案件3 魔女裁判 23
歌人である西行法師には、以前から興味があり、何かその足跡を書いてみたいと思っていたので、迷わずエッセイのテーマに選びました。
もう既に半分以上出来上がっています。今夜中には仕上げられるでしょう。
それにしてもシホさんは、高校の演劇部に入ってからだけでも、既にもう五回もの舞台を踏んでいるのですね。
初舞台は、全国高校総合文化祭で発表された『銀河鉄道の夜』の、教え子の子供達と共に氷の海に沈んだ、家庭教師の青年役でした。
未だにミスキャストに思えてなりません。やはり、憂いを含んだカンパネルラ少年の役こそ、シホさんに相応しかったのではないでしょうか。
しかし、二年三年の先輩方を差し於て、準主役級の役を一年生が射止めるのは難しいことだったのですね。『青い鳥』のチルチル役、とても楽しみです。
ヒトミさん。
創立祭実行委員のお仕事大変でしょうが、仮にもクラスの代表として選ばれているのですから、音を上げずに頑張ってください。
ユリ様のような素晴らしい女性になるという心がけは、立派なものです。
しかし、ユリ様の爪の垢を煎じて飲まなくとも、ヒトミさんにはヒトミさんの素晴らしいところが沢山あると思います。目標を持つことはいいことですが、高望みはいけません。
続けざまに起きている自殺騒動ですが、一番目の犠牲者はヒトミさんの友達でした。本当に思い当たる節はありませんか。
ナナさんについては、リナさんはあまり快く思っていなかったようですが、とても明るく活発な方だと感じておりました。
よくない噂も聞いておりますが、噂は所詮噂ですよね。
近藤さんもお気の毒です。転校してきた学校で、こう色々あっては落ち着かないでしょう。
彼女が来るまでは、こんな学園ではありませんでした。聖蘭女子高等学園のイメージが悪いものにならないといいのですが。
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リナ→ディアフレンズ 2/20
まったくヒトミに付き合わされて、実行委員会の仕事を手伝う羽目になるとは。まあ、初めからそれは予想していたことなので構わない。
何と言ってもヒトミ一人に任せておいたら、いつまでたっても終わらないだろう。
それに、問題なのは、ヒトミが部外者のくせに演劇部に入り浸っていることだ。ヨハン先生、ヨハン先生とうるさいことこの上ない。
ユリさんも、よりにもよってヒトミに書類の作成をあてがうなど、買いかぶりもいいところだ。