第四十一話 おもちゃ②
とりあえず収納ケースの中の使えそうなおもちゃを出してみる。
ローテーブルにおもちゃが並んでいく。
ジェンガが入った缶のお菓子箱の下には、セーラームーンの音が出るステッキがあった。
空になった電池ホルダーに単3電池を入れてみる。
まだ動く。
ボタンを押すと音と光が出た。
懐かしいな。
その横には、チェーンがついたシナモンのコインケースがあった。
白いシナモンの顔からチェーンが伸びていて、首にかけられる様になっている。
これをゆうちゃんの首からかけてもらおう。
そしたら、ゆうちゃんがどこに居るのか分かりやすくなる。
ずっとクレヨンを手に持ってもらうのも悪いし。
「ゆうちゃん、これを着けてもらっていいかな?ゆうちゃんがどこに居るか、分かりやすくなるから」
水色のクレヨンが、ふわふわと学習机からローテーブルに移動する。
学習机に座っていたゆうちゃんが、ローテーブルに近づいて来たのだろう。
クレヨンがローテーブルに置かれ、代わりにシナモンの顔が浮いた。
床から30cm位の所に、シナモンの顔がある。
ゆうちゃんの首にかけられたチェーンは、たるみなく伸びて、逆さまにした涙の形になった。
「ありがとう!可愛い!」
小さい頃、お母さんやお姉ちゃんが色んな服を着せてきた気持ちが分かった。
(小さい子が可愛い物を身に付けている、それだけで可愛い)
ゆうちゃんの姿が見られないのが残念だ。
きっと拐いたくなる位愛らしいのだろう。
シナモンが似合わない女の子なんて存在しない。
「ゆうちゃん、つみきあるよ!ブロックも、ジェンガも!トランプでもいいよ!」
ローテーブルに並べられたおもちゃの中から、ゆうちゃんが選んだのはつみきだった。
ゆうちゃんと一緒につみきで遊ぶ。
ゆうちゃんはつみきで家を作りたいみたい。
色んな色と形のつみきが、一つずつ浮いてゆっくりと積み上がっていく。
しばらくして、ローテーブルの上に赤、青、黄、緑の四色で出来た家が建った。
ここにあるつみきをほとんど使って出来た力作だ。
私はつみきの家と、浮いているシナモンのコインケースを一緒に写真で撮った。
「すごい。天才だよ!」
ゆうちゃんも映らないかな、と期待したけど、輪郭も、ユラリを撮った時に出てきた白い玉も、何も映ってなかった。
今だけ、幽霊が見えたらいいな。
お化けは苦手だから、ゆうちゃんの姿だけ見えたらいいと、都合の良いことを考える。
カメラの設定みたいに、霊能力的な物もオンオフできたらいいのに。




