表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
169/201

案件4 きみにあいたい 38

「聖蘭女子での事件以外は、俺は愛美まなみちゃんとコンビを組んどったから、愛美ちゃんの次に事件の真相については詳しいで。実は今もパートナーとして活動中。まだ世間には出てへんから、マル秘のネタやねんけどな」

 そんな簡単に言われてしまうと、萩原の方が拍子抜けしてしまう。何の為に、今まで黙秘し続ける近藤愛美を追いかけていたのだろう。

 初めからこの少年を、問い質せばよかったのだ。

 萩原の考えを知ってか知らずか、少年は不敵な笑みを見せている。

「ってことは、彼女……君達が絡む事件が、現在進行形であるということかい?」

「そういうこと。わざわざ新しい事件に首つっこまんでも、オッちゃんが聞きたいのは今までの事件のことやろ。色々気になることあるんとちゃうん?」

 東大寺とうだいじの何もかも見透かすような視線を浴びて、萩原は俄然調子を取り戻した。確かにその通りだ。

 白藤商業で現在何が起こっているのかも気になるが、好奇心を押さえて、萩原はまず第一の疑問を突きつけた。

「事件の関係者が、頑なに口を噤んでいるのはなぜなんだ。どうしてみんな黙っているんだ。事件が手に負えないことを納得しているからなのか、それとも金か」

 そんな訳ないだろうと言うように、東大寺はちゃうちゃうと手を振った。

「記憶消去は俺の専売特許」

 東大寺は、自慢そうに萩原に笑いかけた。あっけらかんとした態度だ。

 ふと萩原の中に、近藤愛美の言っていた言葉が甦る。萩原の始末を東大寺につけさせるとか何とか。

 てっきり萩原自身が消されるのかと思っていたが、現に人殺しだって請け負うと、記憶消去? まさか暗示をかける……

「君は一体、何者なんだ?」

 萩原は、一体何度この問いを発したことだろう。

――記憶消去・暗示・記憶操作……超能力者?

「ピンポーン、大当……」

 東大寺がその通りだというように大きく頷き、拳を握り締めたその時。

「私が駄目なら、東大寺さんから聞き出そうって訳ですか?」

 東大寺は口を開きかけたまま、ありゃーという顔になる。

 いつの間にか、近藤愛美がビルの壁面に背中を持たせかけてこちらを睨んでいた。

 答える機会を逸した東大寺が、悪戯を見つかった子供のような顔で、頭をぽりぽりと掻いた。

 気の強い部分もあるこの少女のことだ。結構東大寺という少年を尻にひいているのかも知れない。そう思っていると、東大寺が何がおかしいのかアハアハと笑い出す。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ