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30代ニートが就職先を斡旋されたら異世界だった件。  作者: りんご
第五章 変わる日々
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夜の朝


 ◇◇◇


 朝食を食べ終えた俺たち4人は、ギルドに向かう。

 清々しい朝の光を受けた街は、わずかに昨晩の傷跡が残る姿を映している。

 屋根を修理する人。汚れた壁を洗い流す職人。奇跡的に道に残っていた虫を、ホウキで掃いている人もいた。


「ルドは、料理人なの?」


 行き交う通行人の脇を通り抜けながら、取り留めのない話をしていると、サーシャさんが尋ねて来た。


「急に、なんです?」

「だって、すごく様になってたし」

「そうそう! なんか手慣れた感じだった。あんな技術、どこで習ったのかにゃ?」


 耳を立てたフランさんも首を突っ込んでくる。

 ちょっと、顔が近くないですかね。


「ネットの料理サイトか何かで見ただけですよ」

「ねっと?」


 サーシャさんたちが、揃って疑問符を浮かべた。


「ネットですよ、インターネット。今のご時世、山奥の村だって回線くらい繋がってるでしょ」

「……ごめん。なにを言ってるのか、よくわからない」

「嘘でしょ? マジですか」

「その、いんたーねっと、って どういうものなの?」


 ネットがどういうものか、か。

 辞書風に言えば『プラットフォームを介しサーバーにアクセス、管理、接続された端末と繋がる仮想世界』と言ったところだろうが、コンピュータの苦手な人にその説明をしても伝わらない気がするし、彼女が求めているのはそういう説明ではないと思う。


「そうですね、なんでもできるもの、ですかね」

「なんでも?」

「離れたところから話ができたり、手紙を送ったり」

「すごい。それって、魔術、みたいなもの?」


「魔術は限られた人しか使えないでしょ。ネットは、誰でも使えますよ。音楽を聴く、絵を描く、ゲームで遊ぶ。知らないことを調べたりもできます。ネットで調べれば、どんなことでもわかりますよ」

「どんな、ことも……」

「興味ありますか」

「……すこし」


「じゃあ、そのうち、機会があれば教えてあげますよ」

「ほんと?」

「ええ」


 手取り足取り。

 まあ、この辺にネット環境はないだろうから、元の世界に戻ったら、ってことになるか。


 ――戻りたいのか?

 ――さあな。


「……ちょっと信じられないニャア。なんでもできるって、うそくさい」

「なんですフランさん。その疑いの視線は」

「だって、疑ってるもの」


 俺、嘘は言ってないんだけど。信用の問題なのか?

  

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