表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/121

ザ・ダウンワード・スパイラル

ザ・ダウンワード・スパイラルをBGMにお楽しみください。今後とも宜しくお願いします。

 アーシェラはすぐさま風精霊(シルフ)に命じて、妖精の指輪(フェアリーリング)の位置を確認させた。

 それは予想通り、2体の魔神兵装(モーターヘッド)の額にある水晶体の中に発見された。

 問題は、唯一自力で防護幕(ヴェール)を撃ち破ることのできるヒューゴの愛剣、永劫回帰(メタリカ)での攻撃を、どのようにして、そこまで届かせるかということであった。

 それについては、アーシェラに考えがあった。

 アーシェラは魔神兵装(ソドム)魔神兵装(ゴモラ)、どちらか一方ずつであれば大地の精霊(ノーム)の力で動きを封じることができる。

 そしてそのことが、今は英雄波動共振ウィ・ウィル・ロック・ユーの効力によって、パーティー全体にイメージとして伝達されていた。

 アーシェラが大地の精霊(ノーム)を召喚するまでの間、一行は回避と防御に集中する。

 チグリスとユーフラテスはいつの間にか姿を消し、バキエルは今、機関銃(マシンガン)塵から塵へアナザー・ワン・バイツ・ザ・ダストを手にしていた。

 バキエルは魔神兵装(モーターヘッド)の構造を理解しているため、操縦者であるゴブリンの王( ゴ グ )オークの王(マゴグ)の視界を妨げるために絶好のポイントに魔弾(バレット)を掃射する。

 それでもなお魔神兵装(ソドム)魔神兵装(ゴモラ)は、だいたいの見当をつけて、一行に攻撃を繰り返す。

 一行は飛び跳ね、飛び退き、斬馬刀と連接棍棒(フレイル)による猛攻を辛うじて潜り抜ける。

 2体の攻撃が空振りして床石を砕く度に飛び散る岩石群を、ディオゲネスが絶対防壁(ザ・ウォール)で防ぐ。

 アーシェラもまた、一行と共に敵の猛攻を避けながら意識を集中して詠唱を開始する。

 「万物の基にして支え手なる大地の精霊よ。契約に基づき我が前にその力を現せ!!」

 アーシェラは大地の精霊(ノーム)の力が自身に宿るのを感じた。

 大地の精霊(ノーム)もまた、時の精霊(クロノス)炎の魔神(イフリート)同様、最上位の精霊(エレメント)の一角である。

 だが重力操作のためには、必ずしも大地の精霊(ノーム)を実体化させる必要はない。

 そこでアーシェラは、今回は敢えて大地の精霊(ノーム)を実体化はさせず、その能力だけを借用することにした。

 アーシェラはまず、魔神兵装(ソドム)をターゲットに定めた。

 魔神兵装(ソドム)に右手を翳して唱える。

 「重力下方螺旋ザ・ダウンワード・スパイラル!!」

 ズシン!

 急激に増加した自重に耐え兼ねるように魔神兵装(ソドム)が片膝をつく。

 魔神兵装(ゴモラ)は一行に攻撃を繰り返している。

 バキエルが塵から塵へアナザー・ワン・バイツ・ザ・ダストで牽制を仕掛ける。

 その他のメンバーは防護幕(ヴェール)が解除される瞬間に備えて、魔神兵装(ゴモラ)の攻撃を回避しながら攻撃体制を整える。

 魔神兵装(ソドム)はなんとか立ち上がろうと試みるが、アーシェラはさらに重力を増加させる。

 魔神兵装(ソドム)は堪らず斬馬刀を落とし、両手を床につく。

 床石が、増加した魔神兵装(ソドム)の体重に耐えきれずにひび割れる。

 ヒューゴが永劫回帰(メタリカ)を振り上げながら、魔神兵装(ソドム)の頭部目掛けて跳躍する。

 「王殺し(バルムンク)!!」

 闘気によって巨大化した永劫回帰(メタリカ)の剣身が、魔神兵装(ソドム)の額の水晶体を破壊する。

 水晶体の破片と共に妖精の指輪(フェアリーリング)が宙に舞う。

 そのタイミングを待っていたように、グィードが空中で妖精の指輪(フェアリーリング)をキャッチして腰袋に収める。

 「今だ!」

 グィードが叫び、一行は魔神兵装(ソドム)に殺到する。

 「死神による(デスサイズ・)速弾きの(シュレッド・)追奏曲(カノン)!!!」

 「餓狼剣疾風乱舞がろうけんしっぷうらんぶ!!!」

 グィードの亜音速の連撃と人狼(アルフォンス)の超音速の連撃が同調(シンクロ)する。

 「「人狼のための狂詩曲ヴェアヴォルフ・ラプソディー!!!」」

 4体の分身(ムスターファ)もまた、一斉にそこに飛び込む。

 グィードの双剣と4体の分身(ムスターファ)の双刀が同調(シンクロ)する。

 「「放浪者のための狂詩曲ボヘミアン・ラプソディー!!!」」

 卓越した6人の剣士による11本の剣が、魔神兵装(ソドム)の全身をズタズタに斬り裂く。

 魔神兵装(ソドム)の装甲が完全に粉砕され、ゴブリンの王( ゴ グ )自身の身体が露になる。

 鬼人(スオウ)の虎爪がゴブリンの王( ゴ グ )の顎から下を抉り取る。

 ヒューゴの王殺しの(バルムンク・)速弾きの(シュレッド・)追奏曲(カノン)とレーナの駆逐者の(ルイナー・)速弾きの(シュレッド・)追奏曲(カノン)ゴブリンの王( ゴ グ )の胴体を斬り刻んだ。

 さらにディオゲネスの三位一体(トリニティ)による3種の重複魔法がゴブリンの王( ゴ グ )の全身を徹底的に破壊し尽くす。

 ゴブリンの王( ゴ グ )の身体が肉塊と化した時、一行は四方に飛び退いた。

 いつの間にかバキエルの武器は酸化還元反応弾発射器テルミット・ランチャー化学的修道士(ケミカル・ブラザーズ)に持ち換えられている。

 バキエルが化学的修道士(ケミカル・ブラザーズ)の引き金を引く。

 酸化還元反応(テルミット)弾が発射され、一瞬前までゴブリンの王( ゴ グ )であったものを、灰も残さずに焼き尽くした。

 続いてアーシェラは魔神兵装(ゴモラ)に向き直る。

 魔神兵装(ゴモラ)は危機を察知して、アーシェラ目掛けて連接棍棒(フレイル)による攻撃を繰り出す。

 アーシェラが飛び退くより前に、目の前に鬼人(スオウ)が立ち塞がり、なんと連接棍棒フレイルによる渾身の一撃を両手で受け止めてしまった。

 魔神兵装(ゴモラ)連接棍棒フレイルの先端を引き戻そうとするが、鬼人(スオウ)はそれを握って放さない。

 両者の凄まじい膂力に引かれて連接棍棒フレイルの鎖が悲鳴を上げる。

 その間に体勢を立て直したアーシェラが、魔神兵装(ゴモラ)に右手を翳して唱える。

 「重力下方螺旋ザ・ダウンワード・スパイラル!!」

 鬼人(スオウ)連接棍棒フレイルの先端から手を離す。

 一気に解放された連接棍棒フレイルの先端が凄まじい速度で引き戻されるが、その途中で魔神兵装(ゴモラ)の身体と共に床に沈む。

 アーシェラによる重力操作が連接棍棒フレイルにも働いているのだ。

 ヒューゴが魔神兵装(ゴモラ)のもとに走る。

 「王殺し(バルムンク)!!」

 巨大化した永劫回帰(メタリカ)の剣身が魔神兵装(ゴモラ)の額の水晶体を破壊する。

 水晶体の破片と共に宙に舞った妖精の指輪(フェアリーリング)をグィードが再び空中でキャッチして腰袋に収める。

 先程の魔神兵装(ソドム)ゴブリンの王( ゴ グ )への猛攻が、魔神兵装(ゴモラ)オークの王(マゴグ)の身に再現される。

 オークの王(マゴグ)はやっと悪夢から目覚めることができることを喜ぶが、それはほんの一時のことであることをオークの王(マゴグ)は知っていた。

 コボルトの王(ゴーモト)はまた自分に新しい身体を与えて呼び覚ますであろう。

 しかし、今しばらくは安らかに眠ることができる。

 あの静かなフラスコの海の中で。

 オークの王(マゴグ)コボルトの王(ゴーモト)の死を願っていた。

 この人間たちが、いつかはそれを実現するであろう。

 しかしその前に、自分が再びこの人間たちの前に立ちはだかることになるであろう。

 次の悪夢でまた会おう。

 自分の身体を焼き尽くす炎の中で、オークの王(マゴグ)はそんなことを考えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ