拝啓、貴方様。
お久しぶりです。お元気にしておりますか。しっかりとお食事はなさっていますか。
こちらでは、漸く桜が咲き出しました。
最近では体調があまり優れなくて床につく日々が続いておりますが、今朝は久々に外に出て散歩を致しましたの。
こうやって庭を歩いていると、貴方に出会ったときのことを思い出します。
貴方はわたくしに初めて出会いましたとき、嫌そうな顔をなさいましたね。確かに親が決めた見合い話でしたが、不躾な方だな、という印象を強く持ちましたの。それが今となっては夫婦の契りを交わしているとは、驚愕の至りに御座いますね。
あら、こんなことを書いたら口が悪いと言われてしまいますね。ですが、お互い様に御座いますのよ。
ですが、わたくしはそんな貴方を含めましても好きなのです。うふふ。こんなことを書いたら今度は顔を真っ赤にさなっている貴方の顔が思い浮かびますわ。
しかし貴方がわたくしに婚姻を申し込んでいらしたときのほうがわたくしとしましては赤面してしまいました。貴方は真面目な顔をしてわたくしに向かってそう仰るんですもの。
それにしましても、貴方がわたくしの元を発ちましてから、どれくらいの月日が経ちましたでしょうか。
貴方ときましたらわたくしが手紙を送りましてもお便りをさほど寄越さず。かと思いましたらわたくしの好みの飾りとともにお便りを送ってくださる。
だから嫌いになれないのです。
だからこうしてわたくしは今も、貴方の帰りを待っているのです。
これほどまでに妻をすっぽかす夫もなかなかおりませんでしょう。この言葉に懲りましたら一度は帰っていらしてください。わたくしは貴方の顔が見れれば幸せです。
そちらでは、どうなっているのでしょうか。わたくしのいるところは田舎ですので、とんと話が入ってきません。ですが、少しだけ噂は耳に致しております。
早く、帰っていらしてください。
でないと、わたくしがそちらに行ってしまいますわ。
ですがそうして貴方と共に暮らすことを考えても、良いかもしれませんね。
ああ、娘にこの手紙を書いていることを怒られてしまいました。これも貴方の所為ですわ。
わたくしは、貴方さえ隣りにいてくださればそれだけで良かったのに。
わたくしは、ずっとこちらで、貴方の帰りを待っております。
待って、おります。
突発ネタその④
これを見てどう思うかは皆様のご想像にお任せします。