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僕とイソラの―電脳《浸食》現実―バトルフィールド

「そう言えば、今日はやけにだんまりだったね、イソラ。いつもは僕が帰宅したら勝手にパソコン起動して、お帰りの挨拶してくるのに」


『肯定です(マスター)。以前、その様が飼い犬のようだと中傷を受けましたので、対応方針を変更致しました』


「あっはっは、ごめんごめん。まさか気にするとは思ってなかったから、そんなこと言っちゃったよ。僕は前の方がよかったから、戻してくれるとうれしいよ」


『了解。対応方針を再度修正します。話題転換、あと1分前後に目的地へ到着する予定です』


こいつ、不利な話題になるとわざわざ宣言して話題変えようとするから面白い。


「くっくっく、わかったよ。戦闘態勢にはいるから、警戒よろしく」


『了解。これより警戒態勢に移行します。日常会話能力等、低下しますのでご注意ください』


「わかってるって、もうその注意はいらないよ」


そう、戦場はすぐそこだ。



ピーピー。


響く警報音(アラート)


『害獣機の集団と近接。その数、およそ500機。自衛隊機と交戦中です。形態は、中距離戦闘用の昆虫型が多数』


レーダーに映っていた害獣機も、既に視認できるまで近づいた。こいつらは、街を襲う害虫そのものだ。さっさと駆除するに限る。


「了解。自衛隊が撃ち漏らした敵から狩っていこう」


害獣機目指して飛び交う追尾ミサイルの波状攻撃。この攻撃を行うってことは、自衛隊はここからはまだ遠くに部隊を展開させているのだろう。


追尾ミサイルが僕を狙ってくる事は無いだろうけど、誘爆を貰う可能性はあるから気を付けよう。


『抜け出た害獣機が、こちらへ接近してきます。その数、およそ5』


「大丈夫、こっちも把握してる」


見たところ、追尾ミサイルのマークから逃れていた奴のようで、バリアがダウンしていない。


こういうときは、先制の追尾ミサイル攻撃だ。機体に装備できる武装は4つ。その内に一つは、追尾ミサイルで固定してある。


「ミサイル照準開始」


『ミサイル照準、5機ロック』


1つのミサイルランチャー武装で幾つもミサイルが有ると言っても、5機全部を撃墜するのは無理がある。それこそ、自衛隊のミサイル部隊みたいに全てをミサイルランチャー枠にでもしないと、ミサイルを主力で戦うなんてことは無謀でしかない。


「前方3機をロック、その後直ちに全弾発射」


『ミサイル発射』


発射されると同時に、回避行動をとる害獣機。そのせいで、全弾命中することは無かったけど、それなりの成果は見られた。


『状況報告。先頭1機撃墜、前方2機のバリアをダウンさせることに成功。残り2機、無傷です』


「了解。こっちもレーダーで確認済み」


次に使うのは、機銃による中距離射撃だ。バリアがダウンした連中ならダメージを負わせることが出来る。


左手に持っていたい機銃の引き金を引き、害獣機へ浴びせる。


向こうもそれを察知していたのだろう。回避行動をとってくる。


動く機体から回避する敵へ射撃を当てることは難しい。けど、相手の動きとこちらのブレを予測していれば、当てられないことはない。


1機、2機と撃墜していくと、残ったのは無傷の害獣機だけとなる。


『害獣機の射撃用意を確認』


害獣機にも遠距離攻撃の手段はある。ただ、それもこれだけ接近してしまえば効果が薄いし、こっちにもバリアはある。それをはがさずに銃撃をしても、弾の無駄遣いでしかない。


『回避行動は?』


「必要ない」


銃撃をくらいつつもさらに接近し、近接武器が当てられる距離まで近づいた。


近接してしまえば互いのバリアが干渉・融合し、近接した機体同士は攻撃が当てられるようになる。


『最接近の敵、2機共に六脚のクモ型中距離戦闘種』


「足がうじゃうじゃと、気持ちの悪い奴らだ!」


右手に太刀状の近接武器を装備し、その刃を害獣機へ浴びせる。


二振りもすれば、残りの害獣機を動かなくすることなんて訳が無かった。


『害獣機5機、全ての機能停止を確認』


「アイテムから遠距離武器全ての弾を補給。その後、討伐を再開する」


まだ、戦い終わらない。稼ぎ時はこれからだ。




「イソラ、結局何機仕留めれたんだっけ?」


『最初の集団で5機。その後、群れから外れた機体を散発的に撃墜した結果、計15機となります』


「15機かあ~、張り切ってたわりには寂しい結果になったな」


僕が、15機仕留めている間に、自衛隊は485機も撃墜。まあ、仕方がないか。自衛隊も頑張っていたし。


自衛隊は、全ての装備をミサイルで固めた遠距離部隊。機銃を中心とした中距離部隊。近接武装を中心とした近距離部隊。の、3部隊編成で運用している。


これらをうまく運用した集団戦で、効率的に素早く害獣機を殲滅していくのだから、個人(ソロ)でやっている僕じゃ太刀打ちできないのも仕方がない。


『肯定。これでは、(マスター)もおまんまの食い上げです』


「ぶっ!」


そのシステムAIらしくない言いように、思わずふいてしまった。


「相変わらず、イソラは人間ぽい言葉使いが好きだな」


本来、人格形成AI以外のAIというのは言葉使いは丁寧で、固いイメージなんだけど、こいつは違う。自己成長をするこのシステムAIは、もしかすると既に人格なんてものも獲得しているのかもしれない。


『肯定。……それで、これからのご予定は? 街へ向かいますか?』


「そうだな……、その前に自衛隊の方へ挨拶に行っておこうか。防衛ラインの外で暴れちゃったっし」


挨拶をしておきたい人物もいるし。


『では、自衛隊駐屯地まで、ナビゲーションを始めますか?』


「ああ、ついでに運転もイソラに任せるよ」


『了解。それでは、目的地までひと時のご休憩を』


一人で動き出した機体は、僕を乗せて、電脳と現実のまじりあったところを目指していった。

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