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第四十二話 おもちゃ③

「ゆうちゃん、お菓子を買いに行こう!」


 ユラリが前に、幽霊も食べ物を味わうことは出来ると言っていたし、楽しむ事は出来るだろう。


 財布を持って、二人でコンビニに向かった。


「コンビニはね、歩いて5分位だよ」


 私が高校に上がる少し前に出来た、広い駐車場のあるコンビニが家から一番近い。


 学校となっちゃんの家とは反対方向にある。


「歩くペースはこれくらいでいい?速くない?」


 ゆうちゃんが身に付けているシナモンが、浮かんで着いてくる。


 ぴったり隣に居るみたいだから、大丈夫かな。


 田んぼに挟まれたコンクリートで舗装された道路を、心もちゆっくりと歩く。


(夏だな)


 田植えが終わった田んぼに、緑の稲が生い茂ってる。


 家からコンビニまでは1kmもない。

 私達はすぐに目的地にたどり着いた。


 ピンポーン


 「いらっしゃいませー」


 自動扉をくぐると、軽快なドアチャイムの音と店員の定番の挨拶が聞こえた。


 店内は冷房が効いていてとても涼しい。


(天国だ)


 さっきまで暑い外を歩いていたから尚更。


 お店に入るときにゆうちゃんのことを隠したりはしなかったけど、店員は何も気づいて無いようだ。


 堂々としていると、案外不思議に思わないらしい。

 ゆうちゃんが首にかけているシナモンは、私の膝くらいの位置に顔がある。

 低い場所だから、カウンター越しだと見えないのかも。


「ゆうちゃん、何でも好きな物を選んで」

 

 一応、店員から見えない所から、浮いているシナモンに向かって話しかける。

 ゆうちゃんが欲しい物なら何でも買ってあげるよ。


 気合いを入れて普段は使わないかごを手に取った。


 といっても、お財布には二千円しか無いからそれより高いものは買えないけれど。


 お菓子コーナーを一緒に見て回る。


 『新商品!』のポップ付きで、桃のゼリーが置かれていた。


(欲しい)


 ゆうちゃんのお菓子だけを買うつもりだったけど、かごに欲望のままにゼリーを入れた。


 ゆうちゃんはプリンが並んだ棚の前に居る。


(迷ってるのかな?それとも、手が届かなくて取れないのかな?)


「ゆうちゃん、何個でもいいよ?」


 私の心もとない財布の中身でも、ここにあるプリンを全種類一つずつ、位のお願いなら聞いてあげられるはずだ。


 シナモンが揺れた後、白地のカップに赤いキャラクターが書かれた牛乳プリンが独りでに浮いて、私が持っているかごの中に入った。

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