表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30代ニートが就職先を斡旋されたら異世界だった件。  作者: りんご
第五章 変わる日々
63/96

変わらぬ朝に金の魚を①


 ◇◇◇


「おとーさん、どうしたの?」


 マアトが起き抜けに、俺にべったりくっ付いて、俺の様子を気遣ってくれる。

 俺は笑って答えてやった。


「別に、どうもしないよ」

「ほんと? おとーさん、ちょっと、抜けてるところが、あるから、しんぱいなの」


 なにを生意気言ってるんだか。

 心配なのは、お前の方だと思うんだけどな。


「マアトは、元気か?」

「うん! げんきだよ!」

「魔力を使い過ぎたって聞いたぞ。あまり無茶するなよ」

「う、うん。ごめんなさい、おとーさん」


 マアトの頭をぽんぽんと撫でていると、怪訝な顔で俺を見ているサーシャさんと目があった。

 部屋の外から香ばしい香りがする。ふむ、今日は魚料理か。

 

「そういや、フランさんは?」

「あっち」


 壁際でスヤスヤとまだ眠っているのフランさん。

 なんだか、いたずら心が沸いたので、近づいて、蹴っ飛ばした。


「ふにゃ!? 今、なにかに蹴られたにゃ!?」

「おはようございます、フランさん。ご機嫌いかがですか?」

「あ、おはようおにーさん。あのさ、今、誰かが」

「それよりも、今日の朝は焼き魚みたいですよ」


 ネコの顔が、嬉しそうに一瞬でほころんだ。


「おかみさん、約束を守ってくれたんだにゃー」

「よだれ、出てます」

「じゅる。失礼」


 しかし、魚か。

 

「あの、ルド? どこへ」

「ちょっと厨房へ。用事があるんで」

 

 部屋を出ると、後ろから追いかけてくるサーシャさんとマアト、フランさんの声。

 彼女たちも、ぞろぞろと着いてくるつもりらしい。

 一人で充分なんだけど、まあ、好きにすればいいさ。


 何をしていなくても腹は減る。

 今日のしごとに行く前に、極上の料理で腹ごしらえをしよう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ