案件3 魔女裁判 26
学園側が全ての事実を明るみに出したとは思えないから、きっと私達には知らされていない何かがあるのよ。
まるでミステリーみたい。ドラマの推理番組は好きだけど、現実にこんなことが起こるのは耐えられない。怖いわ。
この学園で今何が起こっているのかしら。変質者による犯行なのでしょうか。
そう言えば、ハワード先生が実は失踪中だということ、黙っていてごめんなさい。顧問の先生から、固く口止めされていたんです。何かを学園が隠そうとしている事実は、間違いないわ。
生徒の間で不穏な噂が流れているようだけど、まさか、そんな神を冒涜するようなことはないわよね。それに、事件がようやく警察の手に委ねられたというのだから安心だわ。
リナちゃんの言葉、意味深な響きを感じるんだけど、気の所為かしら。ジャック・ザ・リッパー。
切り裂きジャックと言えば、今から約百年前のロンドンを震感させた殺人鬼のことだわ。確か殺されたのは奇しくも女性ばかり五人。彼女達はみんな――
送別会用のフィルムの出来が、とても素晴らしいものに仕上がりました。私が中三の時、蘭女の公開文化祭に来た折りに観た『風の又三郎』。新入生歓迎会の時の『森は生きている』。
先輩達の代は演目もなかなか難しいものが多かったのに、私達の代になってからは小学生のお遊戯のような劇ばかりしているみたい。
『青い鳥』の稽古は着々と進んでいます。明後日の衣装合わせが楽しみです。ヒトミちゃんにはすっかり大道具係を任せちゃって、ごめんなさいね。
人手があると助かるわ。
そのぶん創立祭の準備が疎かになって、リナちゃんの手を患わせている訳ね。私からもリナちゃんに謝っておくわ。
『願わくは花の下にて春死なむその如月の望月の頃 西行』
桜の下には死体が埋まっている。
そんな出だしから始まるアユカさんのエッセイ。本当に一番に読ませてくれてありがとう。とても素晴らしい内容だわ。
西行と桜を絡めたテーマの持つ美しく妖艶な世界。アユカさんの感性の豊かさと深さには、目を奪われます。
私はボキャブラリーが少ないので、この感動をどう表現すればいいのかわかりません。稚拙な言葉で申し訳ありませんが、これからのご活躍と更なる勇躍を期待しています。
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今日の放課後。近藤さんと少し喋ったの。
礼拝堂に入ろうとしていたら、近藤さんに止められてさ。