エロ神教の終焉 エロ神教の終焉
哲平は意を決して話し出す。
「僕はゲリラ豪雨の時にブラジャーが見える状況を神の恵みと考え、エロ神を考え出した。しかし、それは間違いだった。
人類にとってゲリラ豪雨は神の恵みなんかじゃない。災害だ。
そしてゲリラ豪雨を引き起こしている犯人は密室の中にいる。
人類は火を使い発展してきた。現代では更に多くの火を使っている。
地球温暖化の話では、二酸化炭素の保温効果が影響して気温が上昇していると云われている。
二酸化炭素の保温効果については疑問に思うところもあるが、火を使えば熱が出るのだから気温の上昇は間違いなく起こっているはずだ。
気温が上昇すると水が蒸発しやすくなり、雨が多くなる。
雨が多くなった結果、ゲリラ豪雨という現象が起こる様になった。
しかし、地球の平均気温は現在のところそれほど上がっていない為、地球温暖化に懐疑的な人たちがいる程だ。
だから、雨が降る事によって気温が下がらなければいけない事になる。
なぜなら地球はある意味、密室だからだ」
ここまで一気に話をした哲平だったが、所詮偏差値の低い学校の生徒な為、次の言葉は出てこない。頭の中は真っ白なのだ。
だが、助け船が出される。晴奈が質問する形で。
「ちょっと待ってよ。雨が降れば気温は下がるでしょ?」
「いいや。それじゃダメなんだ。
地球が密室である以上気温が下がる理由、つまり熱が何処に消えたかが必要なんだ」
晴奈の質問に答えた哲平だが、説明する事に慣れていない為、それ以上話を続ける事は出来なかった。
しかし、聞き出せばいいのであれば、その役目は当然、美咲の役目だ。
「そう言うからには上空で冷やされるでは納得出来ないけど、その熱は何処へ行ったと言うの?」
「地球が密室と言っておきながらアレなんだけど、熱は地球から逃げ出す事が出来るんだ」
「熱放射の事か?」
きょとんとする哲平。堪らず美咲が
「熱が電磁波として放出される事だよ」
と言うが哲平は驚いた顔をする。
「へーそういう事もあるの?」
「まあな。しかし、その反応からするとその他の考えがあるって事だよな」
「まあ、そうなるね。
僕なんかの考えじゃ間違っているかもしれないけど、膨張だよ。
熱で気球の様に膨張して、宇宙に飛び出していくんだ」
「大気散逸の事か。その際に熱も一緒に宇宙へ逃げてしまうと……。
有り得なくはない。だがしかし、大気散逸程度でそんな大量に熱が逃げていくとは考えられないな」
「大気散逸? そんなの知らないよ。
でも、宇宙は膨張しているんだから熱を持っているはずだよ」
「宇宙は確かに膨張しているな。
だが、決して温度は高くは……そういう事か。
気化するだけの温度があればいいだけなのか。
つまり、
1、人の生活から熱が出る。出る熱で雨が増えている。
2、熱で水蒸気が発生する。
3、水蒸気は雨となり水は地上に戻るが、熱は宇宙へと逃げる。
4、熱が宇宙を膨張させる。
宇宙を膨張させる殆どは恒星の熱だろうが、熱が宇宙に逃げて膨張させるという考えは、成程、面白い」
「じゃあ。これでいいかな」
「上出来じゃないか。
エロ神を否定できたのだから」
美咲はマイクの前に移動し、スイッチを切る。
いつの間にかドアを叩く音はしなくなっており、近くに居た晴奈がドアの鍵を開ける。
鍵が開いた瞬間に晴奈がドアを開けるよりも前に開かれ、寸でのところで回避する。
ドアを開けて姿を現したのは、鬼の形相をした鏡山先生だった。
「やっと開けたかバカども。
西塔哲平、下田晴奈は教室に戻れ。
田頭美咲、貴様は職員室に来い」
鏡山先生は美咲の手を引っ張って職員室へ行く。
呆然と立ち尽くす哲平を晴奈が引っ張って教室へ行く。
本文に語られている豪雨と宇宙膨張に関する理屈については、作者の意見であり、実験などをしている訳でも、データを解析している訳でもありませんので、正しいと主張する訳ではありません。が、その理屈を元に宇宙の終わりを描いた拙作『宇宙リセット』もご覧いただけると幸いです。




