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5.魔女と違和感

 高橋タカハシ ツバサこと俺は異世界から転生し、超奇跡的確率で竜王イースに命を救われた。


 救われた…のだが。その直後、命の恩人であるイースに死の宣告を受けたのだった…。


 「…一週間後に死ぬっ!?…あ、あははは。冗談キツいぜ。唯でさえ俺は、転生する前から裏切られてんだ。…冗談だったとしても、人間不信になっちゃうよ」

 

 いや、この場合は巨竜ドラゴン不信か?

 

 まぁ、ローゲも人間では無いけど…。


 「冗談では無い。確かに我は、貴様の身を蝕む呪いを浄化した。しかし、その行為が神々《やつら》の保険装置が発動する、きっかけとなってしまったのだ。間違いなく貴様は、一週間後に死ぬ。…だが、解決方法が一つだけある!」


 一つピンチを回避したと思ったら、すぐ落とし穴がって…全く、何て糞ゲーだよ。


 しかし、妙だ…。イースに燃やされてから、驚いてみせているものの、死ぬ事に関して何の感情も実際湧いてこない。…イースに対したってそうだ、今美少女の姿をしていたとしても、最初の恐怖インパクトが消えたわけではない。


 …なのに俺、気づかない内にため口になってるし。竜王が相手だぞ?


 ………。


 まぁ、今は自分が助かるのが先決だろう。そう決意した俺は、自分の頬を強めにパンパンと叩いた。


 「その方法って。具体的に何をすれば俺は、助かるんだ?」


 イースは、俺の後ろを指差してこう言った。


 「ここから北に暫く行くと、ある女の根城が有る。…女と言っても、魔に身を堕とした者であるから、既に人では無いがな。いわゆる魔女…と言う奴だ。呪いに関しては、他より頭一つ抜けておる」


 イースの顔は何故か寂しそうで、過去を見つめているようだった。


 口振りからして、その人はイースの知り合いなのだろうか?…人ではないって。


 俺は考えを巡らす。しかし、色々なことがいっぺんに起こりすぎて、頭が働かない…。

 

 「魔女に会えば…って。そんなに簡単に済むことなのか?それに、初対面の俺を無償で助けてくれるとも思わないけど」


 「それはそうだ。…初対面だろうが昔馴染みであろうが関係ない。何の代価も払わずに、物事が進む訳が無かろうて。我が貴様を助けるのは特例中の特例なのだぞ。…しかし、我は奴と面識がある。口添え位はしてやるが、最後に助かるかどうかは貴様次第だ」


 何だかんだ言っても、竜王様は優しいらしい。厳しく言ってる様だが、声は柔らかくて、その格が心配から来ているものだと感じ取れる。


 ………。


 少し赤くなっているのも、好感が持てるな…。何てイースの気持ちに対して、少し不躾なことを考える俺にイースが続ける。


 「魔女は神の次に利己的だ。主に知識欲だがな。…貴様の纏った呪いは、相当希少で強力なものであるから色々調べられるだろうな。最悪の場合、解剖何て事も有るかもしれないな」


 「それだと、本末転倒じゃあないか。…でも、それしか無いなら懸けてみるよ。俺をそこに連れていってくれ!!」


 そう叫んだ俺を見て、イースがムフフっと笑う。まるで俺がそう言うと分かっていた様な素振りだ。


 「それは何よりだぞ!仕方ないから、最後まで面倒見てやるのだ。改めて我に感謝する事だ、翼よっ!」

 

 こうして俺とイースは、不思議な縁によって魔女に会いに行くのだった。




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