エロ神教の終焉 祭りの後始末
鏡山先生に引っ張られて職員室に入る美咲。
鏡山先生が椅子に座り、美咲を見上げる。余計な事だが、椅子に座らなくても美咲を見上げるくらいに、鏡山先生の背は低い。
「なんで予定と違う事をする?」
「鏡山先生はさっきの哲平の話をどう考える?」
「どうも考えんさ」
「中々の話だったと思うけどな。
少なくとも可能性くらいはある」
「誰を信じようが、何を信じようが勝手だが、世の中はそうはいかない。
信じられるものは確たる証拠だけであり、証拠をは提示していない西塔哲平の主張に価値などない」
「こういう時、ミステリー小説とかなら『指紋を調べれば分かる』とか言えるんだが……」
「だがそんな組織は存在しない。
つまり、どれだけ主張しようが意味はないんだ。
もし主張したいのなら大学にでも行って研究する事だな。
お前らでは無理な話だろうが。
もっとも、そんな研究に予算が付くとは思えないがな。
温室効果ガスによる温暖化を否定しているが、熱を出すと豪雨被害が増えると言うなら、石油の使用どころか二酸化炭素を出さない原子力発電も、自然エネルギーで得た電気で電子レンジで温める事すら、控えろと言っている事になる。
どうやって生活するつもりだ。誰も得をしない、それどころか有害だ」
「それどころか、二酸化炭素を減らす為の緑化でも、水蒸気が発生するので有害となるでしょうね。
ですが、経済的な正しさが科学技術の正しさより上回るというのは、私には到底理解できない話ですね」
「ヒーロー気取りか。下らんな。
しかも、力なきヒーローだ。益々下らん。
力をつけてから出直してくる事だ。
正義が勝つんじゃない。勝つ者が正義なんだ」
「温暖化にしろゲリラ豪雨にしろ、分からないと言っているよりは遥かにマシだ。
私には力で捻じ曲げた正義を語っているだけに聞こえるが?」
「分からないのはお前らの話も同じ事だ。
何度も言う様だが、力をつけてから出直してこい。以上だ。
いや待て、終わりじゃない。
お前には騒動の首謀者として罰は受けてもらう。
夏休み前までに反省文を書いてこい」
鏡山先生は不満顔の美咲を睨みつける。
「分かったら返事をしろ。
反省文を書いてくるのかそれとも退学になりたいか?」
「……反省文を書いてきます」
職員室を後にした美咲は
「やっぱり大人の頭は固いな。ある程度は予想していたけど、悔しいな。哲平の考えを聞くところまでは計画通りだったのだが」
と呟いた。




