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第十二話 カメラ①

 土曜日の朝、ユラリに会いに浜辺に行く。

 きょうは学校も部活もない日だ。

 Tシャツとハーフパンツを着て自転車を漕ぐ。

 お父さんの防水機能のついたカメラを持ち出して来た。


「おはようございます。ユラリさん」


「ももかさん、おはようございます」


 ユラリは今日も変わらず岬に座っている。


「今日は服装が違うんですね」


「学校も部活も無いんで」


「私も服を変えて来た方が良かったですかね」


「服、他のもあるんですか?」


「ある、というか…服の見た目を変える魔法が得意な人魚が居るんです」


 着替える必要は無いので、毎日変える人魚はほとんど居ません、とユラリは言う。


「海の中なら、常にお風呂に入って洗濯してるような物ですもんね」


「それは、ちょっと違うような?」


 ユラリがクスクスと笑う。


「今日はカメラを持ってきたんです。」


 そう言って首にかけたカメラをユラリに見せる。


「防水式なんで、泳ぐユラリさんも撮れます。」


「カメラですか。」


「写真を撮っても良いですか?」


 ユラリはうーんと考え込む動作をする。

 写真を撮られるの、嫌いなのかな?


 ちなみに、ユラリの写真を撮ろうとしているももか自身は写真を撮られる事が嫌いだ。

 姉がからかってカメラを向けて来ると、毎回怒っている。


「ももかさんって、幽霊は見えますか?」


「その答えは予想外です」


「あ、いや誤魔化した訳じゃないんです。幽霊が見えないなら、多分私を写真に撮ることは出来ないと思います」


 ユラリはそう言い、困った様な顔をする。


「人魚って写真に映らないんですか」


「人魚を映した写真を見たことがあるので、不可能では無いと思いますが」


 心霊写真の様な扱いらしい。

 人魚を幽霊に変えても意味が通る。


「そういえば、人魚を撮った写真を見たことが無いです」


「絵は見える人が描いたり、想像で描いたり出来るんでしょうけどね」


「私、霊感は無いです」


 少し落ち込み言う。


「あ、でも試してみたら案外出来るかもしれません。私も映ろうと頑張るので!」


 頑張ったら写れる物なのだろうか。

 人間は頑張っても写真に映ることを止める事は出来ない。

 しかし折角カメラを持ってきたし、とももかはユラリの考えに賛成する。


「私もユラリさんが撮れる様に頑張ります」

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