いつものアレ
よろしければ評価の方お願い致します!
◇◇◇
緊急事態に慌てる職員と、ざわつく冒険者。
ギルドのいつもの構図に妙に安心していると、めざとく俺たちを見つけたルピアさんが駆け寄ってくる。
「マアトちゃん! イモちゃん! それに、皆さん!」
俺は皆さんで一括りにされていた。やるせなかった。
「虫型の魔物が沢山、街に向かってきてるらしいの……詳しいことはまだわからないんだけど」
また虫か。
じゃ、もう決まりかな。
昨日来たエスクードとかいうやつ、なんか、虫好きそうだったし。
「沢山と言ったが、どのくらいの数が向かっているのか?」
「少なく見積もっても数百は、いると」
まさか竜喰らいさんが虫ごときに遅れをとるなんてことはないと思うけど。
ないよね?
「虫型の魔物にも、いろいろいるからね。Aクラスの虫型魔物とは思いたくないが」
「Aクラスっていうと……マンティスキングに、ナナホシベヒモス?」
「……よく知ってるな。そうだよ。あのクラスのが群れていた場合、さすがの私も梃子摺る」
「倒せない、とは言わないんですね」
「当然だろう? 私を止められるのは、私くらいのものだよ。神ですらも止められんよ」
「マルドゥーク様、かっこいい……世界は、あなたのものにゃあ……♪」
「どこが?」
「どこが?」
「どこが?」
「え、うそなにこの疎外感、ていうか、なんなのきみたちの抜群のコンビネーション」
彼、思い込みが激しいだけなんじゃないですかね。
またトリプルアタックを食らってげんにょりしているフランさんを尻目に、話は続く。
「まあ、来るって言ってたし、しょうがないでしょう」
「あの人、約束、守るために来るの?」
「迷惑ですね」
「うん」
「いや、まだ、そうと決まったわけではない。早合点しないほうがいい」
俺の中では確定なんだけどなあ。まあ、実際見てみたほうが早いか。
水を打ったように、しんと、ギルド内が静まり返る。
「よく集まっていただいた、冒険者よ!」
何時の間にか、あの鼠人のじいさんが現れていた。
次回更新は 2月26日 18:00 です!




