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えこらん ~工業系女子高生のカーレース~  作者: パンプキン ぽてと
3月
1/33

お願いします、先生

 みなさんはじめまして。

 ストーリーの構成などほとんど考えていません。なのでかなり乱調な展開を見せるかもしれませんが、読んで少しでも面白く感じていただけたら嬉しいです。

 明るく楽しくが本作の主旨です。

 三月中旬。


 ここは公立南野工業高校の校長室です。

 私、上尾沙耶子は本日、校長先生に呼ばれてここにいます。臨時講師採用の面接です。

 

 もうすぐ大学卒業を迎える私はこの一年……いや、三年生の時からカウントしたら一年半、ずっと就活に失敗してきました。


 半月後には無職で大学卒業という大変苦しい状況に追い込まれています。

 このままでは就職浪人です、ハローワーク通いです、フリーター(?)です、ニートです。噂の高学歴ニートというやつです。


 まあ女ですから、肩書上は”家事手伝い”とも名乗れるわけですが、何の解決にもなってません。一年後には干物化している自分自身が目に見えそうです。


 そんな状況下、去年の夏に一週間だけ教育実習をしたからという理由だけで、県教委に公立高校の講師登録をしました。

 授業科目は数学と理科と情報です。ダメモトでした。


 ところが一週間後には電話が来ました。それも工業高校です。教える科目は電子情報学科だそうです。

 本当は普通科高校の数学とかがよかったんですが……。


 四月から無職になるのが嫌で、一応こうして面接に来ましたが……やっぱり断るべきでしょうか。


 学校の先生なんて、生徒からいじめられたり、モンスターペアレントに文句を言われたり、学級崩壊で心身ともにボロボロにされる仕事です。ストレスで入院した先生も知っています。


 しかも工業高校……。中学校の同級生で、工業高校に行った面々を思い出すと気が重くなります。成績の振るわない人たちや、強面の男子、そしてスポーツ推薦だからと受験勉強もせずに合格した脳筋の人々……。


 そして男子ばかりだと聞きます。


 そんな中でこの私に教鞭を取れと?


 私は気の強い方ではありません。基本、人見知り子さんなのです。ノミの心臓なのです。チキンなのです。繊細な小動物なのです。


 しかも小学生の頃は同級生の男の子にいじめられた経験があって、男子は苦手です。


 そんな私が生徒に酷い目にあわされるのは目に見えています。


 とても耐えられません。工業高校の講師なんてアンビリーバブルです。ナンセンスです。エマージェンシーです。エス・エイチ・アイ・ティーです。

 親に勧められてきたけど、やっぱり断わりましょう……。


「採用します」

「え!?」

 校長先生の言葉に耳を疑いました。


 早いです。早すぎます。当日、即決で採用決めちゃっていいんですか?


 企業じゃ一週間か二週間待って、お祈りメールが届くものなのに……。


 教師ってこんなに簡単になれるものなんですか? 公立校なら立場は公務員ですよね。それがこんなに簡単に……。

 地方公務員3級や、警官、消防の試験を受けている人が悔しがる顔が浮かびます。

 教育実習やっておいてよかったです。教員免許が水戸の御隠居の印籠みたいに思えてきました。


 ……って、違う、断るんでした。

 断ろう、言うんだ……

「あの……すいませんが……」

「では来月からお願いしますよ、上尾先生」


 …………上尾”先生”…………


「はいっ、よろしくお願いします!」


 こうして私は工業高校の先生になりました。


 無職で大学の卒業式に出るのが体裁が悪いからとか、先生と呼ばれるのが気持ち良かったからではなく、純粋に生徒と共に汗を流して青春を謳歌しようという崇高な夢のためです!

 決して不純な動機ではありませんからっ!

 車は……4話目くらいから登場です。今しばしお待ちを。

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