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派閥の誕生と信者の拡大 先生の反省


 職員室に戻ってきた鏡山先生は自責の念にかられていた。

 先の授業で哲平と美咲を廊下に立たせてしまった事に関してだ。


「田頭美咲。あの成績優秀者が反抗するとは思わなかった。人格も出来た子だと思っていたのだがな……。

いや、今日の豪雨は確かに酷かった。反省すべきは自分なのかもしれないな。

彼女は、うちの様な偏差値の低い学校には得難い生徒だ。

それだけに豪雨如きで取り乱した態度が信じられなかっただけだ」


 呟く鏡山先生の後ろから細身の男性が声を掛ける。


「鏡山先生。授業はどうでしたかな?」


 ビクっとして振り返る鏡山先生。

鏡山先生に声を掛けたのは3組を担当する御影雅彦みかげ まさひこだった。ちなみに鏡山先生が担当するのは1組だ。


「うっ。その……申し訳ありません。あまり授業になりませんでした」

「そうでしょう。そうでしょう。中年でベテランの私ですら、この学校の自由奔放な生徒の前では授業になりませんでしたから」

「励まして頂き有難うございます」

「いえいえ。そういうのではありませんよ。鏡山先生はいい女ですからね。特に今朝は」

「それはどういう意味でしょうか?」


 怪訝な顔をして鏡山先生が訊ねる。が、御影先生は笑顔を崩さない。


「雨に濡れるのは気持ちのいいものではありませんが、少しくらいいい事があってもいいじゃないですか。水も滴るいい女って意味ですよ。ただの言葉遊びですよ」

「言葉遊びですか?  はあ、まあそう考えると少しは気が楽ですね」

「でしょ。肩の力を抜いて仕事をすればいいんですよ」

「そういうものなんでしょうか?  私は新人なもので良くは分かりませんが……」

「ゆっくり慣れて行けばいいんですよ。なにがあったか分かりませんが人は失敗から学ぶモノです。

ですので失敗を責めてはいけませんよ……他人も自分も」

「あ、有難う御座います」


 鏡山先生は晴れやかな顔になった。

 御影先生は鏡山先生の肩をポンポンと軽く叩く。

 チャイムが鳴り、次の授業に元気に向かって行く鏡山先生。


 御影先生は

「セクハラにも慣れて行ってくだされば助かりますし、失敗を責めない様になれば、ちょっとしたミスも許されるというものです。とりあえず軽いスキンシップは大丈夫そうですね」

と言いながら授業に向かう。


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