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30代ニートが就職先を斡旋されたら異世界だった件。  作者: りんご
第五章 変わる日々
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追加クエスト~乱入、大型モンスター~


 ◇◇◇


 ネズミが動かなくなって、正気に戻ったフランさんが上機嫌で俺に話し掛けてくる。


「いやー。満足まんぞく」

「そりゃ、あれだけ大暴れすれば満足でしょう。で、サーシャさんは、なにをしてるんです」


 サーシャさんの足元には、眠ったように動かないネズミたち。

 彼女が倒したものは、まだ生きているようだ。


「【イビルラット】は尻尾を斬られると大人しくなるの。殺すのは、可哀相だから」

「眠らせただけなんですか?」

「……うん」


 サーシャさんが少しバツが悪そうに言った。

 討伐のクエストだしな。倒さないと、成功にはならないかもしれない。


「まー、いいよ。今のあたしは寛大だからニャ、雑種などどうでもよい」

「そうですね、大人しくなるなら、いいんじゃないですか」

「……ありがとう」


 同意を得た彼女は、ネズミの尻尾をちょっとだけ切って、森に逃がしていた。

 優しい顔だな、と思った。

 

「お、おとーさん」


 くいくい、と俺の服の裾を引っ張るやつがいる。


「なんだい、マアト」

「お、おしっこ……」


 もじもじしたマアトが俺に伝えてきた。

 小便? 困ったな。


「街まで我慢できないか?」

「も、もれちゃう」


 別に漏らしてもいいんじゃないか、と言いそうになったが、ぐっと飲み込んだ。


「あ、えっと。じゃあ、私が――」

「お願いできます?」


 目の合ったサーシャさんが、自然とマアトを連れていき、木々の向こうに消えていった。


「大変だねー。おとうさんは」

「そうでもないですよ」


 静まり返る森。フランさんと二人。

 猫の人の、特徴的な耳と尻尾は、風にゆらゆら揺れている。

 きれいだな、と思った。


 なにか、聞きたいことでもあったかな。

 俺は意を決して、


「ひとつフランさんに聞きたいことが――」


 そこに、タイミングよく、がさり、と、現われた闖入者がいた。

 黒い鱗を持つ、もっと巨大で無粋なやつが。


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