2.巨竜
気がつくと俺は岩山の頂上に立っていた。
周りを見渡してもなにもない殺風景な場所、何物にも遮られない太陽が嫌に眩しい。
「太陽は俺の知ってる太陽なんだな」
…転生って言うより転移。
何て事を考えながら、改めて自分の体が正常かどうか確認する。
「…どこにも変なところはないか。…また何でこんな寂しいところに送ったんだあいつ?」
例の女神の顔が脳裏に過る。
普通こう言う場合は最初の村やら町に転移するものだろうに、ローゲはお決まりの文化に疎いのか?
俺は右の拳に顎をのせて改めて考えて、ふっと笑う。
「女神様がオタク文化に詳しいってのもぱっとしないな」
ここから下山することが先決だ。
そう思い立った俺はまず崖際まで歩いてみることにした。
…嫌に高いな、どうする?
今の俺は自分の能力も分からない、あまり無理するわけにもいかないか…。
「…俺ここから下山できるのか?やばい冷静に考えたらこのままここで孤独死する未来まで想像できたぞ!」
俺は頭を抱えて空を見上げた、そう見上げた瞬間だった。
…異世界が俺に牙を剥いたのは。
何だあれ。
…異様にでかい鳥?
嫌、あれは流石にでかすぎる。
しかも真っ直ぐにこちらに飛んでくる。
「お、おい!此所って言うか俺に向かって来てないか!?」
情けなくも俺は青ざめたまま、すぐにでも俺に突撃してくるであろうそれを眺めることしか出来なかった。
…現実逃避は止めよう、それは何かじゃない。
俺がよく知っていて全く知らない未知の生物。
「巨竜だ…っ!!!?」
二話をお読みいただき誠にありがとうございます!
三話目も頑張って書いていくのでまたお会いできるのを楽しみにしています。