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30代ニートが就職先を斡旋されたら異世界だった件。  作者: りんご
第四章 戦いは唐突に
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浅い眠り


 ◇◇◇


 深夜の街を足早に馴染みの宿に急ぐ。

 扉を開けて、宿に着くと、おかみさんが眠そうな顔をして店番をしていた。

 すこしだけ今日あったことをお互いに話す。

 おかみさんも、つい今しがた戻ってきたところだったようだ。


 もうすぐに夜も明けてしまうだろう。

 サーシャさんがマアトをおぶって、3人で、部屋に静かに急いだ。

 その歩が、部屋の前でぴたりと止まった。


「誰か、いる」

「たぶん、さんでしょうね」

「ネコ?」

「ほら、あそこですよ。壁際の隅っこで、丸くなるように眠ってます」

「あ、ほんとだ」


 俺たちよりも早く帰ってきて、眠ってるってのはどういうこと?

 そりゃ、合流しようとは言ったけども。


「可愛いね」

「そ、そうですね。可愛いかもしれません」


 よくわからん。

 うにゃうにゃ意味のわからない寝言を呟くフランさん。


 俺たちも寝よう。

 ベッドに横になった。

 疲れた身体に、眠気が襲う。

 

 うとうとしながら、今日のことを考える。

 飛び散る虫の大群を思い出して、ちょっと眠気が覚めた。

 他の事考えよ……


 今日は、ずっとマアトが頑張ってたな。

 サーシャさんは、いつも通り。

 フランさんは……まあ、うん。


 パーティー。

 自分が必要とされる場所。

 必要としてくれる場所。

 勘違いじゃないと嬉しい、と願わずにいられない。


 エスクードと名乗る男。

 滅びの使い。

 ……手品。


 いい加減、答えを決めないといけない時期に来ているのかもしれない。

 あの子は何者なのか。ただの子供ではない。


 いや、じいさんが言うように、今のことを、今自分にできることだけを精一杯やろう。

 だから、それまでは、


(……おやすみなさい)


 泥のように眠りこけた。

 次には、また、知らない時間が、やってくる。



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