浅い眠り
◇◇◇
深夜の街を足早に馴染みの宿に急ぐ。
扉を開けて、宿に着くと、おかみさんが眠そうな顔をして店番をしていた。
すこしだけ今日あったことをお互いに話す。
おかみさんも、つい今しがた戻ってきたところだったようだ。
もうすぐに夜も明けてしまうだろう。
サーシャさんがマアトをおぶって、3人で、部屋に静かに急いだ。
その歩が、部屋の前でぴたりと止まった。
「誰か、いる」
「たぶん、獣人さんでしょうね」
「ネコ?」
「ほら、あそこですよ。壁際の隅っこで、丸くなるように眠ってます」
「あ、ほんとだ」
俺たちよりも早く帰ってきて、眠ってるってのはどういうこと?
そりゃ、合流しようとは言ったけども。
「可愛いね」
「そ、そうですね。可愛いかもしれません」
よくわからん。
うにゃうにゃ意味のわからない寝言を呟くフランさん。
俺たちも寝よう。
ベッドに横になった。
疲れた身体に、眠気が襲う。
うとうとしながら、今日のことを考える。
飛び散る虫の大群を思い出して、ちょっと眠気が覚めた。
他の事考えよ……
今日は、ずっとマアトが頑張ってたな。
サーシャさんは、いつも通り。
フランさんは……まあ、うん。
パーティー。
自分が必要とされる場所。
必要としてくれる場所。
勘違いじゃないと嬉しい、と願わずにいられない。
エスクードと名乗る男。
滅びの使い。
……手品。
いい加減、答えを決めないといけない時期に来ているのかもしれない。
あの子は何者なのか。ただの子供ではない。
いや、じいさんが言うように、今のことを、今自分にできることだけを精一杯やろう。
だから、それまでは、
(……おやすみなさい)
泥のように眠りこけた。
次には、また、知らない時間が、やってくる。




