行間 リディ=キールというリルドラケンについて
実家はロシレッタにある普通の仕立て屋。両親ともにお人好しであり、父親から
「人にも獣にも、蛮族にだって同じ命があるように、心も家族もある。その命をいただく仕事をしているんだから、どんな相手でも誠意をもって対応しなさい」
と教わるが、何故かそれを
「人も蛮族もみんな同じ。だから(服の)素材にできるかもしれない」
と曲解する。父としては
「例え蛮族であっても、それだけを理由に嫌わないで欲しい」
「動物にも人と同じように誠意を持って、命をもらっていることを忘れないで欲しい」
という意味を込めたらしい。どうしてこうなった。
これを経て、人体に影響がないのであれば問題なく着用できると思っている。また、穢れや嫌悪関係なく人族蛮族動物全ての「皮のある生物」は鞣して革にすれば服の素材として使えると考えており、新素材の開拓として分かりやすい人族や蛮族を積極的に狙おうとするところがある。そのため実体がなかったり皮がなかったり腐っているアンデットは嫌い。大嫌い。
かつて、同性のリルドラケンに恋をし、本来とは異なる性別になりきって生活していた過去がある。が、その相手には振られてしまっているとのこと。恋をしていた時期はその相手だけは特別に見えていたのだが、今は相変わらずすべてみな『素材』として平等であり、仲間も同じ。肌艶のよさはいつも入念にチェックをし、健康状態もしっかり管理しようとする。意外と世話焼き気質、らしい。
そう、だっていつかは素敵な服の素材になるかもしれない候補たちなのだから。
「人の皮が嫌なのって同じ種類だからってだけでしょ? もしも衣服に向いていたらなんかもったいないじゃん」