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30代ニートが就職先を斡旋されたら異世界だった件。  作者: りんご
第五章 変わる日々
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前哨戦、キノコ狩り


 ◇◇◇


 まずひとつ目の仕事は、フランさんが選んだクエストだ。

 森に入って【デルエ・キノコ】という、キノコを採取する仕事。

 サーシャさんに聞いたところによれば、特徴的な形をしているのですぐわかるらしいが……


 鬱蒼とした森の木々に、陽光が反射して、影を照らす。

 その影のふもとに、目的の物が土に埋まっていた。


「……なるほど。サーシャさんが、言い辛そうにしてたわけだ」


 天をも衝かぬとばかりに起立する房。

 房の先端は搾まっており、下部には丸みを帯びた傘が、左右対称に2つついていて、そこから房そのものが生えている。

 ほんのり黒光りするキノコ。

 しかも、これ。


「白い液が出てくる……」


 ねばねばした液が先端から少しずつ垂れてきて、キノコと俺の手を濡らす。

 ちょっと力強く、ぎゅ、と掴むと、先っぽから、中に詰まっている白い液が噴射する。

 どう見ても、神が悪戯で作ったとしか思えない。


 どうしよう。

 これを、女性陣に回収させるのは……なんというか、いろいろ問題がありそうな気がする。


「もし嫌だったら、俺一人で回収してもいいんですけど」

「う、ううん。ちゃんと、やるよ。ルドにだけやらせる、なんて、そのほうが、嫌、だから」

「サッちん、あんま気にしないほうがいいよ? 無機物だからさー」

「う、うん。そうだ、ね」


 サーシャさんは恥ずかしそうにしながら。

 フランさんは気にしてないのか、笑いながら。

 二人とも、手を、真白く、ぬるぬるべとべとにさせながら、キノコを回収していた。

 ああ、これは、マアトに回収させたらアカン。


 ふと見れば、視界の端で、彼女は、「うぇぇ……」とか言いながらも頑張って手伝っている。

 これが終わったら、温泉に入ろうな、うん。


 全員の手が白くなり、キノコを回収し終えるころには、結構いい時間が経っていた。




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