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えこらん ~工業系女子高生のカーレース~  作者: パンプキン ぽてと
4月
16/33

自己紹介

 全校生徒の前で行われた着任式での挨拶あいさつは、一番年配の先生が代表で済ませました。私は体育館のステージの端で立っているだけでしたね。

内田先生に脅されてびくびくしていましたよ。正直ホッとしました。

 

 そんな安堵感も束の間

「ホームルームで生徒たちに挨拶してくれ」

 清原先生に言われました。副担任ですからそうですよね。背筋と共に、緩んでいた緊張の糸が再びピンと張り直されました。



 何をしゃべろうか考えているうちにもう2年生の教室の前ですよ。(息が苦しいし、脇汗かいてますよ! どうしたらいいんですか!)


 こっそり窓から教室内を覗くと、知っている顔が二つありました。稲盛さんとマキさんです。二人は情報科だったんですね。

 稲盛さん、ちゃんと椅子に座っています。よく見ると、小学生男子みたいな中世的な顔立ちしていますね。こっちに気づいたのか顔を背けました。


 もう一人女の子がいます。色白で髪がちょっと茶色くなった女の子です。


 それ以外は全員男。それもどこかDQNっぽい感じです。

 情報科はIT関係の学科。だからプログラマーやゲームを作りたい人がこの学科を選ぶそうです。だからこんな生徒が多いんですかね。



 今からこの人数の前で挨拶しなければならないとは……。緊張MAXです。教育実習でも経験しましたが、人前で話すというのはなかなか慣れませんね。


 でも、これから毎日ここの教壇に立って授業をしなければならないんですから、避けては通れません。挨拶くらいビシッと決めてみせます。


 清原先生が教室に入っていきました。教壇に上がって号令をかけた後、すぐに呼ばれました。

「着任式で紹介があった新しい副担任の先生だ。では先生、自己紹介をお願いします」


「は、はひっ」

 促されて教壇の上に立ちます。

「か、かかか、上尾沙耶子でっす。まだ、大学を卒業したばかりで、わからないことだらけ……あ、えっと……ふ、普通科……わ、私は普通科高校だったので、工業高校はわからないことだらけです。だから、えっと……お、お願いしまっひゅ」


 間の抜けたような、一瞬の静寂。そして……


「……噛んだ」


「噛んだぞ」


「噛んだぁ……」


 ”噛んだ”という言葉が、水面みなもの波紋のように広がっていきます。


 首の周りが熱いです。自分の顔が今どれだけ赤くなっているのか実感できます。ああ、穴があったら入りたい……。



                ◆



 放課後


「やあ、カミ子先生」


 購買の自販機でウーロン茶を買っていると、和葉先生に突然そんな名詞で呼ばれました。


「何ですか、カミ子って?」


「先生のあだ名。情報科の2年生が言ってたよ」


 ”上尾沙耶子”を略してカミ子ですか。なんと安直な……


「自己紹介のとき噛んだからカミ子だってさ。緊張しすぎだよ、カミ子ちゃん」


「……」


 不愉快です……。

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