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エロ神教の終焉 美咲


 放課後の職員室。

 鏡山先生は自分の机の上で不満そうな顔をしていた。


「田頭美咲。お前は一体なにがしたいんだ。

 あんな問題児だとは思いもよらなかった」


 鏡山先生のぼやきが聞こえたのか、御影先生が声を掛けてくる。


「鏡山先生。大変そうですね」

「御影先生。すみません。うちのバカどもが勝手な事をしてしまって」

「西塔哲平君でしたかね。私は自分の意見を主張する事を悪いとは思いませんよ」

「いえ。そっちではなくて田頭美咲の方に問題があるのではないかと考えているのですよ」

「田頭美咲さんですか。成績優秀で今回も全教科満点でしたね。反抗期なんですかね」

「反抗期ってレベルを超えている気がするのですが」

「そうですか。でしたら中学校に電話でも掛けて確認すればよいではありませんか。中学校の頃から問題児だったのか分かるでしょう」


 御影先生は固定電話の受話器を取って鏡山先生に突き付ける。

 鏡山先生が受話器を取ろうとするが、受話器は御影先生の手から落ち、鏡山先生の膝の上に落ちる。

 御影先生は

「これは失礼。年齢のせいか手に力が入らなくて」

と言って、受話器を拾う。

勿論その際、御影先生は鏡山先生の太ももに触れる。僅かに、しかし確実に。

 改めて鏡山先生が受話器を取り電話を掛け、中学時代の美咲の担任に取り次いでもらう。




「田頭美咲の担任をしていた者ですが……」

「お忙しいところ失礼します。莫迦野高等学校の田頭美咲の担任の鏡山麻衣と申します。

 田頭さんの件で質問してもよろしいでしょうか?」

「なんでしょうか。答えられる範囲でならお答えいたしますが」

「単刀直入にお聞きします。田頭さんは中学時代は問題児だったのでしょうか?」

「問題児?

 とんでもない。寧ろ大人しい方でしたよ。なにか問題でも起こしましたか?」

「友達を貶める様な行為を行っている様なので、元々そういう生徒だったのかと思いまして……」

「貶めるですか? 言われている様な行為をする様な生徒じゃありませんでしたよ。それほど友達が多い方でもありませんでしたし」

「そう……ですか」

「参考になるかわかりませんけど……私の勝手な思い込みで申し訳ないのですが、田頭さんからは野心みたいなものを感じましたね。それがどう関係するかはわかりませんが」

「野心? といいますと」

「大きな事をしてやろうという野心。あれだけ頭のいい子が態々偏差値の低い学校に行く事がおかしいでしょう? 滑り止めなんて不要といいつつオタクの高校を受験して、本命のはずの高校の受験で都合よく病気で実力が出せないとかありえませんからね」

「田頭さんがなにを考えているかわかりませんか?」

「天才……なのでしょうね。私には分かりかねます」

「そうですか。答えにくいお話をして頂き、有難う御座います。失礼します」


 鏡山先生は受話器を置く。


「天才ゆえの奇行か? だとすれば西塔哲平を裏で操る田頭美咲って事か。

自分の考えを自分の口で言わずに、他人を使って言わせるのか?

そこに何のメリットがある?

それとも私は勘違いをしているのか。

なんにしてもババ抜きのジョーカーを押し付けられた様だ」




 美咲は紙に文章を書いていた。

例の反省文だ。何の迷いもなく書いていく。まるでお手本を写すかのように。

どうと言う事はない。帰宅中におおよその内容を固めて、机に向かうと同時に書き上げるだけだったのだ。

それに美咲にしてみれば、さして苦労する様な作業ではなかった。

 反省文を書き上げた美咲は、事件を振り返っていた。


「ふふふ、切腹はバカバカしかったかな。

 哲平が知れば怒るだろうな。私が怒り始める切っ掛けのこけしがここにあると知れば」


 こけしを軽く撫でる美咲。


「哲平を見ていると本当の才能って奴を痛感させられる。

 私は成績が優秀なだけの、常識に捕らわれた愚か者。奇行に走ってバカの高校に入ったまでが私の限界か?

 私は哲平ほどの発想力が手に入れられるだろうか……

そうならなくても、哲平を育て上げれば問題はない。その為にバカの高校で天才の卵に合える可能性にも賭けていたのだから。

だがどうせなら自分の力で……」


 美咲の部屋は薄暗く暗く、日本人形やホラー映画のDVDやブルーレイが並んでいた。


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