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派閥の分裂 二次元巨乳派の誤算


「暑いな。温暖化って奴かな。

また大雨こないかな。涼しくなるし、パラダイスも蘇る。

だが、エロ神はもういいから消えてくれ」


 哲平は汗を垂らしながら、教科書で扇いでいる。

それに対して、哲平の前の席に断りもなく座る晴奈は、普通に自前の下敷きで扇いでいる。


「哲平君は、なぜ教科書で扇いでいるの?」

「勉強しない人に下敷きが必要とは思わなかったんだ」


 哲平の隣の席にいる美咲は、下敷きで晴奈を仰いでいる。

 美咲はニヤニヤしながら哲平を見る。


「私には下敷きが何枚かあるから一枚くらい貸そうか?

力を貸してくれるなら、だけど」

「ありがたい。貸して」


 哲平は美咲から下敷きを受け取ると、一緒になって晴奈を扇ぐ。

風を受ける晴奈の表情からは爽やかさがうかがえる。


「なんかいい風が吹いてる」


 晴奈のスカートが徐々に捲れていき、僅かにパンツが見えてくる。

哲平と美咲はニヤニヤしながら、晴奈を扇ぎ続ける。


「晴奈さん。ちょっと立って貰っていい?」


 哲平たちが顔を上げると、そこにはショタ君が居た。

 晴奈は困惑した表情で「え?」と言いながらも、スッと立ち上がる。そのせいで、折角僅かに見えていたパンツが見えなくなってしまう。

 ショタ君はニコニコした顔をしているが、哲平と美咲はぐぬぬと悔しさから声を漏らす。


「もう座って良いよ」


 晴奈のお尻は椅子に戻ってきたが、パンツが拝める風景は残念ながら戻ってこなかった。

そんな事とは露知らず、晴奈の表情は困惑したままだ。


「はい? なんなの?」

「いや。服にホコリが付いていたんだけど、立ち上がった瞬間に落ちたんだ。

黙ってホコリを取ろうとして誤解されても困るからね」

「ショタ君ありがとう。ショタ君って優しいね」

「いえいえ、どういたしまして」


 晴奈は笑顔をショタ君に向ける。

 美咲はむすっとした顔で

「ショタ君は誰に対しても優しいからね。気を付けた方がいいよ」

と嫌味を言う。

 ショタ君は真面目な顔になって哲平を見る。


「ところで、二次元派が分裂した話は知ってる?」

「二次元貧乳派と二次元巨乳派に分裂したって話だね」

「流石はエロ神教の始祖だ。

だが間違えないで欲しい。

僕の派閥は二次元貧乳派と言われているが巨乳を否定している訳じゃない……ゴメン。議論をしに来たわけじゃなかった。

二次元巨乳派がご神体として綺麗なイラストを描いてきたのは知ってる?

なんでもコンピュータで絵を描いて印刷してきたらしいよ」

「初耳だよ。でもなんでそんな事するのかねぇ」

「それは、エロ神というブームを背景に自分の考えを主張する為だよ。

宗教ってそういうもんじゃないかな。

神が必要なんじゃなくて主張が必要なんだよ。

僕にとってのエロ神とは、絵などの作品を表現する為の機会だと考えているよ。

それは兎も角、二次元巨乳派の作品も見てきなよ。すごく綺麗なイラストだから」

「どういうコト?  その発言は敵を応援する様なものじゃないの?」

「僕なんかの様な駆け出しのクリエーターが言うのもなんだけど、僕は全ての作品に敬意をもっているよ。

それが例え誰のどんな作品であろうともね」

「嫌味なくらいに余裕だね」

「実は僕もマンガを描いたらから」


 哲平にショタ君がノートを手渡した。そのノートを開くといくつかの4コママンガが描かれていた。美咲と晴奈も一緒にマンガを見る。

 マンガは、健全なキャラクターが健全な事をしつつもアングル的にパンチラしている日常系の内容で、可愛く描かれてはいるがエロさはあまり感じられない。二次元貧乳派には女子信者が多い為エロがソフトになっているのか、エロがソフトだから女子信者が多いのかは定かではない。


 ショタ君は哲平の顔を覗き込んで

「どうかな?」

と言うと、哲平は

「へー。大したもんだ」

と言い感心する。


「哲平君も僕の作品に慌てる事もなく褒めるなんて、嫌味なくらいに余裕だね」

「上手い事言い返されてしまったよ」


 ショタ君は嫌味のない微笑みを返し、哲平はショタ君にノートを返す。

ショタ君はノートを受け取ると、自身の席に戻っていく。ショタ君の席には班目と森迫がいた。

 美咲は面白くなさそうに哲平に話しかける。


「折角の風景を台無しにされただけよ。

ちなみに、二次元巨乳派だけど人は集まらなかったみたいよ」

「綺麗なイラストを公開したんじゃないの?

それで信者が増えたんじゃないの?」

「まあ、落書きレベルでしかないショタ君のご神体よりは、遥かに見栄えは良いらしいけど、巨乳にどれだけの女子が嫌悪してるかって話よ。

女子に人気のショタ君とは比べ物になるはずもないわね」

「しかし、ゲリラ豪雨がエロ神に代わり、エロ神が絵やマンガを表現するネタに使われているなんて困ったものだよ。

本来の意味から完全にかけ離れてしまっているじゃないか」

「偶にあるよね。会話が脱線するコトって。それと同じ事じゃないかな」


 ヤレヤレと呆れた顔をする哲平と、機嫌が直ってケラケラと笑っている美咲。

ショタ君に知らず知らずに助けられた晴奈は、感心した表情で

「哲平君って、皆の役に立っててすごいね」

と呟いた。


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