エロ神様が生まれた日 雨の日の登校
「間に合わなかった」
自転車で登校中の男子高生に雨粒が落ちてきた。
雨はあっという間に男子高生の体の汗を流し落とす程に強くなった。
空は朝だというのに雨雲のせいで暗い。
が、空とは対照的に男子高生の顔は明るかった。
「哲平君。酷いドシャ降り。学校に遅刻しそうだけど合羽着る?」
男子高生の名前は西塔哲平。
そして、哲平に声を掛けたのは下田晴奈。哲平とは幼馴染でクラスメイトだ。
晴奈は胸の育ちが悪い上、髪をツインテールにしているせいもあり見た感じ高校生には見えない。
「残念だけど雨具は持って来てないんだ。
遅刻もマズイから、ずぶ濡れになると思うけどこのまま行こう」
「うん」
二人は自転車の速度を落とす事なく、ドシャ降りの中を遅刻しない様に学校へと急いだ。
莫迦野高等学校と書かれた正門が見える。哲平たちが通っている高校だ。
正門の右側から自転車に乗った女子高生が、哲平たちより先に登校している。
その女子高生も哲平たちと同じく雨具を使用しておらず、ずぶ濡れだ。
後ろ髪が肩に掛かるくらいの長さしかない為、白いセーラー服が透けて、ピンク色のブラジャーが薄っすらと見えている。残念ながら遠くである事と後ろ姿でしか確認出来ていない為、それ以外の情報は今のところない。
哲平には女子高生の顔に見覚えがあった。クラスメイトの田頭美咲だ。
「あれは、美咲さんじゃないか?」
「そうかな? 雨でよく分からなかったよ」
「今日はラッキーな日だ。美咲さんのピンク色のブラジャーが薄っすらだけど見えたよ」
「哲平君。そんなところばかり見てちゃダメだよ。私ならいいけど」
そう言われたので遠慮なく晴奈の背中に目をやる哲平。
しかし、晴奈の背中は全体的に肌色が透けて見えており、ブラジャーをしていない事が分かる。
そこまで胸が育っていない事も一因だが、この晴奈という人物は忘れ物が多く稀に下着も穿き忘れる。
「ハルハル。ブラジャーが透けてないけど、どうして?」
「ハルハルじゃなくて、前みたいに晴奈って呼んで……え?」
晴奈は片手で自分の胸を触り、青ざめる。どうやら今、ブラジャーをつけ忘れた事に気が付いた様だ。
「じゃあ前から見れば胸の突起物が拝めるって事だね」
哲平は晴奈の胸の部分を確認するも、現在は自転車に乗って前かがみである事と、胸がペッタンコなため胸の突起物は残念ながら見えない。
「哲平君のエッチ」
「確か数日前もブラジャーをし忘れてたよね?」
「なんで知ってるの?」
「ん?
雨に濡れていない時でも夏服なら薄っすらと見えてるんだよ。ブラジャーをしているかどうかくらいなら分かるよ」
「それは私も他の女子生徒を見て分かってるよ。
だけど問題なのは、なんで私のブラジャーを毎日チェックしているのかって事よ」
「ハルハルがブラジャーをしている時としていない時があるけど、なにか意味があるのかなと思ってさ。ハルハルは胸が小さいからブラジャーの必要はないと僕は思うけどね」
「酷い。人が気にしている事を。今度その話をしたらダメだからね」
学校内にある駐輪場に辿り着き、自転車から降り、ロックを掛け、籠に乗せてあった鞄を掴む。
「間に合った」
「まだよ。教室に入るまでが登校よ」
「分かってるよ」
哲平と晴奈は校舎に入る。そこでまた哲平は晴奈の胸を見るが、手ブラしているせいで突起物は見えなかった。
哲平は
「しゃべらなければ、ピンク色の突起物が見えたかもしれないのに残念な事を言ってしまった」
と呟きながら晴奈と教室までダッシュする。
教室に到着すると同時にチャイムが鳴った。
チャイムがなった直後なので先生は来ておらず、ギリギリセーフといったところだ。
晴奈は廊下に近い席の為先に座り、哲平は窓側の席の為遅れて座る。
哲平は席に着くと同時に
「間に合った」
と安堵する。
「よう。いつもながらギリギリだな」
哲平の隣の席にいるピンク色のブラジャーをしている美咲が哲平に話しかけてきた。
その美咲の胸をガン見する哲平。
美咲は手で隠すなんて無粋な事はしておらず、花柄の刺繍の入った少しオトナな雰囲気のあるブラジャーが見える。しかも、胸が大きい為か服に張り付いておりクッキリ浮き出ている。
「さっき登校中の美咲さんの後ろ姿を見て、ブラジャーがピンク色って事だけは分かっていたんだ。
こうして前からハッキリとじっくりと見る事が出来て本当に良かった」
「ふふっ。他の男子からの視線も感じてはいるが、そんなに堂々と見るのは哲平くらいだよ」
「見ないと魅力がないという意味になる。それは失礼じゃないか」
美咲は失笑した後、哲平に
「なるほど、そういう解釈も出来るな」
と返した。