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派閥の誕生と信者の拡大 二次元派の誕生


「さっきから何を騒いでいるの?」


 話しかけてきたのはクラスメイトの穴瀬翔太あなせ しょうた。クラス一背が低く、声変わりしていない、子供みたいな男子生徒だ。渾名はショタ君だが、他人が付けたものではない。過去にショタ君自身がそう呼んでと言ったのであって、決していじめられている訳ではない。


「ショタ君。晴奈がね……」


 美咲がショタ君に話しをしようとするが、晴奈が

「ストーーップ!」

と言いつつ間に入り会話の邪魔をする。


「それよりショタ君、さっきの授業でノートになにか書いていた様だけど、なにを書いていたの?

確かさっきの授業って先生の説教しかなかったよね?」

「ん? マンガを描いていただけだよ」

「へー。ショタ君ってマンガ描けるんだ。すごーい」


 話を聞いていた美咲が不思議な顔をする。


「ハルハル、知らなかったの?

ショタ君は学校内で有名人だから知らない人はいないと思っていたのに。

ショタ君のマンガ見たことない?」

「んー。覚えてないな。ショタ君って、そんなに有名なの?」

「ショタ君は女子の間ではとても人気があるのよ。

見た目は母性を擽るカワイイ系として人気があるし、マンガを描けば面白い。

いずれマンガ家としてデビュー出来るんじゃないかとかウワサされているんだよ。

私はマンガに詳しくないから知らないけど」

「へー。そうなの?」


 晴奈がショタ君に顔を向けると、ショタ君はにこやかな笑顔を作る。


「まだまだ、修行の身と言ったところですよ」


 ザワ。

 周囲の女子の話声が聞こえてくる。


「誰あの人。どうしてショタ君と話をしてるの?」

「人の事は言えないけどバカのくせに」


 話声の主はクラスメイトの班目彩乃まだらめ あやの森迫芙由美もりさこ ふゆみだ。この二人はショタ君のファンで、ショタ君の描いたマンガをよく読んでいる。班目は背が低い割に胸とメガネが大きい。森迫は背も胸も普通に育っているが、背伸びしたい年頃の様で学生なのに化粧をしている。


 周りの声が聞こえていないのか美咲はニヤニヤしながら、晴奈の顔を見ている。


「知らないのはハルハルだけ。ハルハルは哲平一筋だからね。

ひょっとしてショタ君に乗り換える気になった?」

「なってないよ。なに言い出すのよ」

「じゃあ、哲平一筋って事よね」

「いやー。何言ってるのよ」


 赤面してしゃがみ込み耳を塞ぐ晴奈。それを見て益々ニヤニヤする美咲。

 ショタ君はにこやかな笑顔を哲平に向ける。


「哲平君は、クラスの女子で一番人気の美咲さんと、晴奈さんに挟まれていつも大変そうだね」


 哲平は俯きながら

「困ったなぁ」

と言い頬を掻く。

 美咲は晴奈からショタ君に向き直る。


「ハルハルが黙ったから、やっと話が出来るようになったわ。

実はかくかくしかじかという訳よ」


 ショタ君の笑顔が真剣な表情に変わる。


「エロ神様ねぇ。

ブラジャーが見える程度では恩恵としては不足している気がするな。

それにゲリラ豪雨よりも前にアニメ等の二次元の世界では、ブラジャー以上の事も既に行われている。

それらを考えるとエロ神様は二次元にこそ本流がある様に思えるね」

「いやいや。ゲリラ豪雨は現実の問題だけど二次元は空想の問題だから……」


 美咲が反論している最中にチャイムが鳴り、次の授業が始まったので話は中断してしまった。




 授業が終わった後、ショタ君が哲平に、持ってきた紙を渡しながら話しかける。


「僕は、この絵をご神体としてエロ神教の二次元派として活動するけど、いいかな?」


 哲平が紙を受け取り見る。近くにいる美咲と晴奈も一緒になって覗き込む。

 紙には小学生くらいの少女の絵が鉛筆で描かれていた。片手を挙げてジャンプしており、僅かにパンツが見えている。

 美咲が両手を自身の後頭部に回して、哲平に目だけを向ける。


「ははは。哲平、ショタ君に嫌われたな。

ショタ君が二次元派なら、私たちは差し詰め三次元派とでもしておくか」

「うーん。なんか不満だな」

「ひょっとして哲平は、私やハルハルよりショタ君の方が好きだったのか?」


 美咲の発言に哲平が驚く。が、もっと驚いた晴奈だった。


「えぇ!!  それは本当なの哲平君」

「そういう話じゃないよ!

その場のノリで作っただけのエロ神が広まっていく……それが不満なんだよ。本気ではないだけに、これでいいのかと思うよ。

 世の中、騙され安過ぎるんじゃないかな!?」


 美咲は、怒りを露にする哲平の肩に手を乗せる。


「世界中に宗教があるが、仮にその中の一つを本物としよう。

そうするとそれ以外は全て偽りなのだから、世界の半分は騙されている事になる。

騙され易さなんて気にする必要はないと思うぞ」


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