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錯覚  作者: 菅原 こうへい
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8月の暑さはどこへやら、2月の終わり、青年に高校1年生最後のテスト期間がやってきた。この期間はさすがの強豪バスケ部も休みになるので、青年は勉学に励むことができた。進学校の定期テストは、これまでの中学時代のテストとは打って変わってとても100点なんて狙える代物ではない。しかし青年は、弱音を吐かず、ただひたすらに高得点をとるために日々テスト対策を行っている。もちろんテスト期間に友達と遊ぶなんてことはせず、時には徹夜をしながらも勉強をしている。この活力はどこから来ているのか、青年の家に、その答えはある。

「ただいまー」

「おかえりー○○」

「あ、母さん居たんだ」

「今日は仕事が早かったのよ、父さんも休みだから久しぶりに家族みんなでご飯だね」

「そうだね」

「兄ちゃんおかえりー」

「ただいま」

「ねえねえ宿題手伝ってー」

「ご飯食べてからね」

 青年は学校の自習室が使えなくなった後に帰宅するので、7時半ごろに家に着く。いつも8時ごろに帰ってくる青年の母は今日は夜ご飯を作って待ってくれてるみたいだった。

 「いただきまーす!」

 食卓に4人の声が重なる。青年は自分のほかに父、母、弟の3人と一緒に住んでいる。今日は青年の大好きな肉じゃがだ。

「おいしい、母さん腕上げた?」

「まあね♪」

「いやー疲れが癒されるー」

「兄ちゃんそのまま寝ちゃだめだよ!宿題!」

「ハイハイ」

「○○。今回の定期テストはどうなんだ。行けるか、学年1位。」

「保証はできないけど…本気で挑むよ、父さん」

「ああ、期待してるぞ」

「あなたは弟の模範にもなって、自分も高めて、偉いわね、お母さん感心したわ。」

「当然のことをしているだけだよ、うまい!」

 青年は家族団らんで幸せそうに夜ご飯を食べた。しかし、その笑顔とは裏腹に、青年の胸の奥は締め付けられていた。

(父さんも母さんも僕のことを期待している。あの優しい『目』が訴えかけてくる。『皆の手本になりなさい』と…『完璧な男になりなさい』と…)

 青年はプレッシャーを感じていた。父と母の期待にこたえるには、より一層自分を追い込まなければならない。青年があんなに勉学に励んでいた裏には、親の期待に応えるために自分を追い込んでいる姿があった。

 そう、青年はここでも、『目』を意識していたのだ。何を隠そうこれまでの青年は中学生から成績優秀で学級委員などの役員も務めあげたいわゆる‟優等生”であったのだが、それはいつも親の期待に応えるための行動の結果に過ぎなかったのだ。

 食事を終えた後、青年は弟の宿題を手伝い、風呂に浸かった後は、重力が2倍になったかのように眠りについた。

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