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幕間の物語 ~コボルトの王~

新章に入る前に、ひとまず幕間をお送りします。


 深海のように暗い部屋であった。

 二つの巨大な生き物の気配があった。

 一つの気配はもとからその部屋にいたのだが、もう一つの気配は後からその部屋にやって来たようであった。

 訪問者は巨大な(けだもの)であったが、普通の獣とは異なる(いびつ)な姿をしていた。

 その巨大な獣には七つの醜い頭があった。

 訪問者は偉大なるネズミの王(グレイトキングラット)であった。

 迎え入れた者は、訪問者よりは小さいが、それでも普通の人間に比べれば遥かに大きい、人型の生き物であった。

 手足は細く弱々しい印象を与えるが、人のものとも獣のものとも言えない、嫌らしく狡猾そうな顔をしていた。

 それは巨大なコボルトであった。

 もしその姿を見る者があれば、これこそがコボルトの王であることを、誰も疑わないであろう。

 「リロイか?我が貸し与えた邪妖精(ウィキッドフェアリー)たちは役立っておるか?」

 甲高(かんだか)(かす)れた、聞く者を不快にさせずにはおかないような声であった。

 コボルトの王は、偉大なるネズミの王(グレイトキングラット)をリロイと呼んだ。

 リロイ、それがこの醜く歪で、巨大な魔物の王の名前なのだ。

 「それなりにはな」

 偉大なるネズミの王(G K R=リロイ)精神感応(テレパシー)で答えた。

 「そんなことよりもゴーモトよ。妖精の指輪(フェアリーリング)の方はどんな具合だ?」

 ゴーモト、それがコボルトの王の名であった。

 「コボルダイトは完成が間近だ。だが、ヒヒイロカネがどうにもならんのだ。どうやらこの時代では、四百年前よりもさらに稀少なもののようだ」

 「そうか。ではそんなおまえに朗報がある」

 「朗報?」

 「ああ、じつは偶然、ヒヒイロカネを見つけたのよ」

 「なんと、いったいどこで?」

 「正確には、オリハルコンの剣を、冒険者の若造が持っているのを見たのだ」

 「オリハルコン!」

 コボルトの王ゴーモトの目が狂喜に輝いた。

 「もしオリハルコンが手に入れば、前のものよりもさらに強力な指輪(リング)が造れるだろう」

 「そうか、それは重畳。だが、問題はその若造の取り巻きが、なかなかに手強(てごわ)いということだ」

 「ふん、オリハルコンの剣を持つほどの者の取り巻きであれば、それは当然のことだな。で、なにか策はあるのか?」

 「うむ、彼奴(きゃつ)らは今、オーデンセという人間の街に向っている」

 「それで、どうする?」

 コボルトの王(ゴーモト)偉大なるネズミの王(G K R=リロイ)に先を促した。

 「古典的な方法だが、人質を取るのが一番であろうな。数は多ければ多いほど良い」

 それを聞いて、コボルトの王(ゴーモト)の醜い顔が、さらに醜く歪む。

 嫌らしく破顔したのだ。

 「なぜ人間たちは、同族の命をあれほどまでに大事にするのか、我らには理解できぬがな」

 コボルトの王(ゴーモト)の目に邪悪な色が輝いた。

 「ちょうど新しいコボルダイトの性能を試したいと思っていたところだ。指揮はゴグに任せるとするか」

 偉大なるネズミの王(G K R=リロイ)の七つの顔が、一斉に邪悪な笑みに歪んだ。


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