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えこらん ~工業系女子高生のカーレース~  作者: パンプキン ぽてと
4月
20/33

自動車部会議 その2

「に、似合う?」


 ペガサスファンタジーです。


 小首を傾げながらたずねるマキくん、ゴスロリのメイド服似合いすぎです。男とは思えないほど透き通った白い肌に、頬だけは桜色に染まっています。そんな顔で恥らいながら、上目遣いで訊ねられたらたまりません。女の私でも目を奪われてしまいます。


『やはりクロスは彼を選んだ。女の子じゃこんなに可愛くなれない。私の目に狂いはなかった』


 ディスプレイ先の人のドヤ顔が目に浮かびます。


 しかし彼が似合っているというのは満場一致の意見です。


「マッキー、試しに”おかえりなさい、お兄ちゃん”って言ってみてくれ」

 いつきさんが言い寄りました。


「え? ……は、恥ずかしいんだけど……」


「いいから、いいから」


「むー……」


 マキくんはスカートの裾をもそもそと握りながら、俯き、恥じらいつつ

「お、おかえりなさい……お兄ちゃん」

 言った途端、彼は羞恥のあまり、スカート裾を持ち上げて顔を隠しました。例のスパッツが全開です。(それもガーターベルト付き)頭かくして股隠さずです。腰周りのラインから、さすがに男の子だと実感します。


 しかし全員沈黙。鈴ちゃん先生も唖然としています。


 男の子だと信じたくありません、この子。恥らう仕草もあわせ、妹系メイドとしてK点越えの可愛さじゃないですか。


 まずいです、「コーヒーにミルクと愛情、どれだけいれますか?」とか「もえもえキューンおいしくな~れ」とか、もっと色んな台詞を言わせてみたいという欲求が……。私、いけないものに目覚めそうです。これがセブンセンシズなのでしょうか?


 私が必死で新たな目覚めの衝動を抑えていると、いつきさんがいきなり彼を抱きしめました。


「俺、この子、妹にする」


 彼氏じゃないんですか?


「兄妹って方が、背徳感があっていいと思います!」


 倫理的にも性別的にも間違っています。けどいつきさんの目は完全にイってます。最早彼女の耳には何も届かないのでしょう。


「しかしホントに似合ってるわね」

 本田さんが唸っています。

「これなら勧誘できそうね。マキくんの絶対領域ならいくらでも食いついてくるでしょ」


 男の絶対領域で男を釣る? 気持ち悪いですね。


千奏ちかな、衣装はこれだけ? 他にはないの?」

 本田さんが黒猫レンチに向かって尋ねます。


『その言葉を待っていた。我が暗黒騎士よ!』


「イエス、マイ・ロード!」


 ジェニファー先生が別のロッカーから取り出したのは、白のスクール水着と白のニーソでした。


「これ……ボクが着るの?」

 マキくん、ドン引きです。


 

「さすがにまずいんじゃ……」

 鈴ちゃん先生が口元を引きらせながら言うと、すかさずいつきさんが食いついてきました。


「ほぉーう、生徒に着せるスクール水着の何がまずいんですか?」


「へ?」

 鈴ちゃん先生、目が点です。


「生徒は夏になれば毎年これを着るのですよ。それがまずいということは、文科省や教育委員会は生徒にまずい物を着せて授業をやっているわけですか? わいせつ物陳列罪を着せているというのですか?」


「や……そうじゃなくて……マキくん、男子なのに、女物の水着は……」


「マキがいつも着ているのは女子用の制服ですが」


「あ、う……」

 言葉尻をとらえられて、鈴ちゃん先生タジタジです。

「で、でも、股が……」


「何ですか? 何がマズいんですか?


「何がマズいですカ?」


 いつきさんだけでなく、ジェニファー先生も一緒になって詰め寄ります。


「だ、だって、マキくんの慎太郎くんの部分が……」


「え? どういう意味ですか?」


「Repeat、Please!(もう一度)」


 二人とも悪人顔です。


 そして追い詰められた鈴ちゃん先生が放った一言は……


「マキくんだと、海綿体の突起物がはみ出しちゃうかもしれないでしょ!」


 辛い……。何という重い静寂でしょう。


 ひねってそれなりに卑猥な言い方をしないようにしたんでしょうが、全然大丈夫ではありません。


『海綿体の突起物がはみ出しちゃうかもしれないでしょ!』


「ひょわーっ!」


 突如、ディスプレイから流れた自分の声に、鈴ちゃん先生が悲鳴をあげました。


 稲盛さん、録音してたなんて、相変わらず恐ろしい子です。鈴ちゃん先生、顔真っ赤です。しかし本人には悪いですが、恥らう顔も可愛いです。


『海綿体の突起物がはみ出しちゃうかもしれないでしょ! 海綿体の突起物がはみ出しちゃうかもしれないでしょ! ……』


「リピートしないで!」


「新しい日本語を覚えまシタ」


「メモしないで!」


「海綿体って、何だ?」

 語彙ごいの少ない秋山さんは首をひねっています。


「学術的に難しいように言ったのが、逆にエロいですね」

 本田さんは何か熟考するかのように、頷いています。


 そして2秒後、鈴ちゃん先生はガレージから逃げていきました。



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