第二十一話 ホラー映画②
「アイス、サクレ買ってきたよ」
そう言ってコンビニの袋を持ち上げた。
「ありがと。飲み物を取ってくるから先に部屋に行ってて」
なっちゃんの家は今日は誰もいないらしい。
部屋に入り、テーブルの上に汗をかき始めたアイスを置く。
床に座ってなっちゃんが来るまでスマホをポチポチといじる。
「ももか、ドア開けて」
声に従い部屋の扉を開ける。
両手にコップと脇にペットボトルのお茶を挟んだなっちゃんが立っていた。
お礼を言いながらコップを受け取る。
「今日は何の映画を観るんだっけ」
「「仄暗い水の底から」よ。私たちが生まれた頃の映画ね」
なっちゃんに聞くとタイトルが返ってきた。
水の底か、ユラリが住んでるのは海の底だしまた違うのかな。
海の底は暗いとユラリは言っていた。
「怖い?」
「ホラーだけど、そんなに怖くないらしいわ。あんまりびっくりするシーンは入ってないみたい」
ももかと見るしね、となっちゃんは言う。
本当に怖いやつは一人で見るらしい。
怖くないのかな。
夢に出てきたり、夜中トイレに行けなくなったり、私はするんだけど、なっちゃんは平気らしい。
夢もあまり見ないのだそうだ。
「じゃあ、再生するわね」
アイスを食べながら映画を見る。
なっちゃんが言ったとおりあまり怖い場面が出てこない。
ぎゃあぎゃあ言いながら見るが、幽霊は出てきそうで出てこない。
もう一回見たら一回も驚かずに見れるだろうと思った。
なんだ、大したことないのにビビらせやがって、と見てる最中は十分に驚いていたのに悪態をつく。
要所要所で水が心霊現象の演出に使われていて、夜の海を思い出した。
暗くて、音はするのに、10cmより下も見えないような海。
仄暗いというか、闇に包まれて真っ黒な海。
夕方頃に海を見に行ったら、仄暗い海に会えるんだろうか。
ユラリと会うよりもっと早い、夜が明けるか明けないか位の時間の方がぴったりかな。
「リングの人が作ったらしいわよ」
「リングは怖かったな。皆バタバタ死んでいくし」
「ラストも救いがない感じがね」
「今度は私が映画を借りてくるから、それ見ようね」
「なにか見たいのがあるの?」
「うーん特に無いんだけど、こう、イケメンが出てくるラブストーリーがみたい」
「まあいいけど」
食べ終わったアイスのカップをゴミ箱に入れて、なっちゃんに心霊写真の撮り方を聞く。
ユラリをカメラに収めるためだ。
「なっちゃん、心霊写真ってどうすれば撮れると思う?」
「心霊写真?」
なっちゃんは怪訝そうな顔をしてこちらを見た。




