派閥の誕生と信者の拡大 信者拡大
エロ神の誕生から3日経った、6月14日。
6月上旬から真夏日が続いていたが、豪雨の後から過ごしやすい気温に落ち着いている。その為か、全力で自転車を漕いできた哲平と晴奈の体から汗は出ていない。
なぜ全力で自転車を漕いだのかと言えば……。
「おはよう、美咲さん」
「よお哲平。今日は早めの登校だな」
美咲は自転車を駐輪場に停め、校舎に向かおうとしていたところに哲平が話し掛ける為だった。哲平たちと合流する為に立ち止まる美咲。
哲平と晴奈は自転車から降り、開いているスペースに自転車を停め、美咲に追いつく。その時ふと、廊下から男子たちの会話が聞こえてくる。
「おい聞いたか。エロは三次元派と二次元派に分かれて争っているらしいぞ。
エロ神教三次元派とエロ神教二次元派ってのが正しい名前らしい」
「ああ聞いた。エロは二次元か三次元かって事だろ? おまえはどっちだよ」
「俺は三次元派だな。二次元とはエッチ出来ないだろ?」
「そうか残念だ。俺は二次元派だ。三次元つまり現実はクソだが、二次元は理想でありキボウだ。いずれ三次元は二次元に取り込まれていく事だろう」
哲平は頭を押さえどんよりとした顔で
「眩暈がする」
と言い、晴奈は
「大丈夫? 保健室行く?」
と言葉通りに受け止める。
美咲はニヤニヤしながら哲平を見る。
「お前の作ったエロ神教が学校中に広まってるぞ。
それなのに元気ないな。どうした?」
「エロ神教が学校中に広まってるから気分が悪いんだよ」
「折角、哲平の為に信者を増やして来たのに……」
「美咲さん、誰の為になってるの?」
「哲平の為になってるでしょ?」
「なってないよ。
美咲さんは前回の中間テストでは全教科で満点取ってたから頭いいはずなのに、たまに意味不明な事するよね」
「そうか……もう飽きと言う事か。
それじゃあ保健室に行くか。一緒に寝てやるぞ」
「よし行こう」
哲平は元気よく保健室に向きを変え歩き出そうとする。
だが、晴奈が哲平の手を引っ張り阻止する。
「ちょっと待て。
哲平は今物凄く元気になった様だし、もう保健室に行く必要はないんじゃない?」
「ハルハル。それは意見の相違という奴だな。
見たところ哲平の元気がある箇所は下半身だけじゃないのか?」
「美咲さんの言う通り。元気なのは下半身だけだ。
だから僕は美咲さんと一緒に保健室へ行かないといけない」
晴奈は保健室に行こうとする哲平を引き留めようとするが、力負けして少しづつ引きずられていく。
「ダメー。
これだけの力があるんなら元気でしょ。
それに保健室に行ったところで人が居るからエッチ出来ないでしょ!」
美咲は大笑いして晴奈を見る。
「なに言ってんのハルハル。添い寝をするだけだよ。
しかし、なるほど。ハルハルはそう考えていたか。
仕方ない、欲求不満のハルハルとは私がエッチしよう」
両手で赤面する晴奈。
晴奈の手が離れた事で自由の身となった哲平だが、足どころか、口も動かない。なぜなら……。
美咲の胸に手を回してワサワサしている。余計な事だが、晴奈の胸はペッタンコだからモミモミではない。
「え? ええー?」
と言うのが精一杯の晴奈。顔を手で押さえているので美咲にされるがままだ。
哲平の喉が鳴る。そして晴奈と美咲に近づきながら
「僕も触りたい」
と言って、晴奈に触れようと手を伸ばす。しかし、その手は美咲に払われる。
「どうした哲平。保健室に行くんじゃなかったのか?」
「そ、添い寝をしてくれるのでは?」
「こっちの方が楽しそうだからキャンセルするよ」
「ど、どうしてこうなった!」
「私は自他共に認めるトラブルメーカーだよ。君は知らなかったのかい?」
晴奈に救いの手が……いや、チャイムが鳴った。
その為、3人は教室に走っていかなければならなくなったのだった。