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爆走腐男子くん  作者: らんたお
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皆、今日も元気にBLってる!?

「皆様、おはようございます!!」


 うん、今日もビシッと決まったぞう!!

 朝から敬礼が綺麗に決まると、清々しい気持ちになるね!

 しかし皆、何故僕を見て笑顔が引きつっているのか…って、いつものことでしたな!!


 おやや!? あそこにいるのは、学園一の王子様と誉れ高い、八雲くんではないですかぁ~

 その隣には、これまた学園一の不良と謡われる、しかしてその実態は!! 常識人にして苦労人、栄くん。

 腐男子としては、共に学園一の称号を持つ美形なお2人が仲睦まじく会話している内容をひっそりこっそり盗み聞きし、愛を囁き合うその瞬間に…


「ねぇよ!! つかお前、心の声漏れてんぞ」

「おはよう、未来くん。今日も朝から元気がいいね」


 どうやらまた心の声が漏れていたらしい…

 にしても、栄くんの呆れ顔も絵になるけど、八雲くんの王子様スマイルは本当に神々しいばかりに光り輝いておりますですこと!!

 目がぁ~目がぁ~!!

 しかし、ここで怯んでは腐男子の名が廃る。僕は愛と勇気だけをお友達に、八雲くんに抱き付くのであります!!


「おはようごじゃいます!!」

「はい、おはよう」

「何故噛んだ。何故抱き付く」


 お前もこいつを甘やかすな、と栄くんが八雲くんに呆れながら諭していて…これはまさか。


「Shit!? じゃない、嫉妬!?」

「いい加減にしねぇと頭かち割るぞ、未来少年!!」


 やっぱり嫉妬なんだね!? なんて、なんて美味しい状況なんだろう!!

 王子様な八雲くんは自分のものなんだよ放せクソヤロウッ、な気持ちなんですね!? 美味しいよ。非常に美味しいからそれ!

 しかし、未来少年とは…ただ単に僕の名前をもじっただけなのか、それとも腐男子というBL世界に目覚めちゃった未来的なこの思考回路への賛辞なのか、どっちだろう?

 後者だと信じよう!!


「頼むからさぁ~俺とこいつをお前の頭の中でカップルにすんのやめろよ」

「何を言っているのかね! 君達は、紛うことなきカップルだろう!?」

「うん、あり得ないよね」


 八雲くんまで、いい笑顔で何を言っているのやら。

 はっはっはっと笑う僕と、ニコニコ笑顔の八雲くん。そんなことより、今日はどうしたの、口調が変だよ、何で伊達メガネ掛けてるの、と聞いて来る。

 そこに、もうめんどくせぇわお前…と栄くんは呆れ顔だ。

 大丈夫だよ。僕だけは、2人の秘めたる仲を応援しているからね?


 しかし、本当に八雲くんは美形である。

 ハニーブラウンの柔らかそうな髪は長すぎず短すぎずに整えられ、垂れ目がちな目尻にある泣き黒子は色気を醸しだし、そこにほわほわとお花畑のような柔らかい微笑みが加わって…僕の目には、バラを背負った王子様にしか見えない!!


「ほわぁ~~!! ま、眩しいです!!」

「何だ急に!?」

「どうしたの?」


 神の御威光を背負った八雲くんがあまりにも眩しすぎて、思わず後ずさる。 これは、僕の腐りきった心には眩しすぎる存在である!!

 大丈夫、と心配げに伸ばされた手を拒否して更に身を引いたら、八雲くんがちょっと寂しげな声で僕の名前を呼んで……ぐはっ!! 僕のライフポイントが90減った!!

 いじめ駄目、皆友達、が僕のモットーである。ここで八雲くんに悲しい顔をさせるわけにはいかない。


「あ、あれだよね! 八雲くんは歩くフェロモンだから、傍にいるだけでクラッと来ちゃうよね! でも大丈夫!! 八雲くんは、栄くんだけの甘い香りを放つお花ちゃんだって知ってるから、僕みたいなセミはすっこんでるね!!」

「セミって例えが秀逸すぎるな…って、おい! 何処行くんだ!?」


 脱兎とは正にこのこと。ピューッと擬音されそうなスピードで、教室を後にした。


「”甘い香りを放つお花ちゃん”なんて可愛い例えだね」

「いやお前、その前に”歩くフェロモン”って例えられてたぞ」


 出た直後、楽しそうな八雲くんと呆れ声の栄くんの声が聞こえてくる。

 うん、分かってる。お、俺の方が八雲のこと分かってんだよ、な気持ちなんですよね、ね!? そうなんだよね!?





 しかし…勢いに任せて出て来てしまったはいいけど、このまま授業をサボるわけにもいかない。とぼとぼと廊下を歩きながら、教室に戻るタイミングを計りかねていると…

 角の向こう側に、学園の王様と称される生徒会長と学園一の堅物と称される風紀委員長さんが佇んでいた。それも、こそこそと人目をはばかるようにして話し合っているようで…


 え…? ふ、2人って…そういう関係!? ぼ、僕、2人は犬猿の仲だって思ってたよ!!

 だけど、俺様生徒会長×生真面目風紀委員長or生真面目風紀委員長×俺様生徒会長もいい!!

 腐男子としたことが、何たる失態! こんな美味しいカップリングを今まで見逃していただなんて!!

 ここで彼等の会話を盗み聞きして萌えを堪能しなくては、腐男子の名が廃る。


 そろそろと、柱の陰に隠れつつその会話に聞き耳を立てようと近づいていくと…


「…何してんだお前」


 って…ん? まさか…バレた!?

 いや、そんなわけあるはずないかぁ…だって、ねぇ?

 心置きなくBLを観賞するために培ったこの気配消しを、いとも簡単に見破るだなんて…


「何やってんだって聞いてんだよ未来!!」


 見破った…だとう?

 いやでも、まだ視界に入ってないし、ぐっと体を縮めて、イナイイナイダレモイナイ…と無我の境地に入っていれば大丈夫、と思っていたのに…首根っこ掴まれ、あえなく連れ出されてしまった。


「今度はどんな悪さしたんだ?」

「僕は何もしてないよ…ですよ……」


 ああぁあ~!! 僕は危うく、傍若無人で有名な生徒会長相手にタメ口をきくところだった!!

 学園の王様と呼ばれているほど横柄で俺様ルールな、裏で族やってるような生徒会長相手にタメ口をきいたとあっては、僕の明日はない!


「おい…俺がいつ、族なんてやってるって言ったよ。マジでお前の脳みそ、都合よく俺等を脳内変換し過ぎだろ。つーか、どこが横柄だ!!」

「あだぁ!!」


 ぶ、ぶたれた!! 今、頭ぶたれたよ!? パパにもぶたれたことないのにぃ!!

 なんて…まぁ、パパにぶたれたことないのは確かけど、生徒会長にはいつもぶたれてるんですけどね。


 会長が酷いのはいつものことだけど、なんでいっつも怒鳴るのとぶつのがセットなんだろう。

 暴力は犯罪ですって玄関に貼ってあるポスターにも書いてあったのに。


「うえぇ~ん…ぼうりょくかいちょう~」

「嘘泣きは止めろ」

「いひゃい!!」


 く、口が歪むぅ~!! やめてやめてぇ~!! もう二度と、暴力会長って言わないからぁ~!!

 嘘泣き以前にほんとに泣きそうになっていると、風紀委員長が助けてくれる。


「やめておけ。幼気な後輩を虐めて何が楽しいんだ」

「これのどこがいたいけだぁ? あるのは可愛げだけの、問題児だろうが」

「それは否定しない」

「ちょっ!!」


 そこは否定してよ風紀委員長!! 2人して酷いよ…僕は何も悪いことしてないのに。

 ただ、仲睦まじく学園ライフを過ごしている人達をひっそりこっそりじっくり観察して、BL妄想して楽しんでただけだもん。

 それをたまたま通りがかった人に聞かれて、乳繰り合ってた2人の耳にもそれが届いちゃって、そのせいで学校内で乳繰り合う生徒の数が激減しちゃったってだけじゃん。

 むしろ僕には死活問題だよ!!


「被害者ぶるな!! お前のそれのおかげで、多くの生徒がトラウマになったってぇ~のに、反省もなしか」

「妄想してただけで、なんでそんなに怒られないとダメなんですかぁ~」

「だから、口に出すなって言ってんだよ!!」


 酷いよ酷いよ。僕だって辛いのにぃ~

 あれ以来、普通のスキンシップですら皆やらなくなっちゃって、僕の妄想の捌け口が無くなっちゃったのに…

 僕が落ち込んでたら、何を勘違いしたのか生徒会長が愁傷なことを言い出した。


「お前だって、その一件で酷い目に合っただろうが。だからもう、大人しくしてろ」


 酷い目って、あれのことかな? 僕のことをお仲間さんと思ったのか、はたまた男同士のことに興味あるんだと思われたのか、襲おうとしてきた人達の事。

 確かに怖かったけど何もされてないし、そもそも襲おうとしてたのかすら分からなかったんだけどね。

 男同士に興味あるのとか、やられてみたいのとか、やたらと密着した距離で聞かれただけで何にもされなかったし。

 ただ、あの下品な笑みで上から下までじっくり舐めまわすように見られたのだけが気持ち悪かっただけで…


 ていうか、あれ以来栄くんの過干渉が凄くなったってことの方が気がかりなんだけど!!

 栄くん、見た目に反して過保護なんだよねぇ。それは八雲くんもなんだけど…

 でも僕、そんなにトラウマってないから、気にしなくていいのにね。

 第一…


「それでも僕、腐男子を極めたいと思うのです!!」


 あらゆる困難を乗り越えてこそ、腐男子の楽園は掴めるのだから!! 天を仰ぎ、決意表明していると…


「いい加減にしろ!!」

「っ!!」


 い、今!! ごっちーんっていったよ!! ごっちーんって!!

 痛すぎて、声も出なかった!! 本気で気絶しそうだったからぁ。

 ぶたれたとかそんな可愛げのある言い方できないやつをお見舞いされたよぉ~?


「ふっ、ふうきいいんちょお~」


 この人酷いんですって本気の涙目で訴えたけど、頭を撫でられるだけで助けてくれなかった。

 ひ、酷い!! 学園の警備隊員であるはずの風紀が、暴力を働いた人を取り締まってくれないなんて!

 いいもんいいもん!! それならもう、2人の秘めたる仲を公言しちゃうんだからね!


「みぃ~らぁ~いぃ~? これ以上、俺を怒らせるんじゃねぇ!!」

「はいぃい!!」


 もうもうっ、僕のお口は何で黙ってた方がいいことを口に出しちゃうんだろう!!

 生徒会長に引きずられるまま、僕は連行されてしまうのであった。


 って、何処へ!?

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