1ー2 勧誘
「あなたが藤原望くんだよね?写真部に興味はない?」
「は?」
「私、写真部で新しく部長になった川島美優!よろしくね!」
「は、はあ・・・」
「それでねそれでね!わたし部員の子『新しく入ってくれそうな同級生に心当たりない?』って聞いて見たんだ!そしたら藤原くんの名前が出てね!なんかいっつもカメラの話してるらしいから!」
「いや、俺はカメラは・・・」
「それにね!私ちょーっとだけ詳しいから知ってるんだけど、藤原くんってもしかしてあの世界的写真家、藤原紀寛の息子さんだったりしない!?名字が一緒だし、顔の雰囲気とかもどことなくにてるし、それでカメラが好きなんてぜーっったいそうだ!って思ったの!」
「ちょ、ちょっとまってください!話を聞いてください!」
「あっ、ごめんごめん!わたし初対面なのにいきなり話しすぎたよね!それで・・・どうしたの?」
「俺・・・カメラには興味ないんです。誘っていただいたのはありがたいんですけどすいません・・・」
「そう・・・なんだ。そっか、ごめん!急に一人で盛り上がっちゃって。わたし藤原さんの大ファンでね。小さい頃に始めて写真を見たからあの人の世界に魅了されて、ずっとあこがれだったんだぁ。だからそんな人の息子さんといっしょに写真を撮れると思ったら舞い上がっちゃったみたい!ほんっとーうにごめんなさい!」
「そうだったんですか・・・でも俺は・・・」
「いいのいいの!あ、でもでももし入りたくなったらいつでも言ってね!写真部はいつでも歓迎するよ!」
「はい、ありがとうございます」
「ん、じゃあまたね〜!」
「ふう、なんだか台風みたいな人だったな」
「あれが二年の川島先輩か〜噂通りめっちゃ可愛い人だったな」
「・・・」
「おい望!聞いてんのかよ!」
「あ、ああ!そう・・・だな」
「やべっ昼休み終わっちゃうよ!早く昼飯食おうぜ!」
そういって慌ててカバンからパンを取り出す拓海を尻目に、俺は父昔のことを思い出していた。