長なら知ってるかもと彼等が言うので、俄然元気に!!

 今すぐ生徒会長の元へと殴り込みをかけたかったけど、詳しい情報を聞き出すためには時間も必要と考え、お昼休みに討ち入りを決行することに決めた。

 その時は勿論!!


「二人共!! 僕に付いておいで!」


 生徒会長と闘うためには、やっぱり彼等が必要だもんね! 呆れた顔の栄くんと、苦笑を浮かべる八雲くん。


「めんどくせぇことに俺を巻き込むな。つか、生徒会長に討ち入りって……お前絶対ぇ勝てねぇぞ」

「殴り込みはやめようね。怪我しちゃうからね」


 逆にタコ殴りにされるぞな栄くんに、危ないことはやらないでねな八雲くん。それでも僕は、心に決めたのである!!

 因みに、僕の手作りお弁当が人質だから、二人は強制的に僕に付いて来るしかないからね! お昼休みが楽しみだなぁ~と、やっぱり心ここにあらずなまま授業を受けたのだった。






 ということでやって来ました!! 2年生の教室!! 二人を伴い、教室の扉を開け放ぁ~つ!!


「たのもぉ~う!! 生徒会長ぉ~!!」


 討ち入りといえばコレなセリフを高らかに言い放てば、先程まで賑やかだった教室内が静まり返る。皆一様に、不思議そうな表情で僕等を見ていた。

 それも当然! こんな、日本の平均的男子よりも背の高い二人が突如現れちゃったのだから、そりゃあビックリするだろう。

 因みに、僕は彼等の陰に隠れているので、声はすれど姿は見えず、だったりする。だからこそ、生徒会長に怯えることなく威張れるのだ!!


「出てこい、生徒会長~!!」


 意気揚々と栄くんと八雲くんの後ろから声を上げていると……


「何やってんだ未来」

「うぎゃあ!!」


 な、なになになになにぃ!? くっ、首根っこを掴まれている!? だ、誰か!! 誰か助けて!!

 てか、この声は生徒会長!?


「俺に何の用なんだ?」


 やっぱりぃ!? てか、耳元で言わないでよ!! ぞわぞわするから!!

 わざわざ2年の教室までやって来て、俺と喧嘩でもする気かと不敵な笑みの生徒会長。が…目は笑ってない!!

 もしかしてこの状況、かなりヤバいのだろうかと怯えていたら、騒ぎを聞きつけた学園の警備隊長が来てくれた!!


「またお前達なのか。少しは静かにしろ」

「って、俺を含むな俺を! 騒がしいのは未来だけだ」


 ほれ、と僕を引っ掴んだまま風紀委員長に見せる生徒会長。

 無表情な顔ながらも、若干の呆れを見せる風紀委員長。その間も僕は、放せぇ~と生徒会長と格闘するのだが、全く勝てそうにない。

 なぁ~ぜぇ~だぁ~!!


「それで? お前はまた一体何しに来たんだ」


 倉橋と漣まで連れて…と生徒会長に聞かれ、僕は目的を思い出した!

 そうである!! 僕は、事の真相を聞きに来たのである!!

 必至に生徒会長の手を外し、詰め寄った!!


「生徒会長!! 体育祭が交流会って本当ですか!? 東高!! 東高も一緒って本当ですか!?」


 あの男子校と一緒って本当ですかと期待に胸を躍らせて迫れば、生徒会長は一歩引いた。しまいには、男子校と一緒で喜ぶってお前は女子か、と呆れ顔である。しかしその言い方、どうやら交流会が行われるというのは本当のことらしい!!

 あの東高だよぉ~!? 通いたかったけど家族に反対された高校!! 寮生活というのがネックになって、許して貰えなかったんだよね。

 後、偏差値。あの高校、結構偏差値高いから、さ……

 受験しても無駄だ諦めろと、担任に真顔で説き伏せられたのは記憶に新しい。分かってるよ、馬鹿でごめんね!!


 頭がいいことで有名な学校だから、全国から学生が集まって来てるから全寮制なんだよね。

 大昔はお金持ちのお坊ちゃんが通ってた学校とあってか格式高い感じは残しつつも、今は昔ほどお金持ちしかいないみたいなことはないらしい。

 ただ、頭いい人ばかりが通っているからか普通の学校よりも授業数も多いし、交通の便もあまりよくないところだから、近寄りがたい雰囲気はあるんだよね。

 とまぁ、そんなこんなで偏差値の高い学校として有名な東高と肩を並べる頭のいい学校ってのが西高。

 共に、男子校、女子校としてそれぞれ相対する存在として肩を並べて来た学校なんだけど、それだけではない!! 西高は、お嬢様高としても有名なのだ!!

 元々の始まりは女学院ということもあって、淑女の学校っていうのがそのまま今に至る感じなんだけど、お姉ちゃん曰く、校則の厳しさに耐えられる忍耐と女同士の泥沼な足の引っ張り合いに巻き込まれなければ問題なし、なんだそうな。泥沼な足の引っ張り合いって…お姉ちゃん、何があったの!!

 西高出身の人に聞くと、大抵の場合こういった意味深な言葉が返って来るんだけど、何故!? と、それは置いといて……


 東高に通える頭さえあれば、通いたかった学校ナンバーワンだったんだよ!! だって男子校だよ!? 全寮制だよ!? 僕の腐男子魂が、絶対に行かねばと雄叫びを上げたのは言うまでもない!!

 が、偏差値が……くっそう、僕の脳!! BL以外では役立たずな僕の脳!! 肝心な時に使えないとはぁ~!!


「そりゃあ、残念だったな。まぁ、あっちだって男子校ってだけでお前に通われちゃあ嫌だっただろうから、逆によかったんじゃないか?」

「その代わり、俺等が被害被ってるっスけどね」


 ちげぇねぇ、コイツ面倒臭いっス、と生徒会長と栄くんの会話は弾む。って、なんて友達甲斐の無い言い方!! 栄くん、それでも僕のお友達なの!?

 生徒会長には別に優しい先輩ってのを期待してないからいいけどとプンプンしてたら、八雲くんに頭を撫でられた。俺は未来くんとお友達になれたから、ここに来てよかったけどねと。

 さすが八雲くんである!! 優しさと心の広さが半端ない!! しかし、何ゆえ子供扱いなのでしょうか!?

 僕はただちっさいだけで、子供ではないのだよ! って、ちっさいことを認めちゃってどうする僕!!


 男子校というものに夢を抱くのは腐な僕等のサガである。なのに……一向に、BLなものをちゃんと見れていない気がするんだ。

 やっぱり、全寮制という必須項目が欠けているとダメなんだろうか? って、そんなことより!!


「生徒会長!! 交流会だよ交流会!!」


 いつやるんですかぁ~と縋ったら、はいはいぼくちゃんちょっと落ち着こうね、とか馬鹿にされる。

 ムキィ~~~!! お昼終わっちゃうから早くしてと言ったら、はいはいやるよやるよ交流会だから帰れと適当に……ん?

 やるって言った!?


「いやったぁ~!! 東高とやるんだ! ひゃっほぉ~い!!」

「お前は女子か」


 男子校と聞いて喜ぶ男がどこにいると、喜び舞い踊る僕を見て言った生徒会長。その上、意外な人物から追加情報が。


「そう言えば、今日の放課後だったな。代表が集まって交流会についての話し合いが行われるのは」


 うちで行われるんだろう、と風紀委員長。なん…だ、とう……?

 今日、何が行われるって……? ここで!?


 こんなチャンス、あるだろうか? 否、ない!!

 意を決して、生徒会長の目を見つめる!!


「駄目だぞ」

「!?」


 言い出す前に、却下された!? しかも、お前の魂胆は見え見えだ、とも……ガッデム!!

 僕のスケスケの脳みそでは、目的を成就させることは出来ないのかぁ……

 要注意人物のお前を同席させるはずないだろ、と拒否の姿勢の生徒会長。その牙城は、崩せそうにない…

 これで終わってしまうのか、僕にはここまでしか出来ないのかと絶望のポーズで膝をつく。いやしかし、バレなければいいんじゃない?

 そんな、仄かに宿った野心を隠し、トボトボと意気消沈な素振りで教室に戻る僕なのであった。

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