派閥の分裂 全裸派の発生
翌日の昼休み、美咲は晴奈がモジモジしている事に気が付く。
「また下着穿き忘れたな」
そう言うやいなや美咲は晴奈の背後へ回り込み、胸をワサワサして股間を触って確認する。
「イヤ。止めて」
「ぐへへ。良いではないか。良いではないか」
哲平が手を出そうとすると、美咲に叩き落される。
そこにピンク色のナース服を着た内尾がやってくる。メイド服と同様に安っぽい感じのするコスプレ衣装だ。今度はオーバーニーソックスがない分、露出した太ももが輝いており、メイド服の時と同様に教室中の注目を浴びている。
晴奈は内尾に気を取られている美咲の手からの脱出に成功し、乱れた服装を整える。その際にピンク色の二つのポッチが服から浮き出るのだが、誰もが内尾に気を取られていたため気付かれる事はなかった。
哲平が誰よりも早く、内尾に話し掛ける。
「メイド服からナース服に変えたの? メイド喫茶はどうなったの?」
「メイド喫茶ではなくコスプレ喫茶に変更するから問題なしです。
それより私たちに対抗して全裸派という派閥が出来たのですが、ご存知でしょうか?」
哲平は美咲の顔を見るが、美咲も知らないのか首を横に振る。
なにも言い返せない事を悔しく思った哲平は、晴奈を横目で見ながら言う。
「ノーパンノーブラ派ならここにいるけど」
「穿き忘れただけだから。ずっと哲平君と同じ派閥にいるから!!」
顔を真っ赤にして否定する晴奈に、内尾が「なんてハレンチな……でしったっけ? これでオアイコですわ」とニッコリ微笑んで言う。
美咲が涎を手の甲で拭いて内尾に詰め寄る。
「それよりも全裸派のご神体に興味があるわ」
「さあ。そこまでは……」
哲平はため息をついて内尾を見る。
「面倒事が増えるのは勘弁してほしいな。
全裸の絵や写真でも出して来たら学校中で問題になる」
「コスチューム派に対しての全裸派だと思うのですが、いくら何でも全裸にはならないでしょう」
哲平と内尾の会話に美咲が割り込む。
「ちょっと話を勝手に進めないで。ところで誰が全裸派を作ったの?」
「私と同じクラスの武冨剛士 (たけとみ つよし)ですけど?」
「武冨君!? これは面白いわ」
一人興奮気味の美咲に対して、面白くなさそうな顔を向ける哲平。
「美咲さん。何がそんなに面白いの?」
「武冨君はショタ君と人気を二分するくらいに女子に人気の男子よ。
イケメンかつ細マッチョな肉体で、サッカー部に所属して一年生でありながらレギュラーだとか……。私はサッカーに疎いから本当かどうか知らないけど、プロでも通用するとか噂されているわ」
やっぱり面白くない話だったと言わんばかりの顔をする哲平。それとは対照的な晴奈は「へー。本当?」と一応興味を示す様な返事をする。
内尾は晴奈を見ながら真面目な顔つきになって首を横に振る。
「止めといた方が良いよ。武冨君の頭は非常に残念だから」
全教科満点の美咲が
「バカの学校に通っている時点で皆おなじだけどね」
と皮肉を言う。
内尾は一瞬うっと声を詰まらせつつも
「まあ、武冨君はサッカーバカなのは間違いないよ。
私もサッカーには疎いけど、武冨君のサッカーはプロでは通用しないと思うな。
ウチの学校ってそれなりにはスポーツに力を入れてるけど、県内屈指って訳じゃないから、いい選手は揃わないじゃない。だから個人プレイになっちゃうのよ。
この学校にいる間はエースで居れるかもしれないけど、少しは頭良くしとかないと失敗すると思うな。
あ、ごめーん。長居しすぎたから帰るね」
と好きなだけ言って教室から出て行く。
哲平は首を傾げて
「うーん、なんか引っ掛かるな。敵対者の割に詳しすぎる様な」
と呟く。
晴奈は
「内尾さんと武冨君は出来ているのか、それとも内尾さんの片思いかな?」
と呟くと、美咲がそれに反応する。
「ハルハルもそう思う? 気が合いますなぁ」
「そ、そうね」
美咲がニヤニヤとしているのとは対照的に、晴奈は引きつった笑いを浮かべる。
晴奈は誰にも気づかれない様な小さな声で
「気が合うわけないでしょ。絶対、哲平君は渡さないからね」
と呟いた。




