表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/121

復活ゴグとマゴク

総力戦後半がスタートです。今後ともよろしくお願いします。

 修練場の冒険者もどき(イミテーション)は、ほぼ一掃されようとしていた。

 その時、一行によって開かれたままになっていた扉から、複数の巨大な影が修練場に乱入してきた。

 それはオートヴィル城の中庭で一行が遭遇した邪妖精可能態ウィキッドフェアリー・デュナミスであった。

 しかも以前はゴブリンとオークとコボルトが各1体であったのが、今回は各3体、総勢9体の可能態(デュナミス)の群れである。

 そしてその背後に、一行は信じられないものを目にした。

 そこにはコボルトの王(ゴーモト)と、以前の戦闘において完全に焼却し尽くしたはずのゴブリンの王( ゴ グ )オークの王(マゴグ)の姿があったのだ。

 「あれはゴブリンの王( ゴ グ )オークの王(マゴグ)、彼奴ら本当に不死身なのか?」

 グィードが思わず口にした。

 「やあゴーモト、元気にしていたかい?」

 グィードの傍らから、バキエルがコボルトの王(ゴーモト)に、いかにも暢気に声を掛けた。

 「バ、バキエル様、どうしてここに?」

 コボルトの王(ゴーモト)が驚いたようにバキエルに尋ねた。

 「ああ、いろいろとあってね。僕はこの人たちと一緒に行動することにしたんだ。申し訳ないけど、おまえとはこれから敵同士ということになるね」

 バキエルがあっけらかんと言った。

 「なんと!」

 そう叫んで、コボルトの王(ゴーモト)はショックを隠しきれない様子であったが、数秒後には邪悪な笑いを見せて言った。

 「左様でしたか。では私もこれからは、あなたを魔族の敵と看做してお相手させて頂きます。手加減は致しませんぞ!」

 「いい覚悟だね、ゴーモト。その覚悟に免じて、おまえに与えた僕の加護は、そのままにしておいてあげるよ」

 バキエルはやはり、世間話でもするかのように穏やかに、微笑さえ湛えて口にした。

 しかし、コボルトの王(ゴーモト)は次の瞬間、意外にもと言うべきか、予想通りと言うべきか、身を翻して逃げ去った。

 「ゴグ!マゴクよ!生まれ変わったおまえたちの力を見せつけてやれ!」

 それがこの時、コボルトの王(ゴーモト)が残した最後の言葉であった。

 ゴブリンの王( ゴ グ )オークの王(マゴグ)は、互いに顔を見合せ首をかしげたが、やがて仕方がないという様子で一行に向き直り、可能態(デュナミス)たちに一斉攻撃の掛け声を掛けた。

 「行け!力ある者どもよ!」

 「あの人間どもを蹂躙せよ!」

 その言葉を聞いて、グィードはゴブリンの王( ゴ グ )オークの王(マゴグ)が以前とまったく同じ存在ではないことに気付いた。

 以前のゴブリンの王( ゴ グ )オークの王(マゴグ)は、人語を発することはなかったからである。

 また、可能態(デュナミス)たちに命じるにしろ、本来であればわざわざ人語を使う必要はない。

 つまり、ゴブリンの王( ゴ グ )オークの王(マゴグ)は今、グィードたちに対する威圧のために、わざわざ人語で可能態(デュナミス)たちに命じたのだ。

 だがもはや、それ以上考えている余裕はなかった。

 グィードが一行を振り返って叫ぶ。

 「奴等の自己再生能力は凄まじい!まずは完全に戦闘不能にするんだ。そして焼き尽くせ!ディオゲネス!アーシェラ!準備を頼む!」

 ディオゲネスとアーシェラが黙って頷く。

 「バキエル!おまえは燃やすのは得意か?」

 グィードが尋ねた。

 「はい!任せてください!」

 バキエルが優等生のように答える。

 「よし!いい返事だ!任せたぞ!」

 そう言ってグィードは、双剣を携えたまま可能態(デュナミス)の群れに向かって走り出した。

 人狼(アルフォンス)もまた、グィードを追うように走る。

 4人の分身(ムスターファ)も、鬼人(スオウ)も、グィードたちに続く。

 その時、最後の冒険者もどき(イミテーション)がヒューゴとレーナの連携攻撃によって撃破された。

 「レーナ!俺たちも行こう!」

 レーナがヒューゴに黙って頷く。

 2人が走り出す。


 グィードが最初に接触した可能態(デュナミス)は、ゴブリン型であった。

 右手に大剣(クレイモア)を持ち、左手には大盾(ラージシールド)を装備していた。

 「死神の大鎌(デスサイズ)交響曲(シンフォニー)!!!」

 グィードの身体が4人に分かれた。

 超高速移動と静止を繰り返すことによって生まれる残像であったが、それを目撃している誰もが、実際に4人のグィードが存在しているように錯覚する。

 4人の分身(グィード)が同時にゴブリン型(デュナミス)に攻撃を仕掛ける。


 「「「「死神による速弾きデスサイズ・シュレッドの追奏曲(・カノン)!!」」」」


 4人の分身(グィード)が8本の死神の大鎌(デスサイズ)と化した黒い虹(ブラックレインボー)を持ってゴブリン型(デュナミス)に殺到する。

 グァァァァァァァァァァ!!!

 ゴブリン型(デュナミス)は狂ったように大剣(クレイモア)大盾(ラージシールド)を振り回し、分身(グィード)たちを払い除けようとするが、分身(グィード)たちはさらに加速して回避と攻撃を繰り返す。

 気が付けば分身(グィード)は8人に増えている。

 16本の死神の大鎌(デスサイズ)ゴブリン型(デュナミス)を斬り刻む。

 ゴブリン型(デュナミス)の身体は早くも肉塊となっていた。

 ディオゲネスとアーシェラの視線が交わり、静かに頷く。

 「「風精炎獄陣(シルフィーバースト)!!」」

 先程までゴブリン型(デュナミス)であった肉塊を結界が覆い、その中に地獄の業火が満ちる。

 肉塊は消し炭となり雲散霧消した。


 その様子を眺めながらバキエルが傍らに立つ双魚宮(ピスケス)のチグリスに声を掛ける。

 「チグリス!これを!」

 バキエルが機関銃(マシンガン)塵から塵へアナザー・ワン・バイツ・ザ・ダストをチグリスの方へと放る。

 チグリスは頷くと同時に、自分の持っている小型拳銃(デリンジャー)優しい悪魔(スウィート・イーヴル)をユーフラテスに放る。

 「ユーフラテス!」

 チグリスが塵から塵へアナザー・ワン・バイツ・ザ・ダストをキャッチし、ユーフラテスは優しい悪魔(スウィート・イーヴル)をキャッチする。

 ユーフラテスは2丁の拳銃を両手で巧みに操り構え直す。

 同時にバキエルは、すでに野蛮の園(サヴェージ・ガーデン)を展開して、新たな兵器(ウェポン)を取り出している。

 それは未知の金属で造られた、小型化した攻城砲のように一同の目には映った。

 超古代兵器スーパー・ハイエンシェント・ウェポン酸化還元反応弾発射器テルミット・ランチャー

 アルミニウムと酸化鉄のナノ粒子に数種の特殊溶剤を混合したテルミットと呼ばれる焼夷剤を封入した小型爆弾を発射し、化学反応によって極小範囲に最大で約6000度の超高熱を発生させる対魔神用焼夷兵器である。

 バキエルはそれを、化学的修道士(ケミカル・ブラザーズ)と名付けた。

 バキエルたち3人にオーク型(デュナミス)が接近しつつあった。

 チグリスの塵から塵へアナザー・ワン・バイツ・ザ・ダストが火を吹く。

 ダダダダダダダダダ……

 オーク型(デュナミス)の胴体に全弾が命中して巨大な穴が空くが、早くも塞がり始める。

 ユーフラテスはオーク型(デュナミス)の懐に飛びこみ、2丁の優しい悪魔(スウィート・イーヴル)の銃口を頭上に向けて、立て続けに引き金を引く。

 ヴォン!ヴォン!ヴォン!ヴォン!ヴォン!

 本来の小型拳銃(デリンジャー)は単発式であるが、使用者の魔力によって瞬時に装填される魔弾(バレット)を用いる優しい悪魔(スウィート・イーヴル)は、連射が可能なのだ。

 5発の魔弾(バレット)オーク型(デュナミス)の顎から脳天に突き抜ける。

 のたうち回るオーク型(デュナミス)の懐から、ユーフラテスが素早く退避する。

 チグリスの塵から塵へアナザー・ワン・バイツ・ザ・ダストが再び火を吹く。

 ダダダダダ、ダダダダダダダダダ……

 掃射された無数の魔弾(バレット)オーク型(デュナミス)の両足を削り取り、オーク型(デュナミス)の身体が沈む。

 魔弾(バレット)の掃射は止まらず。

 オーク型(デュナミス)の上半身もグズグズの肉塊に変わる。

 「良し、もう充分だ!」

 バキエルが叫ぶ。

 肉塊はなおも再生しようとしていた。

 バキエルが化学的修道士(ケミカル・ブラザーズ)の引き金を引く。

 ボシュン!

 酸化還元反応(テルミット)弾が発射され、肉塊に命中する。

 瞬時に化学反応が始まり、超高温の火柱が肉塊を焼き尽くす。

 一行は戦闘を続けながらも、その光景の凄まじさに目を見張っていた。

 なお7体の邪妖精可能態ウィキッドフェアリー・デュナミスと、ゴブリンの王( ゴ グ )オークの王(マゴグ)が健在であったが、一行はすでに自分たちの勝利を疑っていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ