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えこらん ~工業系女子高生のカーレース~  作者: パンプキン ぽてと
4月
14/33

How are you?

 保健室を出た後は、自動車部のガレージへ向かいました。家庭科室も同じ方向にあるので和葉先生も一緒です。


 渡り廊下を歩いていると、向こうからピンクのナース服を着たブロンドの女性がやってきました。


 ここ、学校ですよね? 病院ではないですよね? 例え病院だとしてもあんなに胸の谷間が強調された、ミニスカのナース服はないでしょう。しかも白のニーソ履いてます。もしやコスプレ?

 工業高校とは奇怪な人物が多いところですね。


 ナース服のガイジンさんは、私の前で立ち止まりました。足が長くて、ウエストも引き締まっていて、羨ましくなるスタイルです。


「Nice to meet you!」


 笑顔で尋ねられたので、私も「Nice to meet you!」と答えました。


「Are you a new student?( 新入生ですか?)」


「No! I am a teacher once.(いえ、私一応教員です)」


「Oh, I'm sorry. Because Japanese people look young .(あら、ごめんなさい。日本の方は若く見えるから)」


「Oh,well…….College days were seen by the high school student also from Japanese people. (いや、あはは。日本人からも高校生ぐらいに見られてましたから、学生時代は……)」


「Oh……(ああ……)」


「Your name? (お名前は?)」


「Jennifer.From California.Your name?(ジェニファーよ。産まれはカリフォルニア。あなたは?)」


「Sayako Kamio.Incidentally Jennifer is a teacher,or a nurse ,or The Crazy currently nursed by the nurse? (カミオ サヤコです。ちなみにジェニファーさんは先生ですか? それともナースですか? それともナースに看護されている病人なんですか?)」


「They are those who say an interesting thing. About a Crazy? (面白いことを言う人ですね。病人とは?)」


「”Junior high school two-year illness ”.There are many people who have aggravated in Japan these days. (”中二病”という病気です。最近日本ではこじらせている人が多いんです)」


「アハハハハ、英語上手いデスね」


「授業で習っただけですけど、苦手じゃなかったので。それに学生時代は英語で科学論文を読んだり書いたりしていたので。和葉先生、こちらは?」


「ALTのジェニファー先生だよ。来日5年目」


「ALTっていうのは?」


「アシスト・ランゲージ・ティーチャーのこと。中学や高校には、一校に一人外国の先生がいるっしょ。それそれ」


「それで……ジェニファー先生、そのナース服は?」


「Oh! Ecology car race club のキュートな女の子がインターネットで見つけて、すすめてくれたのデス。他にもイッパイありマスよ」


 エコロジー・カーレース・クラブって……自動車部のこと? するとキュートな女の子というのは……


「その女の子って、ショートヘアでちっさくてメガネかけてて、サイズの合わないぶかぶかのカーディガン着ている子ですか?」


「Yes! 今度一緒にコミケに行く約束をしまシタ。そのときはどんなコスプレしまショウ。楽しみデス」


 このガイジン英語教師、筋金入りのレイヤーです。だいぶこじらせているようですね。


「稲盛の影響か……」

 和葉先生がポツリと言いました。


「知っているんですね……」


「有名人だからな。2次元の申し子だって。しかしあいつの勧める薄い本はなかなか秀逸だ。あんたも試しに読んで……」


「結構です」


 布教活動が失敗に終わり、和葉先生は少しさびしそうな顔。


「あ、もう一人の有名人がきたぞ。別名猿女」


 彼女が指差す方向には、部室棟からグラウンドへ向かう秋山さんがいました。私たちを見かけると一目散に駆けてきました。今日も彼女はブルマです……。これもコスプレというべきなんでしょうか? あるいはこっちが本当の中二病?


「いや、ただのバカだ」

 和葉先生が情け容赦なく切り捨てました。


 陸上部のおバカさん……ではなく秋山さんが笑顔で話しかけてきます。

「四天王のカミオ先生、ちわっス。和葉ちゃんも!」


「四天王……ですか……」


「あきらめろ。子供はあだ名をつけるのが好きな生き物なんだ」


「……」


 するとジェニファー先生が秋山さんに声をかけました。

「How are you ?」


 それに元気よく返事をする秋山さん。

「おー! ハウ・アー・ユー!」


 ……はい?


 ブルマの女生徒の返事に、教員3人は首を傾げました。


 すかさずジェニファー先生がもう一度尋ねます。

「No,no…… How are you ?」


「イエ~ス、ハウ・アー・ユー!」


「No,no,no…… How are you ?」


「イエス、イエス、ハウ・アー・ユー!」


「No~, How are you ?」


「おー、ハウ・アー・ユー!」



 何ですか? この「 How are you ?」の応酬は……。


「あれ、きっと意味もわからず鸚鵡おうむ返ししているだけですね」


「幼稚園児がこんな宇宙人的会話をよくするよな」


 私と和葉先生は呆然と眺めていました。


 ちなみに”How are you ?”の意味は、”ごきげんいかが?”です。返答としては”Great,thank you”や”Fine!”それから”Could be better”などなど……。


 ちなみに教科書にある「I'm fine thank you. and you?」は英語圏では死語のようです。それどころか「How are you ?」もあまり使わないらしいですね。文科省は義務教育で何をしたいんでしょう?


 きっとジェニファー先生はアホくさいと思いつつも、日本の教育方針に合わせて会話をしてくれているのでしょう。


 しかし”ごきげんいかが?”に”ごきげんいかが?”と返すとは、これでは会話の出口が見つかりません。



「なんですか、このコントは?」


「しかも天然……」


「和葉先生、あの子、陸上部の部長になるそうですよ。これで勤まるんでしょうか?」


「勤まるわけないっしょ。あいつが勝手に言ってるだけだって」


「あ、そうなんですか……」


「あいつ、推薦で入学したのはいいが、学年末の試験で赤点が七つもあったんだよな。陸上部の監督が頭を下げて、二年生に進級したぐらい頭が悪いんだから。……………………進級させてよかったのか?」


「……」


 ちなみにジェニファー先生と秋山さんは、まだ「 How are you ?」の応酬をしています。これ、いつ終わるんですか?


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