案件3 魔女裁判 30
嘘をつく必要が、あなたにはあるのでしょうか。まあ、ヒトミさんに執着していたのは確かなことですよね。親友を取られるのが、そんなに嫌だったのですか。
それに、知っていますか。リナさんは、女性にしか興味がないなんて、まことしやかな噂も流れていることを。
本当に噂っておかしいですね。
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リナ→ディアフレンズ 2/26
ようやく送別会が終わって、肩の荷が下りた。すべて順調にことは運んだ。
三年の殆どが今回の事件を知らないのは、いいことなのか悪いことなのか。ずっと歪んでいたこの学園の雰囲気が、今日だけに限って正常に戻ったようだった。
すべてが終わって、早くもとの穏やかな学校生活が再び始まることを祈っている。それまでに、何人の人間が死ななければならないのだろう。
自殺に見せかけた偽装なんて言葉を、ヒトミの口から聞くとは思わなかった。珍しく推理小説でも読んだのか。
噂の神学室だが、偶然その扉の前に立っている転校生の近藤愛美を見かけた。私に気が付くと、その場を立ち去ったが、彼女は一体何をしていたのか。
彼女には近付かない方がいいような気がする。
それにしても、本当にナナが殺された原因に見当はつけられないのか。あの子は、色々馬鹿なことをやっていたと、噂でも事実でも耳にしている。
本当に何も知らないのか? 死んだ人間を庇う必要はない。もしかして……ヒトミ。あんたもこの事件に関わりがあるんじゃ……。
このところ、毎日のように人が殺されている。(あくまでも、他殺と断定できない不審死として)私達のクラスからはまだ死者が出ていない。真実関与しているのであれば、次に狙われるのはヒトミだということにならないか。
それとも、気を付けた方がいいという忠告は、犯人側の意見に近いのだろうか。そもそも、普段は見向きもしない礼拝堂に何の用があったのか。
サワダさんが死ぬ前後からヒトミの様子が変だと感じていたが、それはあんたが親友と思っていたあの女が死んだ所為ばかりだと思っていた。それ以外にも何かあって隠しているんだろう。
それにしても、アユカに言いたい。疑われていると思う方がどうかしているんじゃないか。朝練があったというのは確かに嘘だが、個人練習を止める権利までは誰にもなかった筈だ。
アユカは、私がレズで、思いを寄せるヒトミを守る為に、あの女を殺したんじゃないかと言いたいのだろう。