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案件2 Mad Dog 4

 その間隔が年々縮まり、数ケ月に一度から現在は月に一度はマッドドッグが現れるようになっている。マッドドッグがなぜ人を襲って食べるのか、それは誰にも分からない。


 愛美まなみは補講室を後にすると、大きな溜め息を吐いた。

 三日後に迫った期末考査を控えて、逃げ出したいような気分だ。嫌な時に転校したものだと思う。

 鷹宮高校では十二月の頭から試験が始まり、その後試験休みの状態が続いてそのまま冬休みに入ってしまうのだ。

 冬休み明けまで待っていれば、またマッドドッグの事件が起こってしまうかも知れない。


 鷹宮高校に潜入して三日。まだパートナーの東大寺とうだいじは、東京に戻っていない。そして愛美の事件の捜査も進展していなかった。

 捜査の依頼主は、以前マッドドッグに恋人を奪われた男で、これ以上犠牲が出て欲しくないが警察は当てにできないとのことだった。

 SGAは何でも屋だとはよく言ったものだ。野犬狩りまで請け負うのだから。

 野犬と言ってもくだんのマッドドッグ、どうやら飼い主がいるらしい。

 二年前、数回マッドドッグと思われる大型犬が人目を憚かるようにして、住宅地に潜り込むのが目撃されている。証言は酔っぱらいのものだった為、信用薄として採用されていない。

 その住宅地は、鷹宮高校の教職員専用のものだった。事件自体もここ数年は鷹宮高校を中心として、十キロ以内に集中している。

 警察はその事実に気付いていないようだ。それとも気付いていながら、確定的な証拠不足と手をつけずにいるのか。

 どちらにしても不手際な感は否めない。SGAの捜査方針では、どんな些細な手がかりも見過ごすことはしない。警察のような機動力や人海戦術が使えないのだから、今ある足場を固めていくしかない。

 愛美の足場固めはまず、鷹宮高校の教職員専用社宅に住んでいる人間を、徹底的に洗い出すことだった。

 生年月日や本籍地などの個人情報は、巴に調べてもらった。SGA一のハッカーと綾瀬が誉めるだけあり、巴は頼んだその日の内に資料を送ってくれた。

 そのお陰で手間が省けたが、やはりその人間の個性を知るには接触してみなければ分からないものだ。


 愛美は、自分のネームカードの入った靴箱を開けた。

 ローファーがない。

 愛美は再び扉を閉めてそれが自分のスペースであることを確かめると、「おのれぇ」と呟いた。

 頭を抱えて、溜め息を吐く。

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