案件3 魔女裁判 17
私は、今年もどうせ父親に渡す以外ないでしょう。
父は会社の女子社員から貰う義理チョコや、母親からのプレゼントと高級なチョコレートより、娘の私が作った手作りチョコが嬉しいと言ってくれます。
毎年毎年作っているので、少しはましなものが作れるようになったと、最近では妙な自信がついていますが、他に食べてくれる男性がいないのはどうしようもありません。
いつも作り過ぎて余らせてしまうので、よければお口汚しに誰か貰って下さい。
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リナ→ディアフレンズ 2/9
蘭女始まって以来の大事に、アユカは二度とも居合わせずに済んだことを、感謝するといい。
今日はもう、てんやわんやの一日だった。一度ならず二度までも、と言ったところだ。しかも続けてこのようなことが起こるなんて、誰も予想だにしていなかっただろう。
何だか回りくどい言い方になったのを、許して欲しい。今日の出来事は、私もまだ整理できていず、混乱しているぐらいだ。
たぶんアユカも名前ぐらい知っているだろうが、六組のサワダさんが、今朝体育館の裏で遺体で発見された。
ヒトミの友達に続いて、二人目の犠牲者という訳だろうか。
私はバスケの早朝練習の為、偶然その場に居合わせたのだが、はっきり言っていまだに気分が優れない。全く、よりにもよってなぜこんな惨事が蘭女で起こったのだろう。
私はクリスチャンではないが、自殺は大罪だというアユカの(聖書)の意見に賛成である。
自分一人の命ではないのだ。両親から与えられた命を粗末に扱っていい訳がない。
先に自殺した四組の子とは、一年の時ヒトミと一緒で同じクラスだったが、別に私とはそう親しくはなかった。
挨拶や日常会話ぐらいなら交わすが、ただのクラスメイトだったという記憶以外ない。
それに比べて、ヒトミは私とだけでなく彼女ともしょっちゅうツルんでいたので、消沈しているのも無理はないことだ。
死んだ人間のことを悪くいうのは気分のいいものではないが、彼女とは肌が合わなかったので疎ましく感じていたのも事実である。
何が原因かは知らないが、金輪際こんなことはごめんだ。
あの時はみんなに、我が蘭女のバスケ部の活躍を見せられなかったのが残念だ。例え光明女子も準優勝止まりだったとしても。
負け試合だったが、納得できる試合内容だったので、負けてもそれほど悔しいとは思わない。
ヒトミが言うような強がりではないことは、付記するまでないだろう。




