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第二十七話 おばけ④

 ユラリのいる場所までたどり着いた。

 ユラリは波打ち際に座っている。


「ゆうちゃん、居ますか?」


 着いてきてねと言って歩き始めたけど、私にはゆうちゃんがどこにいるか分からない。

 

「居ますよ。ももかさんの後ろに」


 良かった、と安心した。

 幽霊が背後に居るなんて、いつもの私なら恐怖しか感じないのだけど、朝の柔らかい日差しのせいか、今は平気。


「ユラリさん、私ちょっと木の棒を探してきます」


「わかりました」


 ゆうちゃんはユラリの近くへ行ったのかな?

 ユラリの周りの海面が、波が跳ねるのとは違う様に動いている。


 私は砂浜を歩いて、木の棒を探した。


「多分、打ち上げられてるのがあるはず」


 てくてくと歩いて、たまに釣りをしてる人と挨拶を交わす。


「あ、あった」


 ちょうど良さそうな棒を見つけた。

 1メートル位の細い枝だ。

 ポキンと折って3等分にする。


 折った枝を持ってユラリとゆうちゃんの所へ戻った。


「枝、三人分持ってきました」


「ももかさん、ありがとうございます」


「ゆうちゃんは持てますかね?」


 幽霊って持てないかな。

 持てなかったらどうやってお絵かきをすればいいんだろう。


「ゆうちゃん、ももかさんがお絵かき用の棒を持ってきてくれましたよ」


 ユラリが枝を何もない空間に向ける。

 すると枝はひとりでに動き出した。


「ひぃっ」


 思わずひきつった声が出る。

 持てなかったらお絵かきが出来ないから、いいんだけどね。


 持てるって事は枝が宙に浮いて勝手に動くこの光景を見ることになるのは分かってたはずなのに、覚悟が足らなかったらしい。


 ふよふよと浮かぶ枝に恐怖を感じる。


「ももかさん、大丈夫ですか?」


「大丈夫ですよ?」


 笑顔を作ってユラリに返す。

 

 枝は砂浜に線を描き始めた。


「ゆうちゃん、お絵かき出来てるみたいですね」


 迷いなく伸びる線を見て言う。

 勝手に枝が動くのにも慣れてきた。


「ももかさんが枝を持って来てくれたからですよ」


「私達も何か描きましょうか?」


「ええ、そうしましょう」


 私とユラリも、ゆうちゃんの側で絵を描き始めた。


 ゆうちゃんは、棒人間を描いてるみたいだ。

 その隣に、私は花を描いた。

 ユラリは雲を描いてる。


「お絵かきって、結構楽しいですね」


「はい、やってみると楽しいです」


 砂浜に単純な線を描くのも楽しい。

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